ある国の上空をキルンは飛んでいた。それを、ヤハト達も気付いており、選りすぐりの強者達を集めている。それにキルンは気付いていたが、彼はそれを見ても何も感じなかった。
彼の目には温度はなく、冷えきっていた。
そして、慣れ親しんだあの呪文を、唱える。
キルン「...古より燃え盛りわれらに恵みを与えるヒノカの神よ我に燃え盛る加護を。二十段式展開『ファメラーテ・古』。」
幾千幾万もの焔の矢が、住民の頭を焼き貫いていく。
それを見た後、彼は壺に入っている血肉から三十程の意思を持った幹部を作り出し、集まっている者の内スライを除いた九人を襲わせる。
一人ずつ、確実に殺すために。
キルン「...『魔聖剣術 【千舞一閃】』」
キルンは舞うように歩んだ。すれ違うたび、選りすぐりの強者たちの首が、重力に従って静かに落ちる。まるで枯れ葉を掃除するかのような、残酷なほど丁寧な手際だった。
一人ずつ、最速の一撃で頸を斬っていく。
躊躇を失った彼の攻撃はどんどん苛烈になり、逃れられた者は、イフィー以外には居なかった。
この間、たった十数秒。
少し遅れてガトス達が合流する。
ガトス「...」
キルン「...あぁ...お前らか...これでもうお前らがまた、俺の前から消えてしまうことはないよな。」
ガトス「...何を...言っているんだ...?」
ガトスには理解できなかった。
余りにも、彼の知っているキルンの人物像と、今の彼の発言が掛け離れていたからだ。少ししか話していないが、異変を感じ取った。
キルン「...それとも、俺とやるか?
...何も言わずに一から始めないか?
大丈夫。お前らは俺が守る。絶対に...絶対に手出しはさせないからさ。」
ガトス「...出来るかよ。なんでこんなことをした。お前、そんなやつじゃねえだろ...」
キルン「俺には、もう耐えられない。大切なものが手から溢れて、失ってしまうのが。なら、溢れないように...固めてしまうしかないだろう?」
アレン「貴方が優しいのは私たちが知っている。確かに今回貴方は自らの欲望の為だけに動いたかもしれない。でも、まだ間に合う。まだ、殺してしまった人達の蘇生は出来るし、罪も償える!...だから、お願い...」
スライ「まだ、引き返せます。御願い致します...元の...主に...」
キルン「...それには答えられないな。ここまで来たら...ね。中途半端には終われないよ。」
ガトス「そうか...」
キルン「静かに眠れ。『魔聖剣術 【千舞一閃】』」
イフィー「『[漢字]終焉の言葉[/漢字][ふりがな]ウォードフォメットエンド[/ふりがな] 【[漢字]無焔凍限槍[/漢字][ふりがな]フレイムレスフロストリミットスピア[/ふりがな]】』」
ガトス「ッ!?」
その瞬間、キルンを殺しきるために犠牲覚悟でイフィーは彼ら全員を巻き込む高火力の一撃を放った。
キルンは油断していた。イフィーは既に殺したと思っていた。
だが彼女にはそれを防ぐ何らかの切り札があったのだろう。
イフィー「......ごめんなさい。でも、貴方はここで終わらせる」
彼女の瞳には、仲間への謝罪も、キルンへの慈悲もなかった。あるのは、この世界に現れた「バグ」を消去するという、機械的な殺意。
ガトスの背後で、魔力が臨界点を超える。
キルンが「……ッ!?」と目を見開いた時には、既に視界は白一色の凍てつく焔に染まっていた。
爆音のあと、残ったのは静寂。
ガトスたちが立っていた場所には、形を留めない炭化物が転がっている。
ガトス達諸とも、消し飛ばす判断を下した。
しかし、それでも。
キルン「.........痛......」
キルンは、死んでいなかった。
焼き消えた半身が徐々に再生していく。
ガトス達は意図せぬところから食らった攻撃で、命を落とした。その事に、キルンは気付いた。
気付いてしまった。
キルン「............?」
只でさえ壊れていたキルンの心が、完全に壊れた。
イフィー「......これでも、死なないのね......それに視えるのがこれってことは......詰み......か......」
彼女は笑った。絶望したのではない。自分の全存在を賭けた一撃が通じなかったという、あまりにも巨大な「理不尽」に、ただ乾いた笑いが出たのだ。
次の瞬間、彼女の視界は回転し、地面と空が交互に映ったあと、永遠の闇に沈んだ。
魔勇は、涙を流さなかった。
ただ、目から光が完全に消えた。
キルン「...あぁ、ガトス、アレン。スライも...寝てるだけか。...良いよ。ゆっくり休んでて。」
彼は、目の前の何もない[漢字]宙[/漢字][ふりがな]そら[/ふりがな]に向かって話し掛けた。
魔勇は、それからずっと、飽きること無く宙に向かって語り続けた。
彼の目には温度はなく、冷えきっていた。
そして、慣れ親しんだあの呪文を、唱える。
キルン「...古より燃え盛りわれらに恵みを与えるヒノカの神よ我に燃え盛る加護を。二十段式展開『ファメラーテ・古』。」
幾千幾万もの焔の矢が、住民の頭を焼き貫いていく。
それを見た後、彼は壺に入っている血肉から三十程の意思を持った幹部を作り出し、集まっている者の内スライを除いた九人を襲わせる。
一人ずつ、確実に殺すために。
キルン「...『魔聖剣術 【千舞一閃】』」
キルンは舞うように歩んだ。すれ違うたび、選りすぐりの強者たちの首が、重力に従って静かに落ちる。まるで枯れ葉を掃除するかのような、残酷なほど丁寧な手際だった。
一人ずつ、最速の一撃で頸を斬っていく。
躊躇を失った彼の攻撃はどんどん苛烈になり、逃れられた者は、イフィー以外には居なかった。
この間、たった十数秒。
少し遅れてガトス達が合流する。
ガトス「...」
キルン「...あぁ...お前らか...これでもうお前らがまた、俺の前から消えてしまうことはないよな。」
ガトス「...何を...言っているんだ...?」
ガトスには理解できなかった。
余りにも、彼の知っているキルンの人物像と、今の彼の発言が掛け離れていたからだ。少ししか話していないが、異変を感じ取った。
キルン「...それとも、俺とやるか?
...何も言わずに一から始めないか?
大丈夫。お前らは俺が守る。絶対に...絶対に手出しはさせないからさ。」
ガトス「...出来るかよ。なんでこんなことをした。お前、そんなやつじゃねえだろ...」
キルン「俺には、もう耐えられない。大切なものが手から溢れて、失ってしまうのが。なら、溢れないように...固めてしまうしかないだろう?」
アレン「貴方が優しいのは私たちが知っている。確かに今回貴方は自らの欲望の為だけに動いたかもしれない。でも、まだ間に合う。まだ、殺してしまった人達の蘇生は出来るし、罪も償える!...だから、お願い...」
スライ「まだ、引き返せます。御願い致します...元の...主に...」
キルン「...それには答えられないな。ここまで来たら...ね。中途半端には終われないよ。」
ガトス「そうか...」
キルン「静かに眠れ。『魔聖剣術 【千舞一閃】』」
イフィー「『[漢字]終焉の言葉[/漢字][ふりがな]ウォードフォメットエンド[/ふりがな] 【[漢字]無焔凍限槍[/漢字][ふりがな]フレイムレスフロストリミットスピア[/ふりがな]】』」
ガトス「ッ!?」
その瞬間、キルンを殺しきるために犠牲覚悟でイフィーは彼ら全員を巻き込む高火力の一撃を放った。
キルンは油断していた。イフィーは既に殺したと思っていた。
だが彼女にはそれを防ぐ何らかの切り札があったのだろう。
イフィー「......ごめんなさい。でも、貴方はここで終わらせる」
彼女の瞳には、仲間への謝罪も、キルンへの慈悲もなかった。あるのは、この世界に現れた「バグ」を消去するという、機械的な殺意。
ガトスの背後で、魔力が臨界点を超える。
キルンが「……ッ!?」と目を見開いた時には、既に視界は白一色の凍てつく焔に染まっていた。
爆音のあと、残ったのは静寂。
ガトスたちが立っていた場所には、形を留めない炭化物が転がっている。
ガトス達諸とも、消し飛ばす判断を下した。
しかし、それでも。
キルン「.........痛......」
キルンは、死んでいなかった。
焼き消えた半身が徐々に再生していく。
ガトス達は意図せぬところから食らった攻撃で、命を落とした。その事に、キルンは気付いた。
気付いてしまった。
キルン「............?」
只でさえ壊れていたキルンの心が、完全に壊れた。
イフィー「......これでも、死なないのね......それに視えるのがこれってことは......詰み......か......」
彼女は笑った。絶望したのではない。自分の全存在を賭けた一撃が通じなかったという、あまりにも巨大な「理不尽」に、ただ乾いた笑いが出たのだ。
次の瞬間、彼女の視界は回転し、地面と空が交互に映ったあと、永遠の闇に沈んだ。
魔勇は、涙を流さなかった。
ただ、目から光が完全に消えた。
キルン「...あぁ、ガトス、アレン。スライも...寝てるだけか。...良いよ。ゆっくり休んでて。」
彼は、目の前の何もない[漢字]宙[/漢字][ふりがな]そら[/ふりがな]に向かって話し掛けた。
魔勇は、それからずっと、飽きること無く宙に向かって語り続けた。