「知ってます?」
轟音を立てる発動機の方を見ながら、あるケーキの副操縦士が尋ねた。
「『デザート』って、『砂漠』ていう意味もあるらしいですよ。」
「へー、知らんかったのぅ。」
ケーキ機長もダルそうに答える。
「まさに今、飛んでるとこやねぇん。」
米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]。あだ名は[漢字]スーパーフォートレス[/漢字][ふりがな]超食うの要塞[/ふりがな]。彼らが搭乗するこの機はデザート砂漠を通過中だった。数十の爆撃機の編隊はこの先にある敵基地を目指している。
「そんならわしも教えたろうか。この『デザート砂漠』てぇ名称はわしらの国しか呼んでねぇとよ。他の国の地図には、こう書いてあるんじゃって……」
きなこ砂漠。かつてこの地を探索したおにぎりの探検家は、無限に続く砂の丘陵をこう名付けた。他国もこの歴史を認め、以来この砂漠はずっと、その名前で呼ばれてきた。
「それなら、まもなくこの砂漠は、『デザート砂漠』になってしまうことになりますねぇ!」
副操縦士が応答する。その言葉は、「きなこ」の名を広めたおにぎりたち……彼らがこの一帯に展開する拠点となる基地を見事爆撃してみせ、「デザート」として自分らが必ずや掌握するという覚悟が滲んだものだった。
「元気があっていいのぅ。すっかりくたびれた老兵には、操縦桿を倒すのが精一杯じゃ。」
「そんな、僕はあなたのような熟練者を尊敬しているのですから、もっと自信をお持ちに。」
「わーっはは!冗談じゃ。まだまだ若いのには負けんわい。」
機長がご機嫌になったところに、報告が入った。
「敵機だ!七時の方向から敵機!上から突っ込んでくる!」
「ありゃライスボールの迎撃機だ。」
機体のシルエットでおにぎり国のものと断定した銃手は、照準器の中央に敵機を収め続けようと努めた。米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]の機関銃はコンピュータによる自動制御であり、銃手は目標をレチクルに合わせるのが仕事だった。
おにぎりの迎撃隊のうち一機が、こちらに狙いを定めたらしい。自機のはるか上空を行く影は、不動の点となった。これは高速で飛ぶすべての物体に言えることだが、こちらに向かって突入してくる飛翔体は、全く動かない点のように見えるのだ。
「頼んだぞ……。」
機長は銃手に願った。落っこちないように祈りながら、自分はただ機の進路を維持するしかない。
「喰らえっっ」
敵機は急降下しながら、機銃弾を撃ちまくる。銃手はその様子を照準器で捉える。コンピュータが操るすべての砲塔が、今敵機に向けて攻撃を開始した!
小気味よいテンポの金属音が大空に響く。空気を震わせる重低音を聞く時、ケーキ銃手は自分の[漢字]おいしさ[/漢字][ふりがな]生[/ふりがな]を実感する。
それと同時に、不快な音もする。互いが発射した弾丸が、それぞれの翼や胴体にぶち当たって、弾けて、貫通する音。その音をよりたくさん聞いた方が落ちる。……こちら側はほぼ無傷のようだが、敵機はどうだろうか。銃手からは、敵機のコクピットが滅茶苦茶になっているのが確認できた。飴細工の風防ガラスは粉々に砕け、中にいたおにぎりも弾を受け跡形もなく損壊していた。まもなく敵機は主翼から火を噴いて、はるか下方の砂の大地へ落ちていった。
「しっかしハンバーガーの野郎どもがくれるのは、どれも優良品ばかりだわぃ。レンドリースが無かったら、今頃わしらは我が国のポンコツと一緒にデザートへお陀仏だったろうな!」
「あっ、右上方からも敵機!」
機長のお喋りは次なる敵によって中断された。
「しゃっ!何度来ても返礼品は同じさ!」
銃手は続け様に射撃を開始する。やはり銃手の腕とコンピュータに狂いはない。次の敵機もまた多数の銃弾を受けて、地上に広がる砂漠へ葬られた……。
かと思われた。どう言うわけか、敵機はこちらに吸い付くように飛んでくる。それは機首を掠めて、左の主翼に激突した。
「おい!カミカゼは海だけじゃないのか、聞いてないぞ!」
敵機の機関はまだ生きていたらしい。パイロットは[漢字]鮮度[/漢字][ふりがな]いのち[/ふりがな]尽き果てる直前に、執念で米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]に食らいついたのだ。だが、今はそれよりも懸念すべき問題がある。
「落ちる!」
片翼を大きくやられた米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]は浮力を失い、高度を下げていった。
「うっっっっっっっ。」
均衡を失った機体が回転運動をはじめ、ケーキたちは機内のあちこちに打ち付けられた。柔らかい食べ物にとても耐えられる仕打ちでは無い。
副操縦士は潰れかけになりながらも、自分の席を支えにして、頑張って窓の外を見た。迎撃を掻い潜った爆撃機たちが一斉に黒い物体を投下する。その直下、敵の基地は爆ぜて土煙を上げた。壮観だった。
米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]。あだ名は超食うの要塞。炎を纏ったそれは、砂の大地に激突して、しばらく盛んに燃えた後、静かになった。その残骸は、デザート砂漠の砂の中でずっと眠っている。
轟音を立てる発動機の方を見ながら、あるケーキの副操縦士が尋ねた。
「『デザート』って、『砂漠』ていう意味もあるらしいですよ。」
「へー、知らんかったのぅ。」
ケーキ機長もダルそうに答える。
「まさに今、飛んでるとこやねぇん。」
米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]。あだ名は[漢字]スーパーフォートレス[/漢字][ふりがな]超食うの要塞[/ふりがな]。彼らが搭乗するこの機はデザート砂漠を通過中だった。数十の爆撃機の編隊はこの先にある敵基地を目指している。
「そんならわしも教えたろうか。この『デザート砂漠』てぇ名称はわしらの国しか呼んでねぇとよ。他の国の地図には、こう書いてあるんじゃって……」
きなこ砂漠。かつてこの地を探索したおにぎりの探検家は、無限に続く砂の丘陵をこう名付けた。他国もこの歴史を認め、以来この砂漠はずっと、その名前で呼ばれてきた。
「それなら、まもなくこの砂漠は、『デザート砂漠』になってしまうことになりますねぇ!」
副操縦士が応答する。その言葉は、「きなこ」の名を広めたおにぎりたち……彼らがこの一帯に展開する拠点となる基地を見事爆撃してみせ、「デザート」として自分らが必ずや掌握するという覚悟が滲んだものだった。
「元気があっていいのぅ。すっかりくたびれた老兵には、操縦桿を倒すのが精一杯じゃ。」
「そんな、僕はあなたのような熟練者を尊敬しているのですから、もっと自信をお持ちに。」
「わーっはは!冗談じゃ。まだまだ若いのには負けんわい。」
機長がご機嫌になったところに、報告が入った。
「敵機だ!七時の方向から敵機!上から突っ込んでくる!」
「ありゃライスボールの迎撃機だ。」
機体のシルエットでおにぎり国のものと断定した銃手は、照準器の中央に敵機を収め続けようと努めた。米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]の機関銃はコンピュータによる自動制御であり、銃手は目標をレチクルに合わせるのが仕事だった。
おにぎりの迎撃隊のうち一機が、こちらに狙いを定めたらしい。自機のはるか上空を行く影は、不動の点となった。これは高速で飛ぶすべての物体に言えることだが、こちらに向かって突入してくる飛翔体は、全く動かない点のように見えるのだ。
「頼んだぞ……。」
機長は銃手に願った。落っこちないように祈りながら、自分はただ機の進路を維持するしかない。
「喰らえっっ」
敵機は急降下しながら、機銃弾を撃ちまくる。銃手はその様子を照準器で捉える。コンピュータが操るすべての砲塔が、今敵機に向けて攻撃を開始した!
小気味よいテンポの金属音が大空に響く。空気を震わせる重低音を聞く時、ケーキ銃手は自分の[漢字]おいしさ[/漢字][ふりがな]生[/ふりがな]を実感する。
それと同時に、不快な音もする。互いが発射した弾丸が、それぞれの翼や胴体にぶち当たって、弾けて、貫通する音。その音をよりたくさん聞いた方が落ちる。……こちら側はほぼ無傷のようだが、敵機はどうだろうか。銃手からは、敵機のコクピットが滅茶苦茶になっているのが確認できた。飴細工の風防ガラスは粉々に砕け、中にいたおにぎりも弾を受け跡形もなく損壊していた。まもなく敵機は主翼から火を噴いて、はるか下方の砂の大地へ落ちていった。
「しっかしハンバーガーの野郎どもがくれるのは、どれも優良品ばかりだわぃ。レンドリースが無かったら、今頃わしらは我が国のポンコツと一緒にデザートへお陀仏だったろうな!」
「あっ、右上方からも敵機!」
機長のお喋りは次なる敵によって中断された。
「しゃっ!何度来ても返礼品は同じさ!」
銃手は続け様に射撃を開始する。やはり銃手の腕とコンピュータに狂いはない。次の敵機もまた多数の銃弾を受けて、地上に広がる砂漠へ葬られた……。
かと思われた。どう言うわけか、敵機はこちらに吸い付くように飛んでくる。それは機首を掠めて、左の主翼に激突した。
「おい!カミカゼは海だけじゃないのか、聞いてないぞ!」
敵機の機関はまだ生きていたらしい。パイロットは[漢字]鮮度[/漢字][ふりがな]いのち[/ふりがな]尽き果てる直前に、執念で米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]に食らいついたのだ。だが、今はそれよりも懸念すべき問題がある。
「落ちる!」
片翼を大きくやられた米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]は浮力を失い、高度を下げていった。
「うっっっっっっっ。」
均衡を失った機体が回転運動をはじめ、ケーキたちは機内のあちこちに打ち付けられた。柔らかい食べ物にとても耐えられる仕打ちでは無い。
副操縦士は潰れかけになりながらも、自分の席を支えにして、頑張って窓の外を見た。迎撃を掻い潜った爆撃機たちが一斉に黒い物体を投下する。その直下、敵の基地は爆ぜて土煙を上げた。壮観だった。
米-[漢字]肉[/漢字][ふりがな]29[/ふりがな]。あだ名は超食うの要塞。炎を纏ったそれは、砂の大地に激突して、しばらく盛んに燃えた後、静かになった。その残骸は、デザート砂漠の砂の中でずっと眠っている。