「突撃!」
らっぱの合図とともにおにぎり兵らは一斉に転がり始めた。自由州、りょくちゃ平原。小高い丘のバランの茂みから飛び出したおにぎり兵らが転がる先には
「薄汚いハンバーガー第一主義者どもを蹴散らせぇぇ」
かねてよりおにぎりの仮想敵国だった合衆ハンバーガー国が自由州に築いた簡易な陣地があった。
程なくして、甲高いサイレンの音が突撃ラッパの演奏を突き破って、広い自由州の夜空に鳴り響いた。
「戦闘配置、各員持ち場につけ!これは訓練ではない。敵はライスボールだ!」
おにぎり国とハンバーガー国の関係は、今や”仮想”敵国では無い。
ハンバーガー側より照明弾が打ち上げられた。遮蔽のないなだらかな丘を転がって進むおにぎりの姿を、強い光が照らした。
「射撃!」
機関銃陣地から横殴りの鉛玉の雨が降る。
「怯むな。進めっ。進めぇぇ!」「うわあああ!」
おにぎり兵らに機銃弾が浴びせられる。当たったものの形は吹き飛び、それを構成していた米粒が宙を舞った。
「このままじゃ奴らの元へ至る前に全滅だ。」
その時、
「おいあれを!」
鋼鉄の怪物がおにぎり兵らを追い越し、その前へ踊り出ながら前進した。
「戦車だ!俺たちの援護に来たんだ!」
分厚い正面装甲を有するおにぎり型戦車が、転がる歩兵らの盾となり、殺到する銃弾をことごとく跳ね返した。
安心も束の間、狙い澄ました強烈な一発が、戦車の砲塔付近を掠めた。戦場での緊密な連携。戦車よりも視界が広い歩兵は、戦車の後部に設置された電話を用いて、車内に連絡する。
「狙撃兵だ!狙われてる、十一時方向から!」
『ありがとう。装填急げっ』
砲塔が左に向かって照準を始める。砲身が適切な仰角をとった時、一瞬月の光を受けてそれは輝いた。
「発射!」
轟音がするとほぼ同時に、戦車の睨んだ先へ飛んだ砲弾は炸裂した。
「命中したぞ。」「よくやった。」
まもなくおにぎりの突撃歩兵は、ハンバーガーの陣地まで達する。戦車は次なる目標を探して散開した。
「ここからは俺たちの出番だ。」
歩兵らはハンバーガーの塹壕に飛び込んだ。出刃包丁型のダガーを装着した銃剣とともに、逃げ遅れたハンバーガーを次々と突き崩す。あるおにぎりの前に、ハンバーガーが立ち塞がった。
「フ、ファシスト・プレッツェルのお友達め。まだぁ、まだ終わるかよ!」
おにぎり国が同盟する第三プレッツェル帝国はファシズム政権だ。民主的なハンバーガー国はそれらとイデオロギー的に対立していることとなる。
「く、くらっ、喰らえっっ。」
だが今は政治的な観念など関係ない。戦争は政治の延長線上と言えど、その本質は目の前の生ける食べ物を殺すことだから。思想は心を守ってくれない。
「この虚仮め。」
抵抗しようとしたハンバーガーは、終ぞ何もできなかった。それはおそらく練度が不足していたからだ。何の練度かは知る由もない。その隙をついて、相対するおにぎりはハンバーガーのトマトとサラダの間にダガーを刺し、さらに引き金を引いた。
そのあとは言うまでもないだろう。別の場所でもおにぎりたちはハンバーガーを制圧し、遂にハンバーガーの陣地は攻め落とされた。そろそろ夜が明ける。地平の彼方の黎明を見つめながら、あるおにぎりは言った。
「日が昇るぜ。あのお日様はきっと俺たちの繁栄を示しているに違いない。」
言葉を聞いた他のおにぎりたちも頷き、付け加えた。
「なんてったって俺たちの旗は、お日様みたいに真っ赤な梅干しが描かれているからよぅ。」
オムライスの頂上に刺さっていそうな、小さくも力強いおにぎり国の旗が、陥落したハンバーガー陣地に掲げられた。眩しい朝日がおにぎりたちを照らした。
日が昇り切るにはまだ時間がある。
らっぱの合図とともにおにぎり兵らは一斉に転がり始めた。自由州、りょくちゃ平原。小高い丘のバランの茂みから飛び出したおにぎり兵らが転がる先には
「薄汚いハンバーガー第一主義者どもを蹴散らせぇぇ」
かねてよりおにぎりの仮想敵国だった合衆ハンバーガー国が自由州に築いた簡易な陣地があった。
程なくして、甲高いサイレンの音が突撃ラッパの演奏を突き破って、広い自由州の夜空に鳴り響いた。
「戦闘配置、各員持ち場につけ!これは訓練ではない。敵はライスボールだ!」
おにぎり国とハンバーガー国の関係は、今や”仮想”敵国では無い。
ハンバーガー側より照明弾が打ち上げられた。遮蔽のないなだらかな丘を転がって進むおにぎりの姿を、強い光が照らした。
「射撃!」
機関銃陣地から横殴りの鉛玉の雨が降る。
「怯むな。進めっ。進めぇぇ!」「うわあああ!」
おにぎり兵らに機銃弾が浴びせられる。当たったものの形は吹き飛び、それを構成していた米粒が宙を舞った。
「このままじゃ奴らの元へ至る前に全滅だ。」
その時、
「おいあれを!」
鋼鉄の怪物がおにぎり兵らを追い越し、その前へ踊り出ながら前進した。
「戦車だ!俺たちの援護に来たんだ!」
分厚い正面装甲を有するおにぎり型戦車が、転がる歩兵らの盾となり、殺到する銃弾をことごとく跳ね返した。
安心も束の間、狙い澄ました強烈な一発が、戦車の砲塔付近を掠めた。戦場での緊密な連携。戦車よりも視界が広い歩兵は、戦車の後部に設置された電話を用いて、車内に連絡する。
「狙撃兵だ!狙われてる、十一時方向から!」
『ありがとう。装填急げっ』
砲塔が左に向かって照準を始める。砲身が適切な仰角をとった時、一瞬月の光を受けてそれは輝いた。
「発射!」
轟音がするとほぼ同時に、戦車の睨んだ先へ飛んだ砲弾は炸裂した。
「命中したぞ。」「よくやった。」
まもなくおにぎりの突撃歩兵は、ハンバーガーの陣地まで達する。戦車は次なる目標を探して散開した。
「ここからは俺たちの出番だ。」
歩兵らはハンバーガーの塹壕に飛び込んだ。出刃包丁型のダガーを装着した銃剣とともに、逃げ遅れたハンバーガーを次々と突き崩す。あるおにぎりの前に、ハンバーガーが立ち塞がった。
「フ、ファシスト・プレッツェルのお友達め。まだぁ、まだ終わるかよ!」
おにぎり国が同盟する第三プレッツェル帝国はファシズム政権だ。民主的なハンバーガー国はそれらとイデオロギー的に対立していることとなる。
「く、くらっ、喰らえっっ。」
だが今は政治的な観念など関係ない。戦争は政治の延長線上と言えど、その本質は目の前の生ける食べ物を殺すことだから。思想は心を守ってくれない。
「この虚仮め。」
抵抗しようとしたハンバーガーは、終ぞ何もできなかった。それはおそらく練度が不足していたからだ。何の練度かは知る由もない。その隙をついて、相対するおにぎりはハンバーガーのトマトとサラダの間にダガーを刺し、さらに引き金を引いた。
そのあとは言うまでもないだろう。別の場所でもおにぎりたちはハンバーガーを制圧し、遂にハンバーガーの陣地は攻め落とされた。そろそろ夜が明ける。地平の彼方の黎明を見つめながら、あるおにぎりは言った。
「日が昇るぜ。あのお日様はきっと俺たちの繁栄を示しているに違いない。」
言葉を聞いた他のおにぎりたちも頷き、付け加えた。
「なんてったって俺たちの旗は、お日様みたいに真っ赤な梅干しが描かれているからよぅ。」
オムライスの頂上に刺さっていそうな、小さくも力強いおにぎり国の旗が、陥落したハンバーガー陣地に掲げられた。眩しい朝日がおにぎりたちを照らした。
日が昇り切るにはまだ時間がある。