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うさ神様のいるところ

#8

第八羽

ククは大急ぎで正門まで走り、重い閂をゴトリ…と外す。
[漢字]草鞋[/漢字][ふりがな]わらじ[/ふりがな]を懐から出して、言われた通り素早く、門の外の土にいくつか跡をつける。

諸々の作業ののち2つの[漢字]松明[/漢字][ふりがな]たいまつ[/ふりがな]の光と門番の声が近づいてくるのを見て、ククは急いで飛び退り、屋敷内へコソコソと俊敏に駆けていった。


走りながら、ククは考える。

…おそらくリカ様の狙いはきっと、ジマさんが持っているもう一セットの鍵だ。

広大な屋敷内の鍵は、当然のことながら大量にあり、相当の重量を誇るこれを日常的に持ち歩くのは不可能である。
そこでジマは普段、夜の見回りのとき以外はこのセットを自室に置いているらしい。当然、部屋には厳重に鍵をかけて。



ただ、そんな彼のルーティンも、有事の際にははたしてどうなるか。




王位継承の式典の前夜にリカが脱走したとなれば、ほとんどの人にとってそれを「国王の座を継ぐのを嫌がって逃げだした」ととられても仕方がないことだ。当然、幼少期から彼女のそばにいたジマも然り。

この大事な日に王女であるリカが逃げ出した、と聞けば、いつも冷静な彼でも焦るかもしれない。焦って、とにかく迅速に彼女を見つけ出そうと、重い鍵を一旦自室に置いてから外に出るかもしれない。


…[漢字]鍵のセットを置いた部屋に、施錠をしないままに。[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・[/ふりがな]



「不必要に不安を煽る警報音を逆に利用して、屋敷内を引っかき回すって魂胆か…さすがリカ様、ピンチをチャンスに変えるのがお上手だ」

ククは屋根を伝いながら、リカの部屋へと急ぐ。
呟いた声が、秋の夜の冷たい空気に溶けていく。



…それにしても。

「どうもあの人は…“賢い”というよりは“ずる賢い”なんだよなあ…」
満月には少し足りない月の下、あれで国をまとめられるのだろうかと、ククは一抹の不安を覚えたのだった。

作者メッセージ

ちょっと状況整理を。今話がよく飲み込めていない方は、一応ご確認ください。
・現在ふたりは、消してしまったろうそくになんとかして火をつけ直し、明日の式典まで何事もなかったかのように隠蔽するために行動している
・ククがろうそくを隠した倉庫の鍵はスペアが2つあり、ひとつは管理小屋に、ひとつはジマのもとにある
・この屋敷では消灯時間を過ぎると、リカと子どもの使用人たちは部屋から出てはいけない
・管理小屋にはジマ特製の侵入者用の罠が仕掛けられており、それによってリカが部屋から脱走したことがバレてしまった(ククの脱走はバレていない)
・警報が鳴ったため、使用人たちは飛び起き、屋敷内の捜索を始めている

2025/02/22 20:35

団栗きんとん
ID:≫ soHtg8UkVbFiM
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セルフリメイク一話一話よ短し御免

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