「見せなさい」
ケイトが黒い手を伸ばして、エミリコの後ろ手を掴んだ。
そのままなすすべもなく、エミリコの身体はくるりと後ろに回ってしまう。
「これ…リボン?」
その手に握られていたのは、ワインレッドの細長いリボンだった。ベルベットの生地が、あまり光の入らないクローゼットの前でゆらゆらと重く艶めく。
「リボンなんて隠して、どうするつもりなの?」
「あの…隠してた、というわけではないのですが…」
ケイトに手ごとリボンを掴まれているエミリコが、エプロンドレス越しに、その泣きそうな顔だけをこちらに向けた。
「………これって」
「申し訳ありません!!」
エミリコが、がばっと勢いよく頭を下げた。
2人の目の前にあるのは、猫足のテーブルの上に広げられた、無惨にも破けてしまったケイトのドレス。
そして、その破れた部分に通した丸カンと、リボンが数本。傍には古びたブリキの裁縫セットの箱が置かれていた。
「掃除をしていたら床の荷物につまづいてしまい…何かに掴まろうと手を伸ばした先に、ちょうどそのお洋服が…!」
「…」
エミリコは必死で説明と謝罪を繰り返すが、恐ろしいことにケイトは先ほどから、一言も発していない。
「ケイト様のお気に入りの服を私のせいで捨てることになってしまったら大変だと思って、なんとか修繕しようと…」
掃除を手早く終わらせて、破れた部分の縁取りをし、余ったリボンや端切れを引っ張り出して縫い留めていた。
エミリコは、謝りながらも、違和感を覚えていた。
ケイトから、すすが出ていない。
今までエミリコが失敗をやらかしたり、不機嫌になったときは、頭からまっすぐ煙のようにすすが立ち上っていたのに。
恐る恐るエミリコはケイトの顔色を伺うも、当然その顔は真っ黒で、表情は全く分からない。
しかし、次の瞬間ケイトは驚くべきことを口にした。
「これ…可愛いわ」
「…え?」
ケイトが黒い手を伸ばして、エミリコの後ろ手を掴んだ。
そのままなすすべもなく、エミリコの身体はくるりと後ろに回ってしまう。
「これ…リボン?」
その手に握られていたのは、ワインレッドの細長いリボンだった。ベルベットの生地が、あまり光の入らないクローゼットの前でゆらゆらと重く艶めく。
「リボンなんて隠して、どうするつもりなの?」
「あの…隠してた、というわけではないのですが…」
ケイトに手ごとリボンを掴まれているエミリコが、エプロンドレス越しに、その泣きそうな顔だけをこちらに向けた。
「………これって」
「申し訳ありません!!」
エミリコが、がばっと勢いよく頭を下げた。
2人の目の前にあるのは、猫足のテーブルの上に広げられた、無惨にも破けてしまったケイトのドレス。
そして、その破れた部分に通した丸カンと、リボンが数本。傍には古びたブリキの裁縫セットの箱が置かれていた。
「掃除をしていたら床の荷物につまづいてしまい…何かに掴まろうと手を伸ばした先に、ちょうどそのお洋服が…!」
「…」
エミリコは必死で説明と謝罪を繰り返すが、恐ろしいことにケイトは先ほどから、一言も発していない。
「ケイト様のお気に入りの服を私のせいで捨てることになってしまったら大変だと思って、なんとか修繕しようと…」
掃除を手早く終わらせて、破れた部分の縁取りをし、余ったリボンや端切れを引っ張り出して縫い留めていた。
エミリコは、謝りながらも、違和感を覚えていた。
ケイトから、すすが出ていない。
今までエミリコが失敗をやらかしたり、不機嫌になったときは、頭からまっすぐ煙のようにすすが立ち上っていたのに。
恐る恐るエミリコはケイトの顔色を伺うも、当然その顔は真っ黒で、表情は全く分からない。
しかし、次の瞬間ケイトは驚くべきことを口にした。
「これ…可愛いわ」
「…え?」