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夜空の醉いどれ夢ものがたり

#2

抹茶のクリーム

シャカシャカ…

泡立て器がボウルの中を踊る、軽やかな金属の音が響く。




「家から抹茶持ってきたよー!」
そう元気に言いながら白守が駆けてきたのは、ついさっきのこと。
「えーっ!白守のおうちって…[漢字]あの[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]?」
「[漢字]あの[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]。なんで?」
沙良は少し遠慮がちに、クリームのパックを抱えながら続けた。
「だってほら、白守のおうちってその…大きい、じゃない?なんかお金持ちっぽいなって。
…そのお茶もさ、高いんじゃないの?」

その回りくどい言い方に、思わず私は噴き出した。
「あっははははは!別にコイツに気ぃつかうことないって!はっきり耳元で〝カタギじゃない〟って言ってやんな。コイツ怒んないから」
「ちょっと冬香!」
「ねえ黒下さんちょっと酷くない?僕は都合のいい相手だったの?本当どういうこと」
「おいおい…メンヘラごっこはやめよ?」
私がそう言うと、2人とも笑い出してしまった。




私と沙良が大きなボウルの中で大量にクリームを混ぜているのを横で眺めながら、白守は出来上がった分を氷で冷やす手をしばし止め、腕を組んでいた。
「いや、そんなに高いお茶じゃないよ。えっとね、銘は〝萌緑春〟で、値段は…だいたい40gで3800円くらいかな」
「うん、それが高いのか安いのかも分かんないわ」
諦めたような顔をした沙良の、あまりにも馬鹿っぽい返事に、再び笑いが漏れた。
「ふふっ…あっはっはっは!」
「ねえちょっと冬香!ツバ飛ぶから汚いんだけど!」
「はっはっは…って失礼だな!」




なんだかんだあって、私たちが作った大量の抹茶クリームはなんとか完成し、保冷剤と共にクーラーボックスの中に詰められた。

「開催は夜なんだよね?会場まで車出そうか?」
「ああ…私たちが行くのは会場じゃなくてさ…」




冴えた濃い緑の香りが、爽やかに鼻を抜けていった。

作者メッセージ

「バレンタインチョコをあざと可愛い男子にあげる事になったやんきーちゃん」「ホワイトデーはお返しを」の3人。

2025/03/29 18:59

団栗きんとん
ID:≫ soHtg8UkVbFiM
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