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待宵草が咲く頃に
「●●は待宵草って知ってる?」
「マツヨイグサ?」
「そうよ。黄色いお花が咲くの。」
「見に行こう!いいでしょ、お母さん!」
「待宵草は夕方に咲くの。」
「じゃあ、朝に行こうよ。」
「朝にはね、散ってしまうの。それに夏に咲くのよ。」
「そうなんだ。今は秋だもんね。じゃあ来年見に行こう。」
「そうね。でも素敵な花言葉も持っているのよ。花言葉は2つあるの。」
「なになに?どんな花言葉なの?」
「待宵草の花言葉のうちの一つはね...」
それから1年後。
『可哀想にねぇ。』
『奥さんが亡くなったっていうのに一度も帰ってきてないらしいわよ。』
『奥さんは気さくな素敵な方だったのにねぇ。』
お母さんが死んでから皆は私を憐れんだ。でもそのうち私に対する憐れみは嫌悪に変わっていった。
『あの子ったらお母さんが死んで悲しくないのかしら。』
『泣いてるところ見たことないわよねぇ。』
お母さんが死んだのは病気なのに私がいない間に、待宵草を取りに行ったからだ。
お母さんは死ぬ間際に手紙と取りに行った待宵草ではなく母子草という花をくれた。
そして父が帰ってきたら待宵草を渡して。と私に言った。お母さんはまだ父のことを愛してるんだ。お母さんが病気って聞いて
も帰ってこないのに。
私は「お父さんのほうが大事なの!?お母さんなんか大嫌い!」と叫んだ。
お母さんは悲しそうな顔をしてそのまま息を引き取った。
次の夏が来て、どうでもいいと思っていたけど、やっぱり待宵草が咲いているのを見たくなった。
それから1週間後。
「・・・あった!」
「君なにしに来たの?」
「あっ!ここあなたの庭だった?」
「違う。でもこんなとこに来る人いないから。こんな時間にいいの?親が心配するじゃない?もう夕方だよ?」
「お母さんは死んだ。お父さんは他の女の人のとこ行ってほとんど帰ってこない。あなたこそ親が心配するんじゃない?」
「父さんは死んだ。母さんは俺のこと心配したりしない。」
「お母さんいるの?良いなぁ。私なんて家に帰っても誰もいないのに。」
「良くないよ。すぐ暴力ふるし。」
「そっか私と一緒かぁ。あなた名前は?」
「悠。君は?」
「●●。よろしく、悠。」
「よろしく、●●。」
「・・・また来ても良い?」
「良いよ。じゃあ待宵草が咲く頃に待ち合わせな。」
「夕方に来ればいいの?」
「そういうこと」
その翌日。
「悠!ごめん。待った?」
「ううん。俺もいま来たところだよ。」
「あっ」
「どうかした?」
「ここ、怪我してる。」
「あぁ。これくらいどうってことないよ。」
「・・・。」
「…今日は何しようか?」
「おしゃべり!」
「?」
「悠のこと知りたい!」
「いいよ。」
それから1時間後。
「悠は植物に詳しいよね。好きなの?」
「死んだ父さんが好きだったんだ。」
「その頃からお母さん暴力ふってたの?」
「ううん。父さんが死ぬ前はすごく優しかったよ。」
「いつまで生きてたの?」
「俺が6歳の時だから、6年前かな?」
「じゃあ6年間も暴力受けてたの?」
「そうだね。…てかさ俺、花言葉とかいっぱい知ってるんだよ。」
「へぇ〜!すごいね!」
「あっもうそろそろ帰ろうか。あまり暗くなると危ないし。」
「そうだね。また明日!・・・これからもずっとここで待ち合わせね!」
「うん。」
それから1年がたった頃。
「●●ちゃん。●●ちゃん。」
「なっなんですか?」
「あなた悠くんの所によく行ってるでしょう?悠くん・・・亡くなったらしいの。だから会いに行ってもいないわよ。」
「うっ嘘よ!悠は必ず来てくれるわ!約束したもの!」
私は駆け出した。
「●●ちゃん‼」
数分後。
「ハアハア。悠は必ず来てくれる・・・!」
「●●。そんなに慌ててどうしたの?」
「悠‼・・・そっその怪我・・・」
「あぁ、これ?母さんに殴られちゃった。」
「いつもより傷が酷い。何があったの?」
「母さんに掴みかかっちゃってさ。」
「どうして・・・?」
「母さんが言ったんだ。『最近帰ってくるのが遅いけど女でもできたのかい?あんたの女なんてあんたに似た惨めで醜い子なんだろうねぇ。』ってそれで掴みかかっちゃった(笑)。俺を貶すのは良いけど●●を貶すのは許せなくてさ。」
「なんで私のためにそこまで・・・。」
「俺は●●のためなら死んでもいいよ。」
「おっ大袈裟だよ。あっあのね!皆が悠は死んだって言うのよ!なわけないのにね。」
「ううん。俺死んだみたいなんだ。」
「ちょっと冗談はやめてよ・・・!」
「・・・」
「冗談だよね・・・?ねぇ冗談だよって言ってよ・・・!」
「全然痛くないんだ。皆俺の体透けるし。」
「でっでも!私触れるし、見えるよ!」
「きっと●●は大切な人だから特別なんだよ。」
「悠も私をおいてくの?お母さんみたいに!お母さんも悠も私の事、大事じゃないんだ!」
「それは違うよ。前に●●のお母さんが待宵草じゃなくて、母子草をくれたって言ってただろ?●●のお母さんはきっとここに来たんだ。●●に待宵草を見せようと。でも母子草を見つけた。知ってる?母子草の花言葉はね、『いつも思う』なんだよ。お母さんはちゃんと●●を愛してたよ。」
「お母さんも悠も私のせいで死んじゃったのね。私なんかに出会わなければ、お母さんは安静にしていて、今頃病気が治ってて、悠だって死ななかったかもしれない。」
「●●。出会わなかったらなんて言わないで。俺は、●●に出会えて毎日が楽しくて、●●のお陰で幸せだった。きっとお母さんもそうだったと思うよ。」
「・・・待宵草一緒に見に行こうねってお母さんと約束してたの。」
「?」
「だからお母さんが待宵草を取りに行って帰ってきて、待宵草をお父さんにあげて私にくれなかったことが悲しくて、酷いことを言って傷つけた。なにか理由があるってわかってたのに...!ちゃんと母子草くれてありがとうって言えばよかった...。」
「じゃあ俺らの分もこれから笑って生きてよ。そしたらやっぱり自分のしたことは間違いじゃなかったって思えるから。」
「うん!(ニコッ)」
「・・・そういうことか。」
「え?」
「俺、●●のお母さんに会ったことがある。」
「どういうこと...?」
「二年前いつものようにこの空き地にいたら女の人がやってきて、ここはあなたの庭?って聞かれて、違うよって答えたら、「待宵草を子どものために取りに来たの。」ってそう言って笑ってた。それで俺が、子供に上げるなら母子草のほうがいいよって母子草の花言葉を教えたんだ。」
「どうして私のお母さんってわかるの?」
「だって笑った顔がそっくりだから。初めて夏姫の笑顔を見た時どこかで見たことあるなって思ったんだ。俺が余計なことを
言ったせいで今まで●●を苦しめちゃったんだね。ごめん。」
「ううん。そんなことない。...お母さんはほんとに私のこと大事にしてくれてたんだね。」
あれから2年。
悠は死んでから待宵草が咲く夏の間だけ約束の場所に来た。
皆は、会えるわけないとか、気が変になったとか言ってくるけど私は気にしない。
だって悠は必ず来てくれるから。
「●●〜!」
ほらね。悠が私に向かって笑顔で手をふる。
「悠!」
私は駆け寄る。
悠は一年前の夏、私に待宵草をくれた。待宵草の花言葉。それは・・・
『ほのかな恋』
植物の花言葉に詳しい悠が知らずに渡すわけがない。
私が花言葉を知っていることは悠には内緒。
それと、意味を知っていて受け取ったことも。
もしあの日、悠が死んでいなかったなら、悠は花だけでなくその花言葉も私に伝えただろう。
それをしなかったのは、たとえ私が悠のことを好きでも、結ばれないと分かっていたから。
私と悠は一緒にいても、同じ世界を生きてはいない。
もし生まれ変わってもまた悠に出会いたい。
でも死ぬまで私は今日を大事にして生きる。
悠の分も私が。
私達、待宵草みたいだね。
夏を待ち焦がれている。
待っている時間はとても長く感じるのに、夏はあっという間に過ぎていく。
夕方に咲いたばかりなのに朝には散ってしまう待宵草も、おんなじ気持ちなんだろうな。
これからもたった一つの約束のために私達はここに来る。
待宵草が咲く頃に会いに来る私の大好きな人。
私は今日も待っている。
あなたと出会ったこの場所で
待宵草が咲くのを眺めながら。
母が私に教えなかった、待宵草のもう一つの花言葉それは...
『虚ろな恋』
「マツヨイグサ?」
「そうよ。黄色いお花が咲くの。」
「見に行こう!いいでしょ、お母さん!」
「待宵草は夕方に咲くの。」
「じゃあ、朝に行こうよ。」
「朝にはね、散ってしまうの。それに夏に咲くのよ。」
「そうなんだ。今は秋だもんね。じゃあ来年見に行こう。」
「そうね。でも素敵な花言葉も持っているのよ。花言葉は2つあるの。」
「なになに?どんな花言葉なの?」
「待宵草の花言葉のうちの一つはね...」
それから1年後。
『可哀想にねぇ。』
『奥さんが亡くなったっていうのに一度も帰ってきてないらしいわよ。』
『奥さんは気さくな素敵な方だったのにねぇ。』
お母さんが死んでから皆は私を憐れんだ。でもそのうち私に対する憐れみは嫌悪に変わっていった。
『あの子ったらお母さんが死んで悲しくないのかしら。』
『泣いてるところ見たことないわよねぇ。』
お母さんが死んだのは病気なのに私がいない間に、待宵草を取りに行ったからだ。
お母さんは死ぬ間際に手紙と取りに行った待宵草ではなく母子草という花をくれた。
そして父が帰ってきたら待宵草を渡して。と私に言った。お母さんはまだ父のことを愛してるんだ。お母さんが病気って聞いて
も帰ってこないのに。
私は「お父さんのほうが大事なの!?お母さんなんか大嫌い!」と叫んだ。
お母さんは悲しそうな顔をしてそのまま息を引き取った。
次の夏が来て、どうでもいいと思っていたけど、やっぱり待宵草が咲いているのを見たくなった。
それから1週間後。
「・・・あった!」
「君なにしに来たの?」
「あっ!ここあなたの庭だった?」
「違う。でもこんなとこに来る人いないから。こんな時間にいいの?親が心配するじゃない?もう夕方だよ?」
「お母さんは死んだ。お父さんは他の女の人のとこ行ってほとんど帰ってこない。あなたこそ親が心配するんじゃない?」
「父さんは死んだ。母さんは俺のこと心配したりしない。」
「お母さんいるの?良いなぁ。私なんて家に帰っても誰もいないのに。」
「良くないよ。すぐ暴力ふるし。」
「そっか私と一緒かぁ。あなた名前は?」
「悠。君は?」
「●●。よろしく、悠。」
「よろしく、●●。」
「・・・また来ても良い?」
「良いよ。じゃあ待宵草が咲く頃に待ち合わせな。」
「夕方に来ればいいの?」
「そういうこと」
その翌日。
「悠!ごめん。待った?」
「ううん。俺もいま来たところだよ。」
「あっ」
「どうかした?」
「ここ、怪我してる。」
「あぁ。これくらいどうってことないよ。」
「・・・。」
「…今日は何しようか?」
「おしゃべり!」
「?」
「悠のこと知りたい!」
「いいよ。」
それから1時間後。
「悠は植物に詳しいよね。好きなの?」
「死んだ父さんが好きだったんだ。」
「その頃からお母さん暴力ふってたの?」
「ううん。父さんが死ぬ前はすごく優しかったよ。」
「いつまで生きてたの?」
「俺が6歳の時だから、6年前かな?」
「じゃあ6年間も暴力受けてたの?」
「そうだね。…てかさ俺、花言葉とかいっぱい知ってるんだよ。」
「へぇ〜!すごいね!」
「あっもうそろそろ帰ろうか。あまり暗くなると危ないし。」
「そうだね。また明日!・・・これからもずっとここで待ち合わせね!」
「うん。」
それから1年がたった頃。
「●●ちゃん。●●ちゃん。」
「なっなんですか?」
「あなた悠くんの所によく行ってるでしょう?悠くん・・・亡くなったらしいの。だから会いに行ってもいないわよ。」
「うっ嘘よ!悠は必ず来てくれるわ!約束したもの!」
私は駆け出した。
「●●ちゃん‼」
数分後。
「ハアハア。悠は必ず来てくれる・・・!」
「●●。そんなに慌ててどうしたの?」
「悠‼・・・そっその怪我・・・」
「あぁ、これ?母さんに殴られちゃった。」
「いつもより傷が酷い。何があったの?」
「母さんに掴みかかっちゃってさ。」
「どうして・・・?」
「母さんが言ったんだ。『最近帰ってくるのが遅いけど女でもできたのかい?あんたの女なんてあんたに似た惨めで醜い子なんだろうねぇ。』ってそれで掴みかかっちゃった(笑)。俺を貶すのは良いけど●●を貶すのは許せなくてさ。」
「なんで私のためにそこまで・・・。」
「俺は●●のためなら死んでもいいよ。」
「おっ大袈裟だよ。あっあのね!皆が悠は死んだって言うのよ!なわけないのにね。」
「ううん。俺死んだみたいなんだ。」
「ちょっと冗談はやめてよ・・・!」
「・・・」
「冗談だよね・・・?ねぇ冗談だよって言ってよ・・・!」
「全然痛くないんだ。皆俺の体透けるし。」
「でっでも!私触れるし、見えるよ!」
「きっと●●は大切な人だから特別なんだよ。」
「悠も私をおいてくの?お母さんみたいに!お母さんも悠も私の事、大事じゃないんだ!」
「それは違うよ。前に●●のお母さんが待宵草じゃなくて、母子草をくれたって言ってただろ?●●のお母さんはきっとここに来たんだ。●●に待宵草を見せようと。でも母子草を見つけた。知ってる?母子草の花言葉はね、『いつも思う』なんだよ。お母さんはちゃんと●●を愛してたよ。」
「お母さんも悠も私のせいで死んじゃったのね。私なんかに出会わなければ、お母さんは安静にしていて、今頃病気が治ってて、悠だって死ななかったかもしれない。」
「●●。出会わなかったらなんて言わないで。俺は、●●に出会えて毎日が楽しくて、●●のお陰で幸せだった。きっとお母さんもそうだったと思うよ。」
「・・・待宵草一緒に見に行こうねってお母さんと約束してたの。」
「?」
「だからお母さんが待宵草を取りに行って帰ってきて、待宵草をお父さんにあげて私にくれなかったことが悲しくて、酷いことを言って傷つけた。なにか理由があるってわかってたのに...!ちゃんと母子草くれてありがとうって言えばよかった...。」
「じゃあ俺らの分もこれから笑って生きてよ。そしたらやっぱり自分のしたことは間違いじゃなかったって思えるから。」
「うん!(ニコッ)」
「・・・そういうことか。」
「え?」
「俺、●●のお母さんに会ったことがある。」
「どういうこと...?」
「二年前いつものようにこの空き地にいたら女の人がやってきて、ここはあなたの庭?って聞かれて、違うよって答えたら、「待宵草を子どものために取りに来たの。」ってそう言って笑ってた。それで俺が、子供に上げるなら母子草のほうがいいよって母子草の花言葉を教えたんだ。」
「どうして私のお母さんってわかるの?」
「だって笑った顔がそっくりだから。初めて夏姫の笑顔を見た時どこかで見たことあるなって思ったんだ。俺が余計なことを
言ったせいで今まで●●を苦しめちゃったんだね。ごめん。」
「ううん。そんなことない。...お母さんはほんとに私のこと大事にしてくれてたんだね。」
あれから2年。
悠は死んでから待宵草が咲く夏の間だけ約束の場所に来た。
皆は、会えるわけないとか、気が変になったとか言ってくるけど私は気にしない。
だって悠は必ず来てくれるから。
「●●〜!」
ほらね。悠が私に向かって笑顔で手をふる。
「悠!」
私は駆け寄る。
悠は一年前の夏、私に待宵草をくれた。待宵草の花言葉。それは・・・
『ほのかな恋』
植物の花言葉に詳しい悠が知らずに渡すわけがない。
私が花言葉を知っていることは悠には内緒。
それと、意味を知っていて受け取ったことも。
もしあの日、悠が死んでいなかったなら、悠は花だけでなくその花言葉も私に伝えただろう。
それをしなかったのは、たとえ私が悠のことを好きでも、結ばれないと分かっていたから。
私と悠は一緒にいても、同じ世界を生きてはいない。
もし生まれ変わってもまた悠に出会いたい。
でも死ぬまで私は今日を大事にして生きる。
悠の分も私が。
私達、待宵草みたいだね。
夏を待ち焦がれている。
待っている時間はとても長く感じるのに、夏はあっという間に過ぎていく。
夕方に咲いたばかりなのに朝には散ってしまう待宵草も、おんなじ気持ちなんだろうな。
これからもたった一つの約束のために私達はここに来る。
待宵草が咲く頃に会いに来る私の大好きな人。
私は今日も待っている。
あなたと出会ったこの場所で
待宵草が咲くのを眺めながら。
母が私に教えなかった、待宵草のもう一つの花言葉それは...
『虚ろな恋』
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