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うさ神様のいるところ

#16

第十六羽

「まさか、不正をするための鍵を手に入れるのに、こんな正攻法を使うとは…」

[漢字]人気[/漢字][ふりがな]ひとけ[/ふりがな]の消えた夜の中庭を、2人は歩いていた。

「私はてっきり、隙をついてジマさんの持ってるスペアキーを奪うつもりかと」
「まさか。私がそんなムダなリスクを冒すように見えるか?……まあいろいろ予想がつかないこともあったが、概ね想定内。元からお前は信頼されてるから、お前のフリをすれば楽に借りられるかなって」

屋敷内は、すっかり静寂に包まれていた。
おそらくジマが、使用人たちにリカについて伝えたのだろう。「心配しなくても王女は帰ってくるからもう捜索は必要ない」といった所か。
どんなに不確定で納得できなさそうな情報でも、ジマが言うことなら使用人たちは二言なく従う。まさに、鶴の一声である。


「それなら先に、私に言ってくださったらよかったのに」
「お前に任せたら、先走って面倒なことになりそうだったからな。実際どうだ。「その鍵は何に使うんだ」ってあの強面に言われたら、上手い言い訳が咄嗟に思いつくのか?」
「……」
何も答えずに目を逸らすククを、リカは愉快そうに眺めた。


風は、とっくに凪いでいた。
背の高い防風林の植え込みをガサガサとかき分け、相変わらず二人は夜闇に紛れながら進んでいく。
やがて視界に白く浮かび上がる建物の群が映った。

漆喰の塗られた立派な倉庫は、誰もいない暗がりの中で、整然と立ち並んでいた。
「西から数えて四番目…一、二、三…クク、お前がろうそくを隠したのは、あの倉庫で間違いないな?」
リカがその倉庫を指さしながら振り返ると、ククははっきりと頷いた。




ガチャリ。

ギギギギ……ギギ……

管理小屋の社務所とは比較にならないほど重厚な軋みの音を立てて、リカの身長の四倍はありそうな第四倉庫の扉が開いた。
「ここからの案内は、私が」
ククがそう声を掛けて、小走りでリカの前に出る。

倉庫は「使用人たちの盛り場」であり、王女が普段立ち入るような場所ではない。リカは案内されながら、天井まで届く巨大な棚とそこに隙間なく並べられた物品とを、ちらちらと物珍しげに眺めていた。

「もう少しです。……あの、リカ様」
歩きながら、ククがおもむろに振り返った。
なんだ、と続きを促すと、ククは手を組んでゆっくりと、気まずそうに言った。

「あの…さっきの話の答えなんですが、私たぶん言い訳できると思います。さっきリカ様庇うためにめちゃくちゃ嘘つきました」
「溜めに溜めておいておま…なんなんだ今更」

王女は拍子抜けしたように、小さく笑った。

2025/04/03 14:55

団栗きんとん
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セルフリメイク一話一話よ短し御免

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