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うさ神様のいるところ

#10

第十羽

セノが階段を駆け下り仲間たちにリカの(嘘の)所在を広めてくれたあとも、ククは言われた通り屋敷中を駆け回って、「リカが正門から都の方へ逃げていった」というデマ吹聴に励んでいた。

やがて緊張感や焦りは、伝播して屋敷中に広がっていく。ククは走りながら、周りの人々の大多数が、正門の方角へと向かって移動していることに気づいた。

おそらくリカの作戦は、デマを広めて正門と屋敷外の捜索に人員を割かせ、見張りの少なくなった屋敷内を悠々と探し回る、というものだろう。
ただいくら見張りが少ないとて、目的であるジマの部屋に、あろうことかジマ本人が居てしまえば話にならない。

だからリカは別行動を命じたのだ。ククにデマを拡散させ、リカはその間ジマを張って、良きタイミングを見極めて鍵を盗む。

その一瞬の隙を、生み出すために。



「情報はだいぶ広まったかな…一応、正門の方へ言ってみようか」
独りごちて、息を整えてから早歩きで向かう。

すっかり静かになった銀朱の廊下を抜けて透かし彫りの[漢字]欄間[/漢字][ふりがな]らんま[/ふりがな]や[漢字]鴨居[/漢字][ふりがな]かもい[/ふりがな]を幾枚も潜り、[漢字]燈芯草[/漢字][ふりがな]とうしんそう[/ふりがな]と[漢字]檜[/漢字][ふりがな]ひのき[/ふりがな]の香りの中を抜けていく。

もう少しで屋敷の外に出る…というところで、



「クク、突然すまないのだが。少し、いいだろうか」

ククの肩に、重い手が掛けられた。


「……!」

戦々恐々としてククが、ゆっくりと振り返ると。



「少し話を聞きたい。ついてきなさい」
こちらを見下ろす彼…ジマの顔には、大鷲のような威圧感が漂っていた。

作者メッセージ

【ちょこっと世界観補足】…漫画だと背景や小物などの絵を通して「語らずとも分かる」世界観や雰囲気が、小説の中だと伝わらない(私の力量不足)ため、少し解説。物語に対する解像度があがるかも?

●燈芯草(とうしんそう)…い草の別名。畳の原料で、青々とした清々しい匂いが特徴。
●欄間…和風建築に多く見られる、採光や通気性の確保、装飾として用いられる一枚板。多くの場合緻密な木彫りが施されており、ここに使われる彫刻技法の一種が「透かし彫り」。ちなみにこのお屋敷の欄間は、うさぎと稲穂の木彫りがされているイメージです。

世界観設定としては、平安時代の都に近いイメージ。少し中華要素と洋風建築の要素が混じっています。例えばお屋敷は基本的に和風ですが、生活家具として洋風の椅子やテーブルが使われていたり、石造りの暖炉があったりしています。

漫画の方、まともに書けていたのがマジで少ない(それ以降雑なネームばかり)なのですが、見せられるレベルにまで修正して、少しずつプロフィールの方にアップできたらなと。よろしければ見てみてね。

2025/02/28 19:46

団栗きんとん
ID:≫ soHtg8UkVbFiM
コメント

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セルフリメイク一話一話よ短し御免

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