文字サイズ変更

闇に堕ちる勇者 ~魔勇の日常~

#19

キルンの料理教室

ガトス「...急に料理を覚えろってどうしたんだ?」
キルン「もし俺が作れるような容態じゃなくなった時のための保険だ。覚えておいて損は無い。」
ガトス「...まぁ、それはそうだけど。何から始めるんだ?」
キルン「取り敢えず工程の少ない​アスパラの豚バラ肉巻き(2人分)から始めようと思う。まずは手本から見せる。」
ガトス「よろしく頼む。」
[水平線]
​[太字]アスパラの豚バラ肉巻き(2人分)[/太字]
​【材料】
​豚バラ薄切り肉: 8枚(200g)
​アスパラ: 4本(80g)
​サラダ油: 大さじ1
​【☆たれ】
​酒:大さじ1
​砂糖:大さじ1
​みりん:大さじ1
​しょうゆ:大さじ1と1/2

【作り方】
​1.下ごしらえ
​アスパラは下半分ほどの皮をピーラーでむき、4等分に切る。(合計16本)
​豚肉は長さを半分に。
2.​肉を巻く
​豚肉は半分に切り、一枚ずつアスパラに豚肉1枚をくるくると巻きつける。(合計16個作る)
3.​タレを準備する
​ボウルに【☆たれ】の材料をすべて混ぜ合わせておく。
4.​焼く
​フライパンにサラダ油を入れて熱し、巻き終わりを下にして並べる。
​中火で焼き、焼き色がついたら裏返す。
​ふたをして弱火で2分蒸し焼きに。
5.​仕上げ
​フライパンに出た余分な油をキッチンペーパーなどで拭き取ります。
​混ぜておいたタレを入れ、煮詰めながら全体に絡めたら完成!

(実際に作れるレシピです。試してみてね♪)
[水平線]
​お皿に並んだ瞬間、照りっ照りに輝く琥珀色のタレがガトスの食欲をそそった。

ガトス「...食べて良いか?」
キルン「勿論。」

​口に入れた瞬間、まずは豚バラ肉のカリッとした香ばしさと、脂の甘みがじゅわ~っと広がり、そこへ追い打ちをかけるのが、アスパラのシャキッ!ホクッ!とした絶妙な歯ごたえ。皮を丁寧にむいてあるので、筋っぽさが全くなく、中心までみずみずしさが詰まっている。
醤油、砂糖、みりんによる甘辛いタレが、豚肉の旨味とアスパラの少しほろ苦い風味を完璧にまとめ上げていて、白ご飯が止まらない。豚肉のボリューム感がありつつも、アスパラのおかげで後味は意外とさっぱりだ。

ガトス「旨...」
キルン「さて、やってみろ。」

ガトス「えーっと、
1.下拵え
2.肉を巻く
3.タレを準備する
4.焼く
5.仕上げ
だったよな...」

黙々と作業していくガトス。
そして、一つの皿がキルンの前に置かれた。

キルン「...これはなんだ?」

思わず困惑した。
レシピ通りなら琥珀色のタレが輝いているはずなのに、目の前にあるのは、どす黒い紫がかった謎の液体にまみれた物体。肉巻きの隙間から覗くアスパラの緑が、心なしか毒々しい蛍光色に見えるのは気のせいだろうか……。湯気からは、食欲をそそる甘辛い香りではなく、雑巾と古びたチーズを混ぜたような、鼻を突く異臭が漂ってくる。

キルン「...俺はちゃんと見ていた...変なところは一切無かった......どうしてこうなった?」

​意を決して一口。
キルン「......ッッ!!」
口に入れた瞬間、脳が理解を拒否した。豚バラ肉のカリッとした香ばしさなんて皆無。あるのは、ぐにゃりと粘り気のある、歯が生えかけの歯茎のような不快な弾力。
そしてアスパラ。シャキッ!ホクッ!なんて奇跡は起きない。ドロドロに溶け出した、繊維質の塊が舌にまとわりつき、噛むたびにブチャッと、形容しがたい濁った音が口内に響き渡る。まるで泥を噛んでいるかのような、圧倒的な不快感。
​味? 醤油と砂糖の黄金バランス? そんなものはない。
最初に襲ってきたのは、舌を刺すような強烈な酸味と、その後に続く、喉が焼けるような塩辛さ。さらに、後味として得体の知れない苦味と、生臭さがいつまでも口の中に残り続ける。
​......これは、レシピ通りに作ったはずなのに、一体どこでどう間違えたらこうなるのか。
ここまでを0.01秒で思考したキルンの身体は地に倒れた。

ガトス「キルン―――!!!」

キルンは起きてすぐにガトスに言った。
キルン「...お前は料理しなくて良い。俺が容態を悪化させなければ良いだけだ。」
...と。

作者メッセージ

結論:ガトスに料理をさせるべきではない

2026/04/07 23:25

54342
ID:≫ 0.7.Z3DGXA2DY
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は54342さんに帰属します

TOP