【超短い参加型】エモい出 〜Emoide〜
#1
第0話 早朝の温泉旅館(例)
「かゆ…とうとう今年も、この季節がやってきたか」
テーブルに置かれた箱から、今日何枚目になるか分からないティッシュを引っ張った。
連日、花粉にくしゃみと目のかゆみが止まらず、悩まされていたとある春休み。
ティッシュのそばで充電していたスマホから通知音が鳴って、画面を見るとそこにはLINEのメッセージが。
「えっーとなになに…温泉…、いかない…?」
数日後、私はいとこ達一家と共に、温泉旅行へと行った。
広々とした和室の窓から、雪景色が見える。
ここが、私たちが今夜泊まるお部屋であった。荷物を広げて、館内着とタオルを手に取る。
「私、お風呂入ってくる」
「いってらっしゃい!」
いとこにそう断ってからそう早々ひとり温泉へ浸かりに行き、がらんとした昼の露天風呂を堪能した。
ほかほかと温まった身体に羽織った浴衣の外に、ゆるめのカーディガンを掛けて旅館内を歩く。
観光客で賑わうラウンジからはガラス窓越しに和風の庭園が見え、宿泊客へのサービスとして飲み物をサービスしてもらえる休憩スペースのようなものがあった。
私は窓に面した一人掛けのソファに座り、カフェオレを啜る。
チェックインしたのが正午ごろだったから、日の入りが早い冬の今は、もう夕暮れに近い。
窓から見える景色もやがて暗くなっていく。
その頃私はちょうどラウンジに出ていたいとこの兄に呼び止められ、旅館内で開催されていた「マトリョーシカ絵付け体験」というワークショップに参加していた。
それから、大広間でビュッフェスタイルの豪華な夕食をいただいた後、カラオケ、卓球…と、いとこ全員で嫌と言うほど遊びまくってから部屋に帰った。
当然部屋に入ってからもカードゲームなどで盛り上がる一同だが、夜も更けてくるとやがてひとり、またひとりと「おやすみ」を言って、眠りに落ちていった。
…今、何時だ…?
次に目が覚めたのは、まだ全員が眠っている4:30ごろだった。
窓の外は当然暗く、朝日すら見えない。まだ大浴場も開いていないだろう。
私はなんだか冒険心がうずいて、暗い中布団をこっそり抜け出し、財布とスマホだけを持って、それとちょっとだけ髪を整えてメイクをして、部屋を出た。
ガチャリ。
静寂に扉の音が、やけに大きく響く。
重い扉をそっと閉めて、鍵を掛けた。
早朝の旅館は昨日の夜とは少し雰囲気が違って、ひっそりと静かだった。
なんだか、薄ら寒い気がする。その非日常的で息を潜めてしまうような感じが、かえってわくわくを煽った。
仄かに灯るダウンライトの廊下を、机に置かれた骨董品や壁に掛けられた絵画を見ながらゆっくりと歩く。
宿泊客どころかスタッフの方の姿すら、どこへ行っても人っ子一人見当たらない。
エレベーターに乗って、広い旅館内のひととおりを探検したあと、例のラウンジへと向かった。
昨日も座っていたソファに腰掛けて、時間を確認する。
まだ5:00になったばかりで、窓の外から見える空も、まだ夜のように暗かった。
「うー…ん」
ひとり、注いできたサービスのココアをサイドテーブルに置いて、伸びをする。
薄く白い湯気がこげ茶色の甘い匂いを運ぶ早朝の窓際、私はYouTubeで苔テラリウムの動画を視聴し始めた。
時折穏やかな音楽に目を瞑って、そのたびに顔を上げ、窓の外と紙コップとを眺める。
夜と朝の境目の、ほんのりと暗い、まったりとしたくつろぎの空間。
永遠に、この時間の中でゆったりと過ごしていたい…
そうぼんやりと思ったのが、私の「エモい出」である。
さて。
どこか懐かしく美しい皆さんの「エモい出」を、一緒に見てみよう。
テーブルに置かれた箱から、今日何枚目になるか分からないティッシュを引っ張った。
連日、花粉にくしゃみと目のかゆみが止まらず、悩まされていたとある春休み。
ティッシュのそばで充電していたスマホから通知音が鳴って、画面を見るとそこにはLINEのメッセージが。
「えっーとなになに…温泉…、いかない…?」
数日後、私はいとこ達一家と共に、温泉旅行へと行った。
広々とした和室の窓から、雪景色が見える。
ここが、私たちが今夜泊まるお部屋であった。荷物を広げて、館内着とタオルを手に取る。
「私、お風呂入ってくる」
「いってらっしゃい!」
いとこにそう断ってからそう早々ひとり温泉へ浸かりに行き、がらんとした昼の露天風呂を堪能した。
ほかほかと温まった身体に羽織った浴衣の外に、ゆるめのカーディガンを掛けて旅館内を歩く。
観光客で賑わうラウンジからはガラス窓越しに和風の庭園が見え、宿泊客へのサービスとして飲み物をサービスしてもらえる休憩スペースのようなものがあった。
私は窓に面した一人掛けのソファに座り、カフェオレを啜る。
チェックインしたのが正午ごろだったから、日の入りが早い冬の今は、もう夕暮れに近い。
窓から見える景色もやがて暗くなっていく。
その頃私はちょうどラウンジに出ていたいとこの兄に呼び止められ、旅館内で開催されていた「マトリョーシカ絵付け体験」というワークショップに参加していた。
それから、大広間でビュッフェスタイルの豪華な夕食をいただいた後、カラオケ、卓球…と、いとこ全員で嫌と言うほど遊びまくってから部屋に帰った。
当然部屋に入ってからもカードゲームなどで盛り上がる一同だが、夜も更けてくるとやがてひとり、またひとりと「おやすみ」を言って、眠りに落ちていった。
…今、何時だ…?
次に目が覚めたのは、まだ全員が眠っている4:30ごろだった。
窓の外は当然暗く、朝日すら見えない。まだ大浴場も開いていないだろう。
私はなんだか冒険心がうずいて、暗い中布団をこっそり抜け出し、財布とスマホだけを持って、それとちょっとだけ髪を整えてメイクをして、部屋を出た。
ガチャリ。
静寂に扉の音が、やけに大きく響く。
重い扉をそっと閉めて、鍵を掛けた。
早朝の旅館は昨日の夜とは少し雰囲気が違って、ひっそりと静かだった。
なんだか、薄ら寒い気がする。その非日常的で息を潜めてしまうような感じが、かえってわくわくを煽った。
仄かに灯るダウンライトの廊下を、机に置かれた骨董品や壁に掛けられた絵画を見ながらゆっくりと歩く。
宿泊客どころかスタッフの方の姿すら、どこへ行っても人っ子一人見当たらない。
エレベーターに乗って、広い旅館内のひととおりを探検したあと、例のラウンジへと向かった。
昨日も座っていたソファに腰掛けて、時間を確認する。
まだ5:00になったばかりで、窓の外から見える空も、まだ夜のように暗かった。
「うー…ん」
ひとり、注いできたサービスのココアをサイドテーブルに置いて、伸びをする。
薄く白い湯気がこげ茶色の甘い匂いを運ぶ早朝の窓際、私はYouTubeで苔テラリウムの動画を視聴し始めた。
時折穏やかな音楽に目を瞑って、そのたびに顔を上げ、窓の外と紙コップとを眺める。
夜と朝の境目の、ほんのりと暗い、まったりとしたくつろぎの空間。
永遠に、この時間の中でゆったりと過ごしていたい…
そうぼんやりと思ったのが、私の「エモい出」である。
さて。
どこか懐かしく美しい皆さんの「エモい出」を、一緒に見てみよう。