「これ…エミリコ、貴方が縫ったのね?」
「はい、そうですが…」
意外な反応を示したケイトに、戸惑った表情を向けるエミリコ。しかし、ケイトの見えない視線は未だ、そのテーブルに縫い付けられているらしい。
「もともと、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]のこのドレスって、背中側にはカフス以外の装飾がなかったわよね?」
エミリコが、細いブロンドを揺らして頷いた。
ワインレッドの艷やかな美しいドレスの、破られてしまった背中側は、ティアドロップバック…つまり[漢字]雫[/漢字][ふりがな]しずく[/ふりがな]型の一粒ダイヤモンドのような開きを小さく作った、上品なデザインになっていた。
「真っ二つに分かれてしまった布地を縫い合わせて、裏地を見せる穴を切り取ったんです。ケイト様の…凛とした立ち姿に、お似合いになるかと」
エミリコがまだ少し申し訳なさそうに、しかしそれよりも照れたようにそう言った。
屋敷の窓に差し込む透明な午後の光が、磨かれた棚の彫刻に、きりりと薄い影を落としている。
ケイトの表情は相変わらず真っ黒で何を考えているのかわからないが、その時エミリコは確かに、
ケイトが、微笑んでいるように思えた。
「そのデザインも素敵だけれど。他の装飾も、まだ試せるかしら?
……[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]にも、できる?」
「はい!」
エミリコは、いつもの何倍もの笑顔でそう頷いた。
「ケイト!?そんなかわいい服持ってたっけ?おいショーン、覚えてるか?」
後日、廊下にてケイトとエミリコがすれ違ったのは、おなじみ自称婚約者のジョンと、彼に仕える真面目な“生き人形”、ショーンだった。
「エミリコと[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]が一緒にリフォームしたのよ。似合っているかしら?」
そう言ってケイトは、心なしか嬉しそうにくるり、とその場で回ってみせる。
ほっそりと軽やかな身体に沿って揺れる、クリスタルプリーツと可愛らしいバックリボン。
「似合う似合う!ケイト、結婚してくれ!」
「断るわ」
いつもの通りの大きな声と涼やかな声を聞きながら、エミリコは思わず、にこりとしてポケットに入れたソーイングセットに手を触れた。
「はい、そうですが…」
意外な反応を示したケイトに、戸惑った表情を向けるエミリコ。しかし、ケイトの見えない視線は未だ、そのテーブルに縫い付けられているらしい。
「もともと、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]のこのドレスって、背中側にはカフス以外の装飾がなかったわよね?」
エミリコが、細いブロンドを揺らして頷いた。
ワインレッドの艷やかな美しいドレスの、破られてしまった背中側は、ティアドロップバック…つまり[漢字]雫[/漢字][ふりがな]しずく[/ふりがな]型の一粒ダイヤモンドのような開きを小さく作った、上品なデザインになっていた。
「真っ二つに分かれてしまった布地を縫い合わせて、裏地を見せる穴を切り取ったんです。ケイト様の…凛とした立ち姿に、お似合いになるかと」
エミリコがまだ少し申し訳なさそうに、しかしそれよりも照れたようにそう言った。
屋敷の窓に差し込む透明な午後の光が、磨かれた棚の彫刻に、きりりと薄い影を落としている。
ケイトの表情は相変わらず真っ黒で何を考えているのかわからないが、その時エミリコは確かに、
ケイトが、微笑んでいるように思えた。
「そのデザインも素敵だけれど。他の装飾も、まだ試せるかしら?
……[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]にも、できる?」
「はい!」
エミリコは、いつもの何倍もの笑顔でそう頷いた。
「ケイト!?そんなかわいい服持ってたっけ?おいショーン、覚えてるか?」
後日、廊下にてケイトとエミリコがすれ違ったのは、おなじみ自称婚約者のジョンと、彼に仕える真面目な“生き人形”、ショーンだった。
「エミリコと[漢字]私[/漢字][ふりがな]ケイト[/ふりがな]が一緒にリフォームしたのよ。似合っているかしら?」
そう言ってケイトは、心なしか嬉しそうにくるり、とその場で回ってみせる。
ほっそりと軽やかな身体に沿って揺れる、クリスタルプリーツと可愛らしいバックリボン。
「似合う似合う!ケイト、結婚してくれ!」
「断るわ」
いつもの通りの大きな声と涼やかな声を聞きながら、エミリコは思わず、にこりとしてポケットに入れたソーイングセットに手を触れた。