ピロシキ連邦……、通称ピ連は、[漢字]共産[/漢字][ふりがな]ギョウザん[/ふりがな]主義を掲げる世界的に見ても珍しい……いや、珍味な国家だ。さながらどんな具材が入っていても必ずおいしい餃子のように、等しくおいしくなることを是とするこの思想体系を初めて採り入れたこの国は、今度の戦争の動向を注意深く見つめていた。
「同志、私は、おにぎり国とハンバーガー国の敵対関係に伴う情勢悪化を最大限利用する必要があると考えます。」
「ふむ…………。君、まさか私を騙そうとしているのではあるまいね……。」
彼の部下は、彼ことピ連邦共産党第一書記長[漢字]酢足[/漢字][ふりがな]スタ[/ふりがな]ーリンに、恐る恐る具申した。
よせば良いのに、誰彼問わず粛清の限りを尽くした彼は被害妄想から猜疑に凝り固まってしまい、何を聞いても疑うのが先だった。
「いえいえ!決してそんな事はございません、どうかご勘弁を!!」
「……。で、その情勢悪化を利用とかいうのは、どういうものなのだね、説明してみなさい。」
「は。それは、[漢字]共産[/漢字][ふりがな]ギョウザん[/ふりがな]主義の理想の実現にあります。」
共産主義は、マルク酢とれんげル酢がまとめ、[漢字]練乳[/漢字][ふりがな]レーニ[/ふりがな]ンが革命を実行したが、その根底には常に、「革命は世界中に伝播するべきだ」という考えがあった。ピロシキ共産党はピ連成立当初、ボリシェ挽きが世界中の革命を指導する仕組み([漢字]五味[/漢字][ふりがな]コミ[/ふりがな]ンテルンという)によってそれを為そうとしたが、結局失敗に終わったため、この頃実権を握った酢足ーリンは世界革命論を諦めてしまった。
しかし、今はどうだろうか。
「世界各国では不況が蔓延り、労働条件はますます厳しくなっています。平和な時世には搾取されることに気付かなかったあっち側の労働者たちも、今度は自国の体制に疑問を持つことでしょう。労働者にとって、おいしさの追求の正解とは、資本主義でもナショナリズムでもなく、共産主義なのです。我々は今こそ声高に平等なおいしさを叫び、彼らを救わねばならないのです。」
「続けたまえ。」
「参戦は必至であります。労働者の救済を宣伝し、我々の正しさを証明するには、参戦のほかありません。戦争によって我々の勢力圏を拡大し、世界革命の理想に再び近づく事ができます。また成立したばかりの我が国はその軍事力の程を世界各国に知らしめるほどの戦争を経験していませんから、なお参戦により実戦経験の蓄積と諸外国への武力的牽制は必要でしょう。それに、自由州に埋蔵されている資源は、只今実行中の、同志が提案なさった五カ年計画に役立ちますしね。」
「……。来週の軍事委員会に諮問してみるかね。」
「了解しました。失礼します。」
部下は書記長室から去り、酢足ーリンは独りとなった。
(わしは、わしを[漢字]ツァーリ[/漢字][ふりがな]皇帝[/ふりがな]とするピロシキ帝国を築きたいのだが。まあ、共産主義はどうせ建前に過ぎん。いずれにせよ、強大な国家の実現には、戦争は不可欠だと言うわけか。これは、わしの暗殺対策に次ぐ新たな悩みの種となりそうだぞ。)
「同志、私は、おにぎり国とハンバーガー国の敵対関係に伴う情勢悪化を最大限利用する必要があると考えます。」
「ふむ…………。君、まさか私を騙そうとしているのではあるまいね……。」
彼の部下は、彼ことピ連邦共産党第一書記長[漢字]酢足[/漢字][ふりがな]スタ[/ふりがな]ーリンに、恐る恐る具申した。
よせば良いのに、誰彼問わず粛清の限りを尽くした彼は被害妄想から猜疑に凝り固まってしまい、何を聞いても疑うのが先だった。
「いえいえ!決してそんな事はございません、どうかご勘弁を!!」
「……。で、その情勢悪化を利用とかいうのは、どういうものなのだね、説明してみなさい。」
「は。それは、[漢字]共産[/漢字][ふりがな]ギョウザん[/ふりがな]主義の理想の実現にあります。」
共産主義は、マルク酢とれんげル酢がまとめ、[漢字]練乳[/漢字][ふりがな]レーニ[/ふりがな]ンが革命を実行したが、その根底には常に、「革命は世界中に伝播するべきだ」という考えがあった。ピロシキ共産党はピ連成立当初、ボリシェ挽きが世界中の革命を指導する仕組み([漢字]五味[/漢字][ふりがな]コミ[/ふりがな]ンテルンという)によってそれを為そうとしたが、結局失敗に終わったため、この頃実権を握った酢足ーリンは世界革命論を諦めてしまった。
しかし、今はどうだろうか。
「世界各国では不況が蔓延り、労働条件はますます厳しくなっています。平和な時世には搾取されることに気付かなかったあっち側の労働者たちも、今度は自国の体制に疑問を持つことでしょう。労働者にとって、おいしさの追求の正解とは、資本主義でもナショナリズムでもなく、共産主義なのです。我々は今こそ声高に平等なおいしさを叫び、彼らを救わねばならないのです。」
「続けたまえ。」
「参戦は必至であります。労働者の救済を宣伝し、我々の正しさを証明するには、参戦のほかありません。戦争によって我々の勢力圏を拡大し、世界革命の理想に再び近づく事ができます。また成立したばかりの我が国はその軍事力の程を世界各国に知らしめるほどの戦争を経験していませんから、なお参戦により実戦経験の蓄積と諸外国への武力的牽制は必要でしょう。それに、自由州に埋蔵されている資源は、只今実行中の、同志が提案なさった五カ年計画に役立ちますしね。」
「……。来週の軍事委員会に諮問してみるかね。」
「了解しました。失礼します。」
部下は書記長室から去り、酢足ーリンは独りとなった。
(わしは、わしを[漢字]ツァーリ[/漢字][ふりがな]皇帝[/ふりがな]とするピロシキ帝国を築きたいのだが。まあ、共産主義はどうせ建前に過ぎん。いずれにせよ、強大な国家の実現には、戦争は不可欠だと言うわけか。これは、わしの暗殺対策に次ぐ新たな悩みの種となりそうだぞ。)