セノが階段を駆け下り仲間たちにリカの(嘘の)所在を広めてくれたあとも、ククは言われた通り屋敷中を駆け回って、「リカが正門から都の方へ逃げていった」というデマ吹聴に励んでいた。
やがて緊張感や焦りは、伝播して屋敷中に広がっていく。ククは走りながら、周りの人々の大多数が、正門の方角へと向かって移動していることに気づいた。
おそらくリカの作戦は、デマを広めて正門と屋敷外の捜索に人員を割かせ、見張りの少なくなった屋敷内を悠々と探し回る、というものだろう。
ただいくら見張りが少ないとて、目的であるジマの部屋に、あろうことかジマ本人が居てしまえば話にならない。
だからリカは別行動を命じたのだ。ククにデマを拡散させ、リカはその間ジマを張って、良きタイミングを見極めて鍵を盗む。
その一瞬の隙を、生み出すために。
「情報はだいぶ広まったかな…一応、正門の方へ言ってみようか」
独りごちて、息を整えてから早歩きで向かう。
すっかり静かになった銀朱の廊下を抜けて透かし彫りの[漢字]欄間[/漢字][ふりがな]らんま[/ふりがな]や[漢字]鴨居[/漢字][ふりがな]かもい[/ふりがな]を幾枚も潜り、[漢字]燈芯草[/漢字][ふりがな]とうしんそう[/ふりがな]と[漢字]檜[/漢字][ふりがな]ひのき[/ふりがな]の香りの中を抜けていく。
もう少しで屋敷の外に出る…というところで、
「クク、突然すまないのだが。少し、いいだろうか」
ククの肩に、重い手が掛けられた。
「……!」
戦々恐々としてククが、ゆっくりと振り返ると。
「少し話を聞きたい。ついてきなさい」
こちらを見下ろす彼…ジマの顔には、大鷲のような威圧感が漂っていた。
やがて緊張感や焦りは、伝播して屋敷中に広がっていく。ククは走りながら、周りの人々の大多数が、正門の方角へと向かって移動していることに気づいた。
おそらくリカの作戦は、デマを広めて正門と屋敷外の捜索に人員を割かせ、見張りの少なくなった屋敷内を悠々と探し回る、というものだろう。
ただいくら見張りが少ないとて、目的であるジマの部屋に、あろうことかジマ本人が居てしまえば話にならない。
だからリカは別行動を命じたのだ。ククにデマを拡散させ、リカはその間ジマを張って、良きタイミングを見極めて鍵を盗む。
その一瞬の隙を、生み出すために。
「情報はだいぶ広まったかな…一応、正門の方へ言ってみようか」
独りごちて、息を整えてから早歩きで向かう。
すっかり静かになった銀朱の廊下を抜けて透かし彫りの[漢字]欄間[/漢字][ふりがな]らんま[/ふりがな]や[漢字]鴨居[/漢字][ふりがな]かもい[/ふりがな]を幾枚も潜り、[漢字]燈芯草[/漢字][ふりがな]とうしんそう[/ふりがな]と[漢字]檜[/漢字][ふりがな]ひのき[/ふりがな]の香りの中を抜けていく。
もう少しで屋敷の外に出る…というところで、
「クク、突然すまないのだが。少し、いいだろうか」
ククの肩に、重い手が掛けられた。
「……!」
戦々恐々としてククが、ゆっくりと振り返ると。
「少し話を聞きたい。ついてきなさい」
こちらを見下ろす彼…ジマの顔には、大鷲のような威圧感が漂っていた。