その日の朝はやく、世界中のラジオが鳴り響いた。
「速報です。今日未明、おにぎり国は国連憲章を無視して自由州に侵攻し、ハンバーガー国の陣地を占領したとのことです。」
「おにぎり国は特別軍事作戦の名の下、おにぎり系地元住民の保護と銘打って軍事行動を開始しました。国連はこれに対し緊急会合を開催、すでに賛成多数でおにぎり国の速やかな侵略行為の停止を定める決議が提出されています。しかし、おにぎり国の[漢字]鰹岡[/漢字][ふりがな]かつおか[/ふりがな]代表は、おにぎり国の国連脱退の姿勢を示し、議場から退出しました。また、一部の国家、例えばおにぎり国と同盟する第三プレッツェル帝国やピッツァ王国もこれに同調し、先程の決議を否認するなど、おにぎり国を擁護する立場をとっています。
「専門家の方に話がつながっております。よろしくお願いします。」
「もしもし、はい、ええ。現在の国際社会は非常に緊張が高まり、予断を許さない状況です。問題の早急な解決が試みられていますが、もはや思想的・利益的対立は免れないものと考えるべきでしょう。早ければ数日以内に……。」
「速報です。ハンバーガー国は先程おにぎり国に最後通牒を渡しました。おにぎり国はこれを破棄し、ハンバーガー国を含む数カ国に対し宣戦布告しました。あ、失礼しました、お話の続きを……。」
「ええ……。もうどうしようもありません。恐ろしいことが起きるでしょう。すみませんが、ここらで失礼します。」
「はい、ありがとうございました。この放送をお聴きの皆さん、私どもはこれからも速く、正確で、中立的な報道に努めて参ります。国際情勢の最新情報を日夜お伝えいたしますので、是非お役立てください。」
収録は終わった。放送局内はいつにも増して、騒がしい。無論、戦争関連の話題が次々と舞い込んでくるからだ。
ここは[漢字]大御握帝国放送協会[/漢字][ふりがな]OHK[/ふりがな]。国内外の情報を集約し、”適切”な形にして国民へ伝える報道機関だ。果たして私がさっきの放送の締め括りとしたあの言葉は、いつまで本当でいられるだろうか。戦場とは、何も最前線のみを指す言葉ではないと、先輩のアナウンサーに教えていただいた事がある。
銃後には銃後の戦争。国民の士気を維持するためには、彼らを欺いても構わないのかな。そう考えていると、ディレクターから次回の放送原稿が手渡された。
「さっきのは良かったよ。あ、君も、この国の一端を担っているんだからね。」
「はい、引き続き頑張ります。」
思考の一部が混ざって、変な声が出た。わざとらしく力強い声。どことなく聴き取りづらい感じの響き。
「ははは、これは頼もしい。その感じで次もよろしくね。」
本来、アナウンサーの声とは自然な、聴き取りやすいものであるべきだ。さっきの言葉は、ただの励ましか、あるいはそんな声が戦時には推奨されると言う事なのか。わからない。ただ、私がお国のために、事実と[漢字]違う[/漢字][ふりがな]たが[/ふりがな]報道するときはきっと、あんな声なんだろうな。
「この放送をお聴きの皆さん、私どもはこれからも速く、正確で、中立的な報道に努めて参ります。国際情勢の最新情報を日夜お伝えいたしますので、是非お役立てください。」
「速報です。今日未明、おにぎり国は国連憲章を無視して自由州に侵攻し、ハンバーガー国の陣地を占領したとのことです。」
「おにぎり国は特別軍事作戦の名の下、おにぎり系地元住民の保護と銘打って軍事行動を開始しました。国連はこれに対し緊急会合を開催、すでに賛成多数でおにぎり国の速やかな侵略行為の停止を定める決議が提出されています。しかし、おにぎり国の[漢字]鰹岡[/漢字][ふりがな]かつおか[/ふりがな]代表は、おにぎり国の国連脱退の姿勢を示し、議場から退出しました。また、一部の国家、例えばおにぎり国と同盟する第三プレッツェル帝国やピッツァ王国もこれに同調し、先程の決議を否認するなど、おにぎり国を擁護する立場をとっています。
「専門家の方に話がつながっております。よろしくお願いします。」
「もしもし、はい、ええ。現在の国際社会は非常に緊張が高まり、予断を許さない状況です。問題の早急な解決が試みられていますが、もはや思想的・利益的対立は免れないものと考えるべきでしょう。早ければ数日以内に……。」
「速報です。ハンバーガー国は先程おにぎり国に最後通牒を渡しました。おにぎり国はこれを破棄し、ハンバーガー国を含む数カ国に対し宣戦布告しました。あ、失礼しました、お話の続きを……。」
「ええ……。もうどうしようもありません。恐ろしいことが起きるでしょう。すみませんが、ここらで失礼します。」
「はい、ありがとうございました。この放送をお聴きの皆さん、私どもはこれからも速く、正確で、中立的な報道に努めて参ります。国際情勢の最新情報を日夜お伝えいたしますので、是非お役立てください。」
収録は終わった。放送局内はいつにも増して、騒がしい。無論、戦争関連の話題が次々と舞い込んでくるからだ。
ここは[漢字]大御握帝国放送協会[/漢字][ふりがな]OHK[/ふりがな]。国内外の情報を集約し、”適切”な形にして国民へ伝える報道機関だ。果たして私がさっきの放送の締め括りとしたあの言葉は、いつまで本当でいられるだろうか。戦場とは、何も最前線のみを指す言葉ではないと、先輩のアナウンサーに教えていただいた事がある。
銃後には銃後の戦争。国民の士気を維持するためには、彼らを欺いても構わないのかな。そう考えていると、ディレクターから次回の放送原稿が手渡された。
「さっきのは良かったよ。あ、君も、この国の一端を担っているんだからね。」
「はい、引き続き頑張ります。」
思考の一部が混ざって、変な声が出た。わざとらしく力強い声。どことなく聴き取りづらい感じの響き。
「ははは、これは頼もしい。その感じで次もよろしくね。」
本来、アナウンサーの声とは自然な、聴き取りやすいものであるべきだ。さっきの言葉は、ただの励ましか、あるいはそんな声が戦時には推奨されると言う事なのか。わからない。ただ、私がお国のために、事実と[漢字]違う[/漢字][ふりがな]たが[/ふりがな]報道するときはきっと、あんな声なんだろうな。
「この放送をお聴きの皆さん、私どもはこれからも速く、正確で、中立的な報道に努めて参ります。国際情勢の最新情報を日夜お伝えいたしますので、是非お役立てください。」