教室のドアを開けると、少しざわっとした空気が流れた。
るかは、まるで迷いこんだ子ウサギみたいに、もじもじと教室の入り口に立っていた。
首元には点滴の跡を隠すスカーフ。
包帯はもう取れていたけど、長袖でそっとかくしていた。
足取りはちょっとおそい。でも、しっかりしていた。
「……おはよう、ございます……」
声はか細いけれど、ちゃんと届いていた。
最初に声をかけてくれたのは、席の近くの女の子だった。
「るかちゃん、久しぶり……!」
驚いて、でもあたたかい声だった。
藍佳が隣で、すっと椅子を引いてくれた。
それだけで、るかの肩の力がふわって抜けた。
授業中、ノートを取る手がちょっと震えた。
先生の声がちょっと遠くて、何度も藍佳のノートをのぞき見した。
でも、藍佳は怒らずに、こっそりノートの端に
「がんばっててえらいよ」って、書いてくれた。
るかは口元を押さえて、そっと笑った。
お昼。
お弁当を出すのが、ちょっとだけ恥ずかしかった。
けど――藍佳が「こっち来なよ」って手を引いてくれて、
ふたりで中庭のベンチへ。
「……るか、ここで食べたいって思ってたの」
そう言ったら、藍佳は「わたしも」って言ってくれた。
午後の授業は、ほんの少し眠くなって、
授業中にうとうとしかけたけど……
藍佳が机の下で、そっと指先をトントンってしてくれた。
「起きてる?」って、やさしく聞いてるみたいだった。
放課後。
みんなが帰る中、るかと藍佳はいつもの屋上へ。
でも今日は、いつもと少し違っていた。
風の音が、すこしだけやわらかかった。
だって、今日のるかは――
ちゃんと、「ここにいる」って思えたから。
るかは、まるで迷いこんだ子ウサギみたいに、もじもじと教室の入り口に立っていた。
首元には点滴の跡を隠すスカーフ。
包帯はもう取れていたけど、長袖でそっとかくしていた。
足取りはちょっとおそい。でも、しっかりしていた。
「……おはよう、ございます……」
声はか細いけれど、ちゃんと届いていた。
最初に声をかけてくれたのは、席の近くの女の子だった。
「るかちゃん、久しぶり……!」
驚いて、でもあたたかい声だった。
藍佳が隣で、すっと椅子を引いてくれた。
それだけで、るかの肩の力がふわって抜けた。
授業中、ノートを取る手がちょっと震えた。
先生の声がちょっと遠くて、何度も藍佳のノートをのぞき見した。
でも、藍佳は怒らずに、こっそりノートの端に
「がんばっててえらいよ」って、書いてくれた。
るかは口元を押さえて、そっと笑った。
お昼。
お弁当を出すのが、ちょっとだけ恥ずかしかった。
けど――藍佳が「こっち来なよ」って手を引いてくれて、
ふたりで中庭のベンチへ。
「……るか、ここで食べたいって思ってたの」
そう言ったら、藍佳は「わたしも」って言ってくれた。
午後の授業は、ほんの少し眠くなって、
授業中にうとうとしかけたけど……
藍佳が机の下で、そっと指先をトントンってしてくれた。
「起きてる?」って、やさしく聞いてるみたいだった。
放課後。
みんなが帰る中、るかと藍佳はいつもの屋上へ。
でも今日は、いつもと少し違っていた。
風の音が、すこしだけやわらかかった。
だって、今日のるかは――
ちゃんと、「ここにいる」って思えたから。