晴「……ちょっと、何してんの。遅れるよ」
膝に顔をうずめたまま、私は震える声で響を注意した
次の時間は移動教室だ
とっくに予鈴は鳴り終わり、クラスの誰もが教室を出ていっている
私も行かなきゃいけない
机の上には、さっき慌てて掴んだ教科書とノートが広がったままだ
だけど、どうしても足が動かなかった
なぜか突然辛くなって、誰もいなくなった教室の端っこで、
私はただ小さく丸くなって涙を堪えることしかできなかった
そんな私の前に、響はいつの間にか立っていた
上から降ってきた彼の声は、困ったように少し低くて
響はめんどくさそうに頭をかきながら、ぽつりと言った
響「遅れるだけじゃん、遅れるだけならここにいる、晴を置いていけないから」
ドクン、と心臓が痛いほど大きな音を立てた
あまりの衝撃に、一瞬、泣いていた理由さえ忘れてしまいそうになる
今まで、誰かを特別に想う気持ちなんて分からなかった
友達に「好きな人いないの?」と聞かれても、「いないよ、恋愛なんてわかんないし」答えてきた
恋なんて自分にはまだ遠いものだと思っていた
だけど、今なら分かる
だが、響には、一年以上前からずっと片思いしている別の女の子がいる
絶対に私の方なんて向かないと分かっているのに、
この不意打ちの優しさに、私の胸はぐちゃぐちゃに囚われてしまった
ああ、最悪だ。初めて誰かを好きになった瞬間に、私の失恋は決まっているなんて
晴「...いいから...早く行きな、」
私はさらに膝に顔をぎゅっと押し当てた
自分の心に生まれてしまった、あまりにも眩しくて切ない初恋を、絶対に気づかれないように
トントン、と激しく教室のドアが叩かれたのは、そのすぐ後だった
先生「響、晴、もう授業始まってるぞ」
入ってきたのは、先生だった
怒ったような、でもどこか心配そうな声が響き、私はハッとして小さく丸めていた体を固くした
響は気まずそうに頭をかきながら、先生の前に一歩出た
響「ちょっと色々あって...」
晴「...響、教科書持って早く行きなさい、ただでさえ最近遅刻が多いのに...」
先生に背中を押され、響は「チッ」と小さく舌打ちをする
でも、教室を出る直前、彼はドアの隙間から、
まだ端っこで縮こまっている私をじっと振り返った
その目が「大丈夫か?」と言っているみたいで、私は小さく頷くことしかできなかった
ガラガラ、と音を立ててドアが閉まり、響の足音が廊下に遠ざかっていく
急に広くなった教室に、先生の優しい声が静かに降ってきた
先生「...どうした。何かあったか?」
私はゆっくりと、膝から顔を上げた
涙で滲んだ視界の向こう、さっきまで響が立っていた場所には、もう誰もいなかった
膝に顔をうずめたまま、私は震える声で響を注意した
次の時間は移動教室だ
とっくに予鈴は鳴り終わり、クラスの誰もが教室を出ていっている
私も行かなきゃいけない
机の上には、さっき慌てて掴んだ教科書とノートが広がったままだ
だけど、どうしても足が動かなかった
なぜか突然辛くなって、誰もいなくなった教室の端っこで、
私はただ小さく丸くなって涙を堪えることしかできなかった
そんな私の前に、響はいつの間にか立っていた
上から降ってきた彼の声は、困ったように少し低くて
響はめんどくさそうに頭をかきながら、ぽつりと言った
響「遅れるだけじゃん、遅れるだけならここにいる、晴を置いていけないから」
ドクン、と心臓が痛いほど大きな音を立てた
あまりの衝撃に、一瞬、泣いていた理由さえ忘れてしまいそうになる
今まで、誰かを特別に想う気持ちなんて分からなかった
友達に「好きな人いないの?」と聞かれても、「いないよ、恋愛なんてわかんないし」答えてきた
恋なんて自分にはまだ遠いものだと思っていた
だけど、今なら分かる
だが、響には、一年以上前からずっと片思いしている別の女の子がいる
絶対に私の方なんて向かないと分かっているのに、
この不意打ちの優しさに、私の胸はぐちゃぐちゃに囚われてしまった
ああ、最悪だ。初めて誰かを好きになった瞬間に、私の失恋は決まっているなんて
晴「...いいから...早く行きな、」
私はさらに膝に顔をぎゅっと押し当てた
自分の心に生まれてしまった、あまりにも眩しくて切ない初恋を、絶対に気づかれないように
トントン、と激しく教室のドアが叩かれたのは、そのすぐ後だった
先生「響、晴、もう授業始まってるぞ」
入ってきたのは、先生だった
怒ったような、でもどこか心配そうな声が響き、私はハッとして小さく丸めていた体を固くした
響は気まずそうに頭をかきながら、先生の前に一歩出た
響「ちょっと色々あって...」
晴「...響、教科書持って早く行きなさい、ただでさえ最近遅刻が多いのに...」
先生に背中を押され、響は「チッ」と小さく舌打ちをする
でも、教室を出る直前、彼はドアの隙間から、
まだ端っこで縮こまっている私をじっと振り返った
その目が「大丈夫か?」と言っているみたいで、私は小さく頷くことしかできなかった
ガラガラ、と音を立ててドアが閉まり、響の足音が廊下に遠ざかっていく
急に広くなった教室に、先生の優しい声が静かに降ってきた
先生「...どうした。何かあったか?」
私はゆっくりと、膝から顔を上げた
涙で滲んだ視界の向こう、さっきまで響が立っていた場所には、もう誰もいなかった