本当に使い魔になった...
...試したい事があるな。
まず、知りたいのは
1.喰魂の強化対象は俺だけなのか。
これは俺の支配下にある者にも影響する可能性が高い。コイツらを使い魔にした際にパワーが随分落ちたのを感じる。
分散されたんだろう。
2.コイツらにも影響する場合、コイツらが殺しても魂は喰えるのか?
この二つを確かめるためにはコイツらに何かを狩らせる必要がある。
魔双鎌の意思「成る程...では、この先600~700m前方にある人間達を皆殺しにしては?」
成る程。それは名案だ。
キルン「おい、お前ら。この先にある村の人間を喰い殺せ。一欠片の魂も残さずに。」
スアーウルフ達「ワォン!」
キルン「良い子だ...」
スアーウルフ達「クゥ...クゥーン...」
邪悪に嗤いながら狼達を撫でるキルンとその邪悪な顔に怯える狼達。
彼等自身の主から少しでも長く離れ、機嫌を崩さないために、主の命令を遂行する事を決めた。
一斉に地を蹴り、村へと向かって疾走する狼の影。
その速度は時速150kmを超えている。
俺はその背中を見送りながら、自らの掌を開閉させた。
キルン(身体の違和感は相変わらずだが......もし検証が成功すれば、俺は動かずに強くなれる。効率的だ。)
魔双鎌の意思「流石はマスター。慈悲など微塵も感じられない完璧な采配です。......おや、魂の供給が始まりましたよ。」
スアーウルフ(リーダー格)「ワォォォォォン!!」
先頭を走るリーダー格の個体は、もはや元の狼の面影を失っていた。体躯は馬ほどに巨大化し、その口からはキルンの魔力と同じ禍々しい黒炎が漏れ出している。
村の入り口、数人の自警団員が震える手で槍を構えていた。
自警団員A・B・C・D「な、なんだあの化け物は......! 狼......なのか!?」
スアーウルフにとって、そんな抗いはノイズにすらならなかった。
リーダー個体の一跳び。
自警団員A「ガッ!!」
槍を構えていた男の頭部が、巨大な顎によって一瞬で消失する。
[水平線]
自警団員 A 殺害。
魂の80%をマスターへ転送。20%を個体強化へ充当。
[水平線]
「ヒッ...化け物......化け物だあぁ!!」
逃げ惑う村人たち。しかし、彼らの背後には影のように忍び寄る別の狼たちがいた。
キルンの魔力に染まった狼たちは、かつての「狩りの作法」を忘れていた。
喉を狙うのではない。最も効率よく、最も凄惨に、魂を剥ぎ取るために肉を引き裂く。
一頭のウルフが逃げる子供の足に食らいつき、そのまま引きずり回す。その悲鳴に呼応するように、別の個体が家屋の屋根を突き破り、中に隠れていた老人を食い殺した。
スアーウルフ(リーダー格)(......もっと、もっとだ! マスターに捧げねば、我らが殺される!!)
彼らの脳裏に焼き付いているのは、自分たちを「良い子だ」と撫で回しながら、底知れない邪悪な笑みを浮かべていた主人の顔。
あの時感じた脊髄を凍らせるような圧力が、彼らを狂戦士へと変えていた。
殺戮が進むにつれ、ウルフたちの姿はさらに異形へと成り果てていく。
前脚が人間の腕のように太く発達し、木造家屋を一撃で粉砕する。
瞳にキルンの紋章が浮かび上がり、恐怖で動けなくなった獲物の魂を「視線」だけで凍りつかせる。
鳴き声が複数の人間の悲鳴を混ぜたような、不気味な重奏へと変わる。
キルン(......使い魔の動きは及第点だ。だが、俺なら......。あんな無様に食らいつかなくても、もっと一瞬で、首の皮一枚残さず断ち切れる。)
無意識に、右手の指がピアノを叩くように動く。
それは鎌を振るう動きではない。
親指で「何か」を弾き上げ、一瞬で抜き放つ......「抜刀」の動作だ。
キルン「......チッ。またこれか。おい、魔双鎌。俺のこの右手の癖、どうにかならないのか? 殺戮のノイズになって邪魔でしょうがない。」
魔双鎌の意思「......困りましたね。それは魂の根底に刻まれた「業」のようなもの。無理に消せば、貴方の戦闘技術そのものが崩壊しかねません。」
[水平線]
村人「……ヒッ、……カハッ……」
最後に生き残った村人が、喉を鳴らして事切れる。
その死体を踏みつけているのは、もはや狼とは呼べない「何か」に変貌した使い魔たちだった。
スアーウルフたちは、全身からどす黒い魔力の蒸気を立ち昇らせ、ガタガタと四肢を震わせている。口の端からは犠牲者の血が滴り、その瞳には**「やり遂げた安堵」と「主(キルン)への底知れぬ恐怖」**が混濁していた。
彼らは、主人の元へ戻ると同時に、力なくその場に伏した。
「殺せ」という命令に従い、恐怖に追い詰められながら実行した、完璧な襲撃。この襲撃から生き延びた者は、誰一人居ない。
第8話「統率/襲撃」終
次回 第9話「side アケーリス」
...試したい事があるな。
まず、知りたいのは
1.喰魂の強化対象は俺だけなのか。
これは俺の支配下にある者にも影響する可能性が高い。コイツらを使い魔にした際にパワーが随分落ちたのを感じる。
分散されたんだろう。
2.コイツらにも影響する場合、コイツらが殺しても魂は喰えるのか?
この二つを確かめるためにはコイツらに何かを狩らせる必要がある。
魔双鎌の意思「成る程...では、この先600~700m前方にある人間達を皆殺しにしては?」
成る程。それは名案だ。
キルン「おい、お前ら。この先にある村の人間を喰い殺せ。一欠片の魂も残さずに。」
スアーウルフ達「ワォン!」
キルン「良い子だ...」
スアーウルフ達「クゥ...クゥーン...」
邪悪に嗤いながら狼達を撫でるキルンとその邪悪な顔に怯える狼達。
彼等自身の主から少しでも長く離れ、機嫌を崩さないために、主の命令を遂行する事を決めた。
一斉に地を蹴り、村へと向かって疾走する狼の影。
その速度は時速150kmを超えている。
俺はその背中を見送りながら、自らの掌を開閉させた。
キルン(身体の違和感は相変わらずだが......もし検証が成功すれば、俺は動かずに強くなれる。効率的だ。)
魔双鎌の意思「流石はマスター。慈悲など微塵も感じられない完璧な采配です。......おや、魂の供給が始まりましたよ。」
スアーウルフ(リーダー格)「ワォォォォォン!!」
先頭を走るリーダー格の個体は、もはや元の狼の面影を失っていた。体躯は馬ほどに巨大化し、その口からはキルンの魔力と同じ禍々しい黒炎が漏れ出している。
村の入り口、数人の自警団員が震える手で槍を構えていた。
自警団員A・B・C・D「な、なんだあの化け物は......! 狼......なのか!?」
スアーウルフにとって、そんな抗いはノイズにすらならなかった。
リーダー個体の一跳び。
自警団員A「ガッ!!」
槍を構えていた男の頭部が、巨大な顎によって一瞬で消失する。
[水平線]
自警団員 A 殺害。
魂の80%をマスターへ転送。20%を個体強化へ充当。
[水平線]
「ヒッ...化け物......化け物だあぁ!!」
逃げ惑う村人たち。しかし、彼らの背後には影のように忍び寄る別の狼たちがいた。
キルンの魔力に染まった狼たちは、かつての「狩りの作法」を忘れていた。
喉を狙うのではない。最も効率よく、最も凄惨に、魂を剥ぎ取るために肉を引き裂く。
一頭のウルフが逃げる子供の足に食らいつき、そのまま引きずり回す。その悲鳴に呼応するように、別の個体が家屋の屋根を突き破り、中に隠れていた老人を食い殺した。
スアーウルフ(リーダー格)(......もっと、もっとだ! マスターに捧げねば、我らが殺される!!)
彼らの脳裏に焼き付いているのは、自分たちを「良い子だ」と撫で回しながら、底知れない邪悪な笑みを浮かべていた主人の顔。
あの時感じた脊髄を凍らせるような圧力が、彼らを狂戦士へと変えていた。
殺戮が進むにつれ、ウルフたちの姿はさらに異形へと成り果てていく。
前脚が人間の腕のように太く発達し、木造家屋を一撃で粉砕する。
瞳にキルンの紋章が浮かび上がり、恐怖で動けなくなった獲物の魂を「視線」だけで凍りつかせる。
鳴き声が複数の人間の悲鳴を混ぜたような、不気味な重奏へと変わる。
キルン(......使い魔の動きは及第点だ。だが、俺なら......。あんな無様に食らいつかなくても、もっと一瞬で、首の皮一枚残さず断ち切れる。)
無意識に、右手の指がピアノを叩くように動く。
それは鎌を振るう動きではない。
親指で「何か」を弾き上げ、一瞬で抜き放つ......「抜刀」の動作だ。
キルン「......チッ。またこれか。おい、魔双鎌。俺のこの右手の癖、どうにかならないのか? 殺戮のノイズになって邪魔でしょうがない。」
魔双鎌の意思「......困りましたね。それは魂の根底に刻まれた「業」のようなもの。無理に消せば、貴方の戦闘技術そのものが崩壊しかねません。」
[水平線]
村人「……ヒッ、……カハッ……」
最後に生き残った村人が、喉を鳴らして事切れる。
その死体を踏みつけているのは、もはや狼とは呼べない「何か」に変貌した使い魔たちだった。
スアーウルフたちは、全身からどす黒い魔力の蒸気を立ち昇らせ、ガタガタと四肢を震わせている。口の端からは犠牲者の血が滴り、その瞳には**「やり遂げた安堵」と「主(キルン)への底知れぬ恐怖」**が混濁していた。
彼らは、主人の元へ戻ると同時に、力なくその場に伏した。
「殺せ」という命令に従い、恐怖に追い詰められながら実行した、完璧な襲撃。この襲撃から生き延びた者は、誰一人居ない。
第8話「統率/襲撃」終
次回 第9話「side アケーリス」