スマホが突然けたたましく鳴って、実央さんはそれをポケットから取り出した。
どうやら電話が来たらしい。
実央さんは画面に表示されている連絡先を確認すると、急に血相を変えて廊下へ飛び出していってしまった。
「えっ、実央さ…どうしたんでしょう」
「…心配あらへんて。あのバカ金髪、また何やポカやらかしたんやろ」
璃音さんはぶっきらぼうな様子でそう呟いて、廊下を一瞬見たあと、すぐにまたテーブルに向かった。
璃音さんはまた1つ風船を手に取って、強く息を吹き入れる。先ほどから、「Happy birthday」の文字やら、ハートや星形やら、多種多様な風船があっという間に膨れ上がり、リビングの隅にうず高く積まれていった。
「本番って、今夜…なんですよね。飾り付け、間に合うでしょうか…」
私は色とりどりの花紙を丁寧に折ったり編んだりして、イミテーションフラワーを作っていた。
現在、午前10時。
今朝は早起きして、大急ぎで朝食をとってからずっと作り続けているから、飾りも相当な量になっていると思う。
ただ、会場はとんでもなく広い。下見に行った時、私は腰を抜かした。
そんな広い場所をいっぱいに飾り付けられるか、と考えると、少々不安は残るもので。
材料を買った時は「こんな大量に買っても、使い切れるわけがない」と内心思っていた花紙は結局、全て使い切ることになりそうだった。
「あと1時間くらいで、碧と日瑠が来る。アイツらに任せたったら終わるやろ。1時になったら、昼メシついでに会場に直行して、2時間くらいで飾り付けを終わらせる。あとは1回家帰って、身支度したら[漢字]終[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]いや」
璃音さんは、〝M〟の風船を膨らましたあと、そう言って笑った。
しばらくして、リビングに大きなダンボールを持った実央さんが戻ってきた。
「あっ、実央さん!さっきは何があったんですか?」
実央さんは頭を掻きながら、スマホを片手にテーブルに座る。
「スタジオの運営さんから連絡が来たんや。〝イチゴがまだ届いてへん〟言うて。確認したら、送り先に家の住所書いてしもてたわ。さっき届いた。ほら」
床に置いていたダンボールを開くと、そこには大粒のイチゴが。
「わっ!超美味しそう」
「今夜愛ちゃんも食べれるから。楽しみにしときや」
成人男性とは思えない人懐っこさを感じさせる彼…実央さんの実家は、苺農家なのだそうだ。
「じゃ、俺スタジオに直接届けてくるから、璃音車貸して」
「おう」
実央さんは、そう言って車の鍵を持ち、部屋を出ていった。
「もう少しですね。頑張ります!」
背伸びしてそう言う私を、璃音さんは〝C〟の風船を膨らましながら、笑って見ていた。
どうやら電話が来たらしい。
実央さんは画面に表示されている連絡先を確認すると、急に血相を変えて廊下へ飛び出していってしまった。
「えっ、実央さ…どうしたんでしょう」
「…心配あらへんて。あのバカ金髪、また何やポカやらかしたんやろ」
璃音さんはぶっきらぼうな様子でそう呟いて、廊下を一瞬見たあと、すぐにまたテーブルに向かった。
璃音さんはまた1つ風船を手に取って、強く息を吹き入れる。先ほどから、「Happy birthday」の文字やら、ハートや星形やら、多種多様な風船があっという間に膨れ上がり、リビングの隅にうず高く積まれていった。
「本番って、今夜…なんですよね。飾り付け、間に合うでしょうか…」
私は色とりどりの花紙を丁寧に折ったり編んだりして、イミテーションフラワーを作っていた。
現在、午前10時。
今朝は早起きして、大急ぎで朝食をとってからずっと作り続けているから、飾りも相当な量になっていると思う。
ただ、会場はとんでもなく広い。下見に行った時、私は腰を抜かした。
そんな広い場所をいっぱいに飾り付けられるか、と考えると、少々不安は残るもので。
材料を買った時は「こんな大量に買っても、使い切れるわけがない」と内心思っていた花紙は結局、全て使い切ることになりそうだった。
「あと1時間くらいで、碧と日瑠が来る。アイツらに任せたったら終わるやろ。1時になったら、昼メシついでに会場に直行して、2時間くらいで飾り付けを終わらせる。あとは1回家帰って、身支度したら[漢字]終[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]いや」
璃音さんは、〝M〟の風船を膨らましたあと、そう言って笑った。
しばらくして、リビングに大きなダンボールを持った実央さんが戻ってきた。
「あっ、実央さん!さっきは何があったんですか?」
実央さんは頭を掻きながら、スマホを片手にテーブルに座る。
「スタジオの運営さんから連絡が来たんや。〝イチゴがまだ届いてへん〟言うて。確認したら、送り先に家の住所書いてしもてたわ。さっき届いた。ほら」
床に置いていたダンボールを開くと、そこには大粒のイチゴが。
「わっ!超美味しそう」
「今夜愛ちゃんも食べれるから。楽しみにしときや」
成人男性とは思えない人懐っこさを感じさせる彼…実央さんの実家は、苺農家なのだそうだ。
「じゃ、俺スタジオに直接届けてくるから、璃音車貸して」
「おう」
実央さんは、そう言って車の鍵を持ち、部屋を出ていった。
「もう少しですね。頑張ります!」
背伸びしてそう言う私を、璃音さんは〝C〟の風船を膨らましながら、笑って見ていた。
通報フォーム
この小説の著作権は団栗きんとんさんに帰属します