グーラは会場を出てしばらく走り続け、遠くの森についたところで速度を緩めた。
グーラ「ハァ.........ハァ.........クソ......あんなメインディッシュを食えなかったッ!あんな!極上の!クソッ!クソッ!!クソッ!!!...............チッ!」
荒い息を吐きながら、グーラは目の前にあった大木に向かって力任せに拳を叩きつけた。
ドスン!と凄まじい衝撃音が周囲に響き渡り、木の葉がパラパラと頭上から舞い落ちる。
「クソッ......! あと一歩だったのにッ!!あのエルダーエルフめッ!!!あのエルダーエルフの横入りさえなければッ!!!!」
収まらない苛立ちから、爪が掌に食い込むほど強く拳を握りしめる。逃した相手の威圧感、取り逃がした敗北感、そして満たされない激しい飢餓感が、泥のように胸の底で渦巻いていた。
「逃がさない......次は絶対に喰ってやる......!!!」
歯が擦れ合う嫌な音を立てながら、グーラはギラついた執念深い瞳で、相手が消えていった暗闇の奥をじっと睨みつけ続けていた。
すると、木々の向こうから足音が聞こえた。
グーラはその足音を聞きつけると、ピタリと動きを止めた。
荒い息を殺し、ギラついた瞳をさらに細めて音のする方角へと向けた。暗闇の中で鼻をひくつかせ、その気配をじっくりと探る。
「......何だ? ?」
口元にねっとりとした不気味な笑みを浮かべ、拳を握り直す。逃したメインディッシュの代わりに、飢えと苛立ちを満たしてくれる新たな獲物かもしれないという期待が、その全身から危険な殺気となって滲み出していた。
次の瞬間、木陰から赤髪翠眼の男が二つの小さな鎌を持って現れた。
その男を目にした瞬間、グーラの心の中にはこれまでにない激しい衝撃と欲望が突き抜けた。
胸の奥から湧き上がるのは、恐怖ではなく底知れない歓喜と渇望。全身の血が激しく沸き立ち、今まで出会ったどんな者とも比べものにならないほどの圧倒的な強さを、その全身で感じ取っていた。
目の前の存在は、グーラにとってまさに究極の獲物。喰えなかったメインディッシュのことなど一瞬で頭から吹き飛ぶほどの絶対的な存在感に、興奮で視界が焼き付くような感覚さえ覚えていた。
ただ一心にあの存在を喰らいたい。その強さも命もすべてを喰らい尽くしたいという、抑えきれない狂気的な欲求と飢餓感が、グーラの心と体を完全に支配していた。
「おい、そこのお前......! 骨の髄まで、一滴残さず俺に喰われろッ!!!」
そういって、何も考えずに無我夢中で飛びかかる。
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
二の腕に嚙みつく生々しい音が響いたその瞬間、腹部に蹴りを喰らい、吹っ飛ぶグーラ。
地響きのような衝撃とともに泥と枯葉を撒き散らしながら、グーラは森の奥深くへと転がり出た。
地面を何十メートルも滑り、大木の根に叩きつけられてようやく止まる。
「ガハッ……! ぐ、あ……ッ!!」
口から吐き出されたのは、内臓を打たれたことによる真っ赤な血と――先ほど喰らいついた一部の肉の感触。腹部に叩き込まれた蹴りの威力は凄まじく、肺の空気がすべて叩き出され、視界が明滅するほどの激痛が全身を駆け巡っていた。
しかし、グーラの顔に浮かんでいたのは苦痛の表情ではなかった。
「ハハハハハハハハッ!!!!」
口の端から血を垂らし、激しく咳き込みながらも、その顔は狂喜に歪んでいた。
右腕の爪で地面を深く抉りながら、ゆらりと体を起こす。腹部を抱え込むように前屈みになりつつも、そのギラついた瞳は、目の前に立つ赤髪翠眼の男......キルンから片時も離れない。
グーラは口内に残っている噛み千切った肉片と血を喉の奥へと押し込むと、獰猛に舌を伸ばして口元に付着した血を舐めとった。グーラの力が莫大に増す。
喉を通る絶品の味覚と全身を満たす圧倒的な力に、グーラの瞳から鋭い殺気が一瞬だけ揺らぎ、うっとりと見開かれる。頬を紅潮させ、まるで至高の芸術を前にしたかのように恍惚とした表情で、喉を震わせた。
「旨い.........ッ!最高だ......! 最高だぞッ......お前......!!」
荒い吐息とともに唇を舐め回し、とろけたような笑みを浮かべながらキルンを見つめる。その瞳には、甘美な快楽に酔いしれる狂おしいほどの情熱が宿っていた。
「その肉! その血! その圧倒的な強さ!! 全部......全部俺の胃袋に収まるためにあるようなもんだッ!!さあ......もっと見せろ......! お前を全部喰い尽くすまで、俺は止まらねぇぞッ!!!!」
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
骨が砕け、肉が引きちぎられる生々しく凄惨な破裂音。
「――が、っ!?」
グーラの思考が追いつく前に、右肩に経験したことのない衝撃と空白が走る。
喉を鳴らして叫ぼうとした瞬間には、すでにキルンは元いた場所に佇んでいた。
グーラの右腕を、根元から丸ごと噛み千切って。
ポタポタと、グーラの右肩からは赤黒い血が滝のように噴き出し、枯葉を濡らしていく。自身の右腕が影も形もなくなっている現実を前に、グーラは言葉を失い、目を見開いた。
キルンはグーラから奪い取った太い右腕を咥えたまま、顎に力を込める。
ゴリッ......ボキリッ......
鈍い音を立てて骨ごと少しだけ噛み砕き、その肉片を味わうように舌の上で転がした。
だが、キルンの翠色の瞳に浮かんだのは興奮でも快楽でもなく、ただただ冷淡で底深い不快感だった。
ぺッと吐き捨てるように肉片を口から吐き出し、咥えていた腕を地面へ無造作に放り投げる。
キルン「......マズいな。ゲテモノは旨いって良く聞くもんだが...」
冷ややかな声が、静まり返った夜の森に低く響き渡った。
キルン「『ファメラ』」
魔法の炎で残った右腕を燃やして齧る。
キルン「......焼けばそこそこの味にはなるか。......どうした?驚いた顔をして。喰うのはお前の専売特許じゃねぇぞ?まさか...」
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
その瞬間、左腕の感覚も消失する。
キルン「お前は補食される対象には成り得ないとでも?」
そして、反撃しようとする間もなく、頭の感覚もスパッと消失した。
キルンは無言でグーラのナイフを回収し、後は焼いて喰らった。
キルン「......うん。まぁまぁイケるな。」
第26話「喰魂の魔人と暴食の魔人」終
次回 第27話「WDSF拠点発見/襲撃を掛けるスライ」
グーラ「ハァ.........ハァ.........クソ......あんなメインディッシュを食えなかったッ!あんな!極上の!クソッ!クソッ!!クソッ!!!...............チッ!」
荒い息を吐きながら、グーラは目の前にあった大木に向かって力任せに拳を叩きつけた。
ドスン!と凄まじい衝撃音が周囲に響き渡り、木の葉がパラパラと頭上から舞い落ちる。
「クソッ......! あと一歩だったのにッ!!あのエルダーエルフめッ!!!あのエルダーエルフの横入りさえなければッ!!!!」
収まらない苛立ちから、爪が掌に食い込むほど強く拳を握りしめる。逃した相手の威圧感、取り逃がした敗北感、そして満たされない激しい飢餓感が、泥のように胸の底で渦巻いていた。
「逃がさない......次は絶対に喰ってやる......!!!」
歯が擦れ合う嫌な音を立てながら、グーラはギラついた執念深い瞳で、相手が消えていった暗闇の奥をじっと睨みつけ続けていた。
すると、木々の向こうから足音が聞こえた。
グーラはその足音を聞きつけると、ピタリと動きを止めた。
荒い息を殺し、ギラついた瞳をさらに細めて音のする方角へと向けた。暗闇の中で鼻をひくつかせ、その気配をじっくりと探る。
「......何だ? ?」
口元にねっとりとした不気味な笑みを浮かべ、拳を握り直す。逃したメインディッシュの代わりに、飢えと苛立ちを満たしてくれる新たな獲物かもしれないという期待が、その全身から危険な殺気となって滲み出していた。
次の瞬間、木陰から赤髪翠眼の男が二つの小さな鎌を持って現れた。
その男を目にした瞬間、グーラの心の中にはこれまでにない激しい衝撃と欲望が突き抜けた。
胸の奥から湧き上がるのは、恐怖ではなく底知れない歓喜と渇望。全身の血が激しく沸き立ち、今まで出会ったどんな者とも比べものにならないほどの圧倒的な強さを、その全身で感じ取っていた。
目の前の存在は、グーラにとってまさに究極の獲物。喰えなかったメインディッシュのことなど一瞬で頭から吹き飛ぶほどの絶対的な存在感に、興奮で視界が焼き付くような感覚さえ覚えていた。
ただ一心にあの存在を喰らいたい。その強さも命もすべてを喰らい尽くしたいという、抑えきれない狂気的な欲求と飢餓感が、グーラの心と体を完全に支配していた。
「おい、そこのお前......! 骨の髄まで、一滴残さず俺に喰われろッ!!!」
そういって、何も考えずに無我夢中で飛びかかる。
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
二の腕に嚙みつく生々しい音が響いたその瞬間、腹部に蹴りを喰らい、吹っ飛ぶグーラ。
地響きのような衝撃とともに泥と枯葉を撒き散らしながら、グーラは森の奥深くへと転がり出た。
地面を何十メートルも滑り、大木の根に叩きつけられてようやく止まる。
「ガハッ……! ぐ、あ……ッ!!」
口から吐き出されたのは、内臓を打たれたことによる真っ赤な血と――先ほど喰らいついた一部の肉の感触。腹部に叩き込まれた蹴りの威力は凄まじく、肺の空気がすべて叩き出され、視界が明滅するほどの激痛が全身を駆け巡っていた。
しかし、グーラの顔に浮かんでいたのは苦痛の表情ではなかった。
「ハハハハハハハハッ!!!!」
口の端から血を垂らし、激しく咳き込みながらも、その顔は狂喜に歪んでいた。
右腕の爪で地面を深く抉りながら、ゆらりと体を起こす。腹部を抱え込むように前屈みになりつつも、そのギラついた瞳は、目の前に立つ赤髪翠眼の男......キルンから片時も離れない。
グーラは口内に残っている噛み千切った肉片と血を喉の奥へと押し込むと、獰猛に舌を伸ばして口元に付着した血を舐めとった。グーラの力が莫大に増す。
喉を通る絶品の味覚と全身を満たす圧倒的な力に、グーラの瞳から鋭い殺気が一瞬だけ揺らぎ、うっとりと見開かれる。頬を紅潮させ、まるで至高の芸術を前にしたかのように恍惚とした表情で、喉を震わせた。
「旨い.........ッ!最高だ......! 最高だぞッ......お前......!!」
荒い吐息とともに唇を舐め回し、とろけたような笑みを浮かべながらキルンを見つめる。その瞳には、甘美な快楽に酔いしれる狂おしいほどの情熱が宿っていた。
「その肉! その血! その圧倒的な強さ!! 全部......全部俺の胃袋に収まるためにあるようなもんだッ!!さあ......もっと見せろ......! お前を全部喰い尽くすまで、俺は止まらねぇぞッ!!!!」
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
骨が砕け、肉が引きちぎられる生々しく凄惨な破裂音。
「――が、っ!?」
グーラの思考が追いつく前に、右肩に経験したことのない衝撃と空白が走る。
喉を鳴らして叫ぼうとした瞬間には、すでにキルンは元いた場所に佇んでいた。
グーラの右腕を、根元から丸ごと噛み千切って。
ポタポタと、グーラの右肩からは赤黒い血が滝のように噴き出し、枯葉を濡らしていく。自身の右腕が影も形もなくなっている現実を前に、グーラは言葉を失い、目を見開いた。
キルンはグーラから奪い取った太い右腕を咥えたまま、顎に力を込める。
ゴリッ......ボキリッ......
鈍い音を立てて骨ごと少しだけ噛み砕き、その肉片を味わうように舌の上で転がした。
だが、キルンの翠色の瞳に浮かんだのは興奮でも快楽でもなく、ただただ冷淡で底深い不快感だった。
ぺッと吐き捨てるように肉片を口から吐き出し、咥えていた腕を地面へ無造作に放り投げる。
キルン「......マズいな。ゲテモノは旨いって良く聞くもんだが...」
冷ややかな声が、静まり返った夜の森に低く響き渡った。
キルン「『ファメラ』」
魔法の炎で残った右腕を燃やして齧る。
キルン「......焼けばそこそこの味にはなるか。......どうした?驚いた顔をして。喰うのはお前の専売特許じゃねぇぞ?まさか...」
[大文字][太字]ブチィッ![/太字][/大文字]
その瞬間、左腕の感覚も消失する。
キルン「お前は補食される対象には成り得ないとでも?」
そして、反撃しようとする間もなく、頭の感覚もスパッと消失した。
キルンは無言でグーラのナイフを回収し、後は焼いて喰らった。
キルン「......うん。まぁまぁイケるな。」
第26話「喰魂の魔人と暴食の魔人」終
次回 第27話「WDSF拠点発見/襲撃を掛けるスライ」
- 1.襲撃
- 2.実験施設
- 3.虐殺開始
- 4.喰魂の魔人
- 5.キルンvs.S1-000001
- 6.sideガトス
- 7.脱出/会話/実力測定
- 8.統率/襲撃
- 9.sideアケーリス
- 10.side ガトス2
- 11.side ガトス3
- 12.怒に焼かれし漁人の村
- 13.怒に焼かれし魚人の村2
- 14.キルンvs.イーラ
- 15.Side ガトス4
- 16.Side ガトス5
- 17.Side ガトス6
- 18.Side ガトス7
- 19.Side ガトス8
- 20.歓楽極楽
- 21.喪失者と強者の邂逅
- 22.喰魂の魔人と闇の邂逅
- 23.アレンと討伐依頼
- 24.狂う計画
- 25.斧男vs.アレン
- 26.喰魂の魔人と暴食の魔人
- 27.WDSF拠点発見/襲撃を掛けるスライ