ククは大急ぎで正門まで走り、重い閂をゴトリ…と外す。
[漢字]草鞋[/漢字][ふりがな]わらじ[/ふりがな]を懐から出して、言われた通り素早く、門の外の土にいくつか跡をつける。
諸々の作業ののち2つの[漢字]松明[/漢字][ふりがな]たいまつ[/ふりがな]の光と門番の声が近づいてくるのを見て、ククは急いで飛び退り、屋敷内へコソコソと俊敏に駆けていった。
走りながら、ククは考える。
…おそらくリカ様の狙いはきっと、ジマさんが持っているもう一セットの鍵だ。
広大な屋敷内の鍵は、当然のことながら大量にあり、相当の重量を誇るこれを日常的に持ち歩くのは不可能である。
そこでジマは普段、夜の見回りのとき以外はこのセットを自室に置いているらしい。当然、部屋には厳重に鍵をかけて。
ただ、そんな彼のルーティンも、有事の際にははたしてどうなるか。
王位継承の式典の前夜にリカが脱走したとなれば、ほとんどの人にとってそれを「国王の座を継ぐのを嫌がって逃げだした」ととられても仕方がないことだ。当然、幼少期から彼女のそばにいたジマも然り。
この大事な日に王女であるリカが逃げ出した、と聞けば、いつも冷静な彼でも焦るかもしれない。焦って、とにかく迅速に彼女を見つけ出そうと、重い鍵を一旦自室に置いてから外に出るかもしれない。
…[漢字]鍵のセットを置いた部屋に、施錠をしないままに。[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・[/ふりがな]
「不必要に不安を煽る警報音を逆に利用して、屋敷内を引っかき回すって魂胆か…さすがリカ様、ピンチをチャンスに変えるのがお上手だ」
ククは屋根を伝いながら、リカの部屋へと急ぐ。
呟いた声が、秋の夜の冷たい空気に溶けていく。
…それにしても。
「どうもあの人は…“賢い”というよりは“ずる賢い”なんだよなあ…」
満月には少し足りない月の下、あれで国をまとめられるのだろうかと、ククは一抹の不安を覚えたのだった。
[漢字]草鞋[/漢字][ふりがな]わらじ[/ふりがな]を懐から出して、言われた通り素早く、門の外の土にいくつか跡をつける。
諸々の作業ののち2つの[漢字]松明[/漢字][ふりがな]たいまつ[/ふりがな]の光と門番の声が近づいてくるのを見て、ククは急いで飛び退り、屋敷内へコソコソと俊敏に駆けていった。
走りながら、ククは考える。
…おそらくリカ様の狙いはきっと、ジマさんが持っているもう一セットの鍵だ。
広大な屋敷内の鍵は、当然のことながら大量にあり、相当の重量を誇るこれを日常的に持ち歩くのは不可能である。
そこでジマは普段、夜の見回りのとき以外はこのセットを自室に置いているらしい。当然、部屋には厳重に鍵をかけて。
ただ、そんな彼のルーティンも、有事の際にははたしてどうなるか。
王位継承の式典の前夜にリカが脱走したとなれば、ほとんどの人にとってそれを「国王の座を継ぐのを嫌がって逃げだした」ととられても仕方がないことだ。当然、幼少期から彼女のそばにいたジマも然り。
この大事な日に王女であるリカが逃げ出した、と聞けば、いつも冷静な彼でも焦るかもしれない。焦って、とにかく迅速に彼女を見つけ出そうと、重い鍵を一旦自室に置いてから外に出るかもしれない。
…[漢字]鍵のセットを置いた部屋に、施錠をしないままに。[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・[/ふりがな]
「不必要に不安を煽る警報音を逆に利用して、屋敷内を引っかき回すって魂胆か…さすがリカ様、ピンチをチャンスに変えるのがお上手だ」
ククは屋根を伝いながら、リカの部屋へと急ぐ。
呟いた声が、秋の夜の冷たい空気に溶けていく。
…それにしても。
「どうもあの人は…“賢い”というよりは“ずる賢い”なんだよなあ…」
満月には少し足りない月の下、あれで国をまとめられるのだろうかと、ククは一抹の不安を覚えたのだった。