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闇に堕ちる勇者 ~再現の魔人と喰魂の魔人~

#15

Side ガトス4

2月13日22時43分にキルンがイーラを撃破。
時を少し遡り、2月11日13時18分。
ガトスはシャノン達に情報を伝え、彼等から力を借りることに成功。自らも様々な地を巡っていた。
ガトス「キルンのヤツ、何処に居るんだよ...ん?」
ガトスの目に一つの張り紙が目に入った。
「なになに...?えーっと、『5年に一度の大武闘大会!各地から集まる強者達!誰でも参戦大歓迎!君は勝ち抜けるのか!?』か...ハハ...キルンは案外戦闘好きだし来てるかもな~
...なんて、そんなわけ無いか。」

「...」
ガトスの脳裏に、スレーブ帝国での記憶が思い出される。
「...」


「行くだけ行くか...」
溜め息を着いた後、ガトスは武闘大会の観客席のチケットを買うことにした。

受付嬢「ガトスさんですね?では、こちらの利用者カードにお名前と生年月日、性別、住所の記入をお願いします。本日、お楽しみ抽選会もございますので!」
ガトス「あ...ハイ。(意外と面倒だな...)」
ツラツラと書いていき、待合室へ。
その後、受付嬢がその紙を束ねようとした際、ガトスのカードが指先からヒラヒラとこぼれ落ちた。受付嬢はそれに気づかず、後から通りかかった運営スタッフがそれを見つける。
スタッフ「おっと、選手のエントリーシートが落ちてるじゃないか。危ない危ない、ちゃんと箱に戻しておかないとな...」

〈5分後...〉
武闘会スタッフ「ガトスさん! ガトスさんですね? なんでこんなところで油を売ってるんですか、早く行きますよ!」
ガトス「えっ、ちょっと......どこに!?(顔近い顔近い!)」
武闘会スタッフ「いいから早く! 次の試合、もう始まっちゃいますよ!」
ガトス「はいっ!」
​有無を言わさぬ勢いで引きずられていく。
​武闘会スタッフ「ここに居れば3分もすれば呼び出されますから! 準備して!」
ガトス「一体なんの――」
​バタン! と音を立てて扉が閉まった。
一人残されたガトスは、冷や汗を流しながら呟く。
​ガトス「......嫌な予感がする」
[水平線]
アナウンサー「選手の入場です!今回の大武闘大会、なんとエントリーしてきた選手は500人以上!」
ガトス(やっぱり!)
今、ガトスは大武闘大会に選手として出ていた。
ガトス(なんでこうなった!?)
書類を受付嬢が落としてしまい、それを他のスタッフが拾って出場者として提出したからなのだが、ガトスはそれを知らない。
[水平線]
アナウンサー「さあ、選手の入場です! 今回の大武闘大会、なんとエントリー総数は500人超え!」
​大歓声が響き渡る会場の中、ガトスは呆然とリングサイドに立っていた。
​ガトス(やっぱり!なんでこうなった!?)
​書類が選手用として受理されてしまったのだが、そんなことなど知る由もないガトス。
アナウンサー「人数が多いため、50人まで予選で絞ります。」
そういうと、アナウンサーは魔具を取り出した。
ガトス(衝撃を測る魔具か...大方、殴った威力でってことだろう。)
​ガトスは周囲を見渡す。周りの参加者たちは、これ見よがしに筋肉を誇示したり、巨大な武器を構えたりして、やる気満々だ。

​ガトス(はぁ......。キルンを捜しに来ただけなのに、なんで俺が必死に鉄柱を殴らなきゃならないんだよ。......まあ、下手に目立たず、ギリギリ50位に滑り込むくらいが理想か)
​しかし、ガトスの順番が近づくにつれ、不穏な空気が漂い始める。前の参加者たちが予想以上の高スコアを叩き出し、合格ラインがどんどん跳ね上がっているのだ。
​ガトス(......待て...これ、手加減しすぎたら普通に落ちるぞ!?)
そうこうしている内に名前を呼ばれた。
アナウンサー「次! 502番、ガトス選手、前へ!」
​名前を呼ばれ、ガトスは重い足取りで魔具の前へ立った。
周囲の巨漢たちが放つ威圧感の中、ガトスのスマートな体躯はどこか場違いにも見える。
​ガトス(......よし。目立ちたくはないが、ここで落ちたら元も子もない。スピードを乗せて、一点に叩き込む!)
​ガトスは深く息を吐くと、一瞬で踏み込んだ。
並の戦士では残像すら捉えられない電光石火の一撃。パァン!と、乾いた衝撃音が会場に響き渡る。
​魔具の水晶が激しく明滅し、数値がカウントされていく。
​ガトス(手応えは悪くない。......っていうか、今のは俺の中でもかなり本気だぞ。トップ10......いや、上位には食い込んだはず――)
​アナウンサー「判定......出ました! 502番ガトス、第45位! ギリギリ、予選通過です!」
​ガトス「......え?」
​歓声が上がる中、ガトスは自分の拳を二度見した。
​ガトス(45位……? 500人中、45位......? いや、本気だったんだけどな。今のはかなり本気だったんだけどな......!)
​周囲では「おい、あいつあの細身でよく残ったな」「運が良かったのか?」というヒソヒソ話が聞こえてくる。
「衝撃の重さ」を競う測定器において、一瞬の速度を威力に変換する彼のスタイルは、数値上では正当に評価されにくかったのだ。
​ガトス(スピード特化だから、こういう単純な力比べが不利なのは分かってたけど......。それにしてもショックだ。もうちょっと上に行けると思ってた......)
​肩を落として予選通過者の列に並ぶガトスの背中は、どこか寂しげであった。
[水平線]
予選の数値こそ45位だったが、実戦となれば話は別だった。
スピードに特化したガトスの動きは、本戦のリングに上がる猛者たちにとっても「見えない恐怖」そのものだった。
​ガトス(はぁ......45位か......。いや、でもキルンさえ見つかればそれでいいんだ。あいつなら絶対、派手に勝ち上がってるはず......!)
​期待を胸に、対戦相手のリストや勝ち上がり表を隅々までチェックする。
しかし、どこをどう探しても、親友の名前も、それらしき偽名も見当たらない。
​ガトス(......いない。どこにもいない。あいつ、今回に限って出てないのかよ!?)
​「45位のショック」に「キルンの不在」が重なり、ガトスの精神的ダメージは最大値(オーバーキル)に達した。
​「始め!」という合図とともに襲いかかってくる対戦相手たち。
しかし、ガトスは放心状態のまま、無意識にそれらを回避し、カウンターの一撃で次々とリング外へ沈めていく。
​「な、なんだあの動きは!? 予選45位はわざとだったのか!?」
「速すぎる......! 準々決勝まで、一度もかすってすらいないぞ!」
​会場がざわめく中、当のガトスは虚無の表情で次の対戦を待っていた。
​ガトス(......帰りたい。なんで俺、本気であの鉄柱殴ったんだろ。手まで痛めて、キルンもいなくて......一体何やってるんだ、俺......)

第15話「Side ガトス4」
次回 第16話「Side ガトス5」

作者メッセージ

不憫なガトスである。尚、後悔はしていない。

2026/04/27 18:45

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