キルンは強者の魂を喰らって得る快感に思いを馳せながら森を進んでいた。
途中から自らを付けている何者かの気配を感じながら。
キルン「...。」
「......。」
「.........。」
「......おい、隠れてないで出て来たらどうだ?」
シャル「...もう気付いたのか。」
キルン「たしか、前の俺の影...シャルとか言ったか?」
シャル「へぇ...記憶はあの狂った女が消したと聞いているんだが、俺の名前は頭の隅に残っているのか。それとも、あの狂った女のデータを覗き見でもしたか?」
シャルは木々の影から音もなく姿を現した。かつて一度命を落とし、アケーリスの手によって蘇生されたその身体からは、以前と同じ、不気味な魔力の波動が立ち上っている。
キルン「狂った女.........?心底どうでも良いな。今の俺が欲しいのは、強者の魂の捕食だ。それを邪魔するなら、誰であろうと殺すぞ。」
シャル「.........前のお前とは違うな。前のお前なら俺に対して憎しみや怨念が籠るしそこまで好戦的ではなかった。前の人格とは違う......が、記憶はある...
つまり、あの女の記憶消去措置で記憶は一度消えていたが、記憶が戻って人格が再形成する前に新しい人格が主人格として構成されたか。
その上で、強者を殺してその魂を喰らい、快感を得る事を至上とする...イカれてんなぁ...
そうだ......手を組まないか?」
キルン「.........どういう意味だ?」
シャル「そのままの意味だ。お前は強者と戦いたい。俺にはあの妙な組織に少し潜ったお陰で強者の知識がある。そして、お前が生み出す闇(狂気)が欲しい。俺達がまた一つになれば、俺は情報を直接渡せるし、実力も上がり、お前のターゲットである、さっきの槍の女に近づく。個人的な話、今のお前はかなり気に入ったしな。」
「実力が上がり、あの女に近づく、か......」
脳裏をよぎるのは、つい先ほど自分を遥か彼方まで叩き伏せた白髪の槍使い、イフィーの圧倒的な戦闘技術。今の跳ね上がったステータスですら子供扱いされた屈辱と、それを上回るほどの『喰い応えがありそうだ』という歪んだ高揚感が、キルンの胸を突き動かす。
シャル「どうだ? 損な話じゃないだろう。前のお前は、俺を拒絶した。たかが『仲間』程度のために。だが今のお前には、そんな下らないブレーキはない。お前が望むままに殺し、喰らう。俺はその影で、お前の生み出す極上の絶望と衝動を貪る。完璧な共生関係だ。」
シャルが妖しく微笑みながら、一歩、また一歩とキルンへ近づく。その足元から伸びる影が、生き物のように蠢き、キルンの足元へと這い寄っていく。
キルン「いいだろう。お前が何者で、前の俺とどんな因縁があったかは知らんが......強くなるための手段を拒む理由はない。」
シャル「話が早くて助かる。前のお前なら、俺が相手じゃなくとも、ここで『お前を信用できるか』だの何だの、退屈な問答を始めていたところだ。」
キルン「ただし、一つ条件がある」
シャル「ほう? 条件だと?」
キルンは二丁の魔双鎌を無造作に肩に担ぎ、冷徹な翠の瞳でシャルを射抜いた。その口元には、かつての彼には決して見られなかった、残虐で傲慢な笑みが浮かんでいる。
キルン「主導権は常に俺にある。お前は俺の力を引き上げるための道具であり、あの槍女の魂を喰らうための踏み台に過ぎない。俺の精神に入っても、俺の意思を操ろうなどと考えるな。もし少しでも妙な動きをすれば、その時はお前の魂ごと噛み砕いて、俺の肥やしにしてやる。」
シャル「それでこそ、俺の[漢字]オリジナル[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな]に相応しい。」
シャルは低く、愉悦に満ちた声で笑うと、その身体を漆黒の霧へと変えた。影を通じてキルンの足元の影と混ざっていく。
キルン「.........ほざけ。影は影らしく引っ込んでろ。」
第22話「喰魂の魔人と闇の邂逅」終
次回 第23話「アレンと討伐依頼」
途中から自らを付けている何者かの気配を感じながら。
キルン「...。」
「......。」
「.........。」
「......おい、隠れてないで出て来たらどうだ?」
シャル「...もう気付いたのか。」
キルン「たしか、前の俺の影...シャルとか言ったか?」
シャル「へぇ...記憶はあの狂った女が消したと聞いているんだが、俺の名前は頭の隅に残っているのか。それとも、あの狂った女のデータを覗き見でもしたか?」
シャルは木々の影から音もなく姿を現した。かつて一度命を落とし、アケーリスの手によって蘇生されたその身体からは、以前と同じ、不気味な魔力の波動が立ち上っている。
キルン「狂った女.........?心底どうでも良いな。今の俺が欲しいのは、強者の魂の捕食だ。それを邪魔するなら、誰であろうと殺すぞ。」
シャル「.........前のお前とは違うな。前のお前なら俺に対して憎しみや怨念が籠るしそこまで好戦的ではなかった。前の人格とは違う......が、記憶はある...
つまり、あの女の記憶消去措置で記憶は一度消えていたが、記憶が戻って人格が再形成する前に新しい人格が主人格として構成されたか。
その上で、強者を殺してその魂を喰らい、快感を得る事を至上とする...イカれてんなぁ...
そうだ......手を組まないか?」
キルン「.........どういう意味だ?」
シャル「そのままの意味だ。お前は強者と戦いたい。俺にはあの妙な組織に少し潜ったお陰で強者の知識がある。そして、お前が生み出す闇(狂気)が欲しい。俺達がまた一つになれば、俺は情報を直接渡せるし、実力も上がり、お前のターゲットである、さっきの槍の女に近づく。個人的な話、今のお前はかなり気に入ったしな。」
「実力が上がり、あの女に近づく、か......」
脳裏をよぎるのは、つい先ほど自分を遥か彼方まで叩き伏せた白髪の槍使い、イフィーの圧倒的な戦闘技術。今の跳ね上がったステータスですら子供扱いされた屈辱と、それを上回るほどの『喰い応えがありそうだ』という歪んだ高揚感が、キルンの胸を突き動かす。
シャル「どうだ? 損な話じゃないだろう。前のお前は、俺を拒絶した。たかが『仲間』程度のために。だが今のお前には、そんな下らないブレーキはない。お前が望むままに殺し、喰らう。俺はその影で、お前の生み出す極上の絶望と衝動を貪る。完璧な共生関係だ。」
シャルが妖しく微笑みながら、一歩、また一歩とキルンへ近づく。その足元から伸びる影が、生き物のように蠢き、キルンの足元へと這い寄っていく。
キルン「いいだろう。お前が何者で、前の俺とどんな因縁があったかは知らんが......強くなるための手段を拒む理由はない。」
シャル「話が早くて助かる。前のお前なら、俺が相手じゃなくとも、ここで『お前を信用できるか』だの何だの、退屈な問答を始めていたところだ。」
キルン「ただし、一つ条件がある」
シャル「ほう? 条件だと?」
キルンは二丁の魔双鎌を無造作に肩に担ぎ、冷徹な翠の瞳でシャルを射抜いた。その口元には、かつての彼には決して見られなかった、残虐で傲慢な笑みが浮かんでいる。
キルン「主導権は常に俺にある。お前は俺の力を引き上げるための道具であり、あの槍女の魂を喰らうための踏み台に過ぎない。俺の精神に入っても、俺の意思を操ろうなどと考えるな。もし少しでも妙な動きをすれば、その時はお前の魂ごと噛み砕いて、俺の肥やしにしてやる。」
シャル「それでこそ、俺の[漢字]オリジナル[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな]に相応しい。」
シャルは低く、愉悦に満ちた声で笑うと、その身体を漆黒の霧へと変えた。影を通じてキルンの足元の影と混ざっていく。
キルン「.........ほざけ。影は影らしく引っ込んでろ。」
第22話「喰魂の魔人と闇の邂逅」終
次回 第23話「アレンと討伐依頼」
- 1.襲撃
- 2.実験施設
- 3.虐殺開始
- 4.喰魂の魔人
- 5.キルンvs.S1-000001
- 6.sideガトス
- 7.脱出/会話/実力測定
- 8.統率/襲撃
- 9.sideアケーリス
- 10.side ガトス2
- 11.side ガトス3
- 12.怒に焼かれし漁人の村
- 13.怒に焼かれし魚人の村2
- 14.キルンvs.イーラ
- 15.Side ガトス4
- 16.Side ガトス5
- 17.Side ガトス6
- 18.Side ガトス7
- 19.Side ガトス8
- 20.歓楽極楽
- 21.喪失者と強者の邂逅
- 22.喰魂の魔人と闇の邂逅
- 23.アレンと討伐依頼
- 24.狂う計画
- 25.斧男vs.アレン
- 26.喰魂の魔人と暴食の魔人
- 27.WDSF拠点発見/襲撃を掛けるスライ