ドキドキと、鼓動の音だけがやけにうるさく耳に響く。
…バレたかな。私たちが本当は夜に脱走してたことやら、リカ様の所在が嘘だってことやら、もろもろ。
あれ、でもなんでバレた?まだ犯行から数時間も経ってないはず…なんだ“犯行”て。リカ様の姿でも見られたか?
ククは僅かな間に幾千もの思考を巡らせながら、ちらりちらりと相対するジマの顔を見上げる。
ジマは、しばらくは無言で立っていた。袖を上げて額に少し手を上げたり、なにも見えないほどの暗闇に包まれた小屋の天井の方を仰いだり、そして、大きな大きなため息をついた。
そのため息に、ククの肩がビクリと揺れる。
だが実はこの間に、ククの覚悟は決まっていた。
さあ来るなら来い。正直リカ様を犠牲にしてでも、ろうそくの秘密は守ってやりたい。
リカ様ごめん。でも怒られたくないです。なんなら死刑になりたくないです。
…この時の勇んだククに、もっとリカに申し訳なく思え、というのは無理な話だっただろう。
ジマが、口を開いた。
「リカ様は、どうして逃げられたのだと思うか」
「はい…」
ん?
「確かにいい加減ではあるが、責任感はあるお方だと…王の器にふさわしい子だと、そう思っていたのだが…」
ジマは、眉間に深くシワを寄せてもう一度ため息を付く。
…これは…
てっきりいろいろバレていてお叱りを受けるものかと思っていたが、ジマはリカが逃げたという嘘を疑っていないらしい。
王の器にふさわしい“子”と言っている通り、ジマはリカやククが幼い頃からの養育係。確かにジマにとって、即位式の前夜に家出されるということは、これまでの苦労や努力を台無しにされることにほかならない。
…これは、少しまずいのでは?
自分のミスの隠蔽のためについた些細な嘘が、思った以上の暗雲を招いていたことに、ククは気付いた。
いまだ、風かネズミの立てるカタカタという音が、天井裏から響いていた。
…バレたかな。私たちが本当は夜に脱走してたことやら、リカ様の所在が嘘だってことやら、もろもろ。
あれ、でもなんでバレた?まだ犯行から数時間も経ってないはず…なんだ“犯行”て。リカ様の姿でも見られたか?
ククは僅かな間に幾千もの思考を巡らせながら、ちらりちらりと相対するジマの顔を見上げる。
ジマは、しばらくは無言で立っていた。袖を上げて額に少し手を上げたり、なにも見えないほどの暗闇に包まれた小屋の天井の方を仰いだり、そして、大きな大きなため息をついた。
そのため息に、ククの肩がビクリと揺れる。
だが実はこの間に、ククの覚悟は決まっていた。
さあ来るなら来い。正直リカ様を犠牲にしてでも、ろうそくの秘密は守ってやりたい。
リカ様ごめん。でも怒られたくないです。なんなら死刑になりたくないです。
…この時の勇んだククに、もっとリカに申し訳なく思え、というのは無理な話だっただろう。
ジマが、口を開いた。
「リカ様は、どうして逃げられたのだと思うか」
「はい…」
ん?
「確かにいい加減ではあるが、責任感はあるお方だと…王の器にふさわしい子だと、そう思っていたのだが…」
ジマは、眉間に深くシワを寄せてもう一度ため息を付く。
…これは…
てっきりいろいろバレていてお叱りを受けるものかと思っていたが、ジマはリカが逃げたという嘘を疑っていないらしい。
王の器にふさわしい“子”と言っている通り、ジマはリカやククが幼い頃からの養育係。確かにジマにとって、即位式の前夜に家出されるということは、これまでの苦労や努力を台無しにされることにほかならない。
…これは、少しまずいのでは?
自分のミスの隠蔽のためについた些細な嘘が、思った以上の暗雲を招いていたことに、ククは気付いた。
いまだ、風かネズミの立てるカタカタという音が、天井裏から響いていた。