閲覧前に必ずご確認ください
コメント欄での雑談.または荒らしはおやめください。
---
夜はまだ終わっていなかった。
拠点の屋上。
風が、少しだけ強くなる。
神楽はフェンスにもたれ、街の光をぼんやり眺めている。
琉夏が隣に立つ。
琉夏「寝ないの」
神楽「寝れる顔してるぅ?」
軽い調子。
だが目の奥は、ずっと覚めたまま。
琉夏「……手、震えてた」
一瞬の沈黙。
神楽は笑う。
「気のせいだよぉ〜」
琉夏「嘘」
即答。
神楽の視線が、わずかに揺れる。
「……観察力、高すぎない?」
琉夏「戦場では普通」
神楽は小さく息を吐く。
そして、珍しく少しだけ真面目な声。
「……昔ね」
風が止む。
「“撃っちゃいけない距離”で撃ったことがあるんだ」
琉夏は黙って聞く。
「顔、見えちゃってさ」
神楽の指が、無意識に震える。
「そしたらねぇ、もうダメ。ずっと残る」
軽く笑う。
でも、声は乾いている。
「それ以来、近いの苦手」
琉夏「弱点だね」
神楽「ひど」
琉夏「でも人間っぽい」
その言葉に、神楽は一瞬だけ目を細める。
「……それ、褒めてる?」
琉夏「たぶん」
風がまた吹く。
少しだけ、空気が柔らぐ。
---
翌朝。
拠点のリビング。
ヌッシが机に突っ伏している。
ヌッシ「眠い……」
ありす「サボり?」
ヌッシ「夜中ずっと誰かが屋上でカチャカチャしててさぁ……」
ありす「神楽さんだ」
その瞬間。
背後から声。
「呼んだぁ?」
ヌッシ「うわ出た」
神楽がだるそうに伸びをしながら現れる。
スーツは相変わらず崩れている。
髪も少し乱れている。
でも目だけは冴えている。
湖緑も合流する。
湖緑「次の任務だ」
空気が締まる。
端末が展開される。
ホログラムに地図。
湖緑「敵対勢力の中継拠点。通信と補給の要だ」
天ちゃんがくるりと回る。
ありす「壊すの?」
湖緑「制圧。情報を優先」
ヌッシ「つまり乱戦」
琉夏「静かには終わらない」
湖緑は神楽を見る。
湖緑「後方支援。狙撃で敵の指揮系統を落とせ」
神楽はあくびを噛み殺す。
「はいはーい。遠くからパンパンする係ねぇ〜」
ヌッシ「言い方」
神楽「じゃあエレガントに撃つ係」
ヌッシ「変わってねえ」
---
数時間後。
廃工場地帯。
空は曇り。
視界は悪くない。
神楽は別ルートで高所へ。
古びた給水塔の上。
ケースを開く。
TAC-50。
ボルトを引く音。
乾いた金属音。
「……いい子だねぇ」
スコープを覗く。
下では、湖緑たちが接近中。
敵の数、想定より多い。
「うわ、めんどくさ」
無線。
琉夏「神楽、見える?」
神楽「見える見える。お客さん多いねぇ〜」
湖緑「優先順位は任せる」
神楽「責任重大じゃん」
だが声は軽い。
スコープ越しに、敵の指揮官らしき男。
距離、1200。
風、横から弱。
呼吸を整える。
引き金。
――一発。
男が崩れる。
すぐに二人目。
三人目。
連鎖的に、敵の動きが乱れる。
ヌッシ「うお、止まった!」
ありす「すごい……!」
琉夏「進む」
チームが一気に踏み込む。
だが。
神楽の視界に、違和感。
一人。
動かない影。
屋内の窓際。
スコープを少し調整。
……子供。
いや、少年。
武器を持っている。
だが、撃っていない。
ただ、こちらを見ている。
距離、約300。
近い。
顔が、見える。
神楽の指が止まる。
呼吸が乱れる。
「……あー……最悪」
無線。
湖緑「どうした」
神楽「ちょっと待ってねぇ〜」
声が少し低い。
少年が、何かを叫ぶ。
聞こえない。
だが口の動き。
「たすけて」
神楽の瞳が揺れる。
指が、震える。
引き金に、かからない。
その瞬間。
別の敵が背後から現れる。
銃口が、琉夏に向く。
神楽の視界に二つの選択。
少年。
琉夏。
一瞬。
ほんの一瞬。
神楽は歯を食いしばる。
「……ごめん」
引き金。
――発砲。
敵の頭が弾ける。
琉夏は無事。
だが。
次の瞬間。
少年の姿が消える。
煙。
爆発。
囮。
神楽「は?」
遅れて理解する。
「……やられた」
無線。
ヌッシ「なんか来るぞ!」
工場の奥から、大型の機動兵器。
脚部が重く地面を叩く。
湖緑「罠だ。撤退ルート確保!」
琉夏「神楽、脚を止められる?」
神楽は一瞬黙る。
そして、笑う。
「任せてよぉ〜」
だがその手は、まだ震えている。
深呼吸。
一回。
二回。
スコープを覗く。
弱点を探す。
関節。
油圧部。
電源ライン。
「……見つけた」
引き金。
――発砲。
関節部が砕ける。
機体が傾く。
二発目。
三発目。
動きが止まる。
ヌッシ「うおお倒れた!」
ありす「すごい!」
琉夏「撤退!」
チームは一気に離脱。
煙と静寂が残る。
---
任務後。
拠点。
空気は重い。
湖緑「情報は回収できた。だが」
視線が神楽へ。
「想定外の遅延があった」
ヌッシがちらっと見る。
ありすも不安そう。
琉夏は黙っている。
神楽はソファに寝転び、天井を見る。
「……ごめんねぇ」
軽く言う。
だが誰も軽く受け取らない。
湖緑「理由は」
沈黙。
神楽は目を閉じる。
「顔、見えた」
それだけ。
琉夏が一歩前に出る。
琉夏「でも撃った」
神楽「うん」
琉夏「守った」
神楽はゆっくり目を開ける。
琉夏を見る。
少しだけ、笑う。
「優しいねぇ」
琉夏「事実」
ヌッシが頭をかく。
ヌッシ「まぁ、その……助かったのは事実だし」
ありす「うん……!」
湖緑は静かに言う。
湖緑「次からは、その“弱点”も計算に入れる」
神楽「やだなぁ〜欠陥品扱い」
湖緑「戦力として扱っている」
一拍。
神楽はふっと笑う。
「……そっか」
---
その夜。
また屋上。
神楽は一人。
ペンダントを開く。
青年の写真。
「……またやったよ」
風が吹く。
「守れたけどさぁ」
目を細める。
「全部は無理だね」
その時。
後ろから足音。
今度は、琉夏だけじゃない。
ありすとヌッシもいる。
ヌッシ「またサボってる」
神楽「仕事終わったしぃ?」
ありすが隣に来る。
ありす「一人じゃないよ」
神楽は少し驚く。
ヌッシ「まぁその……チームだし」
琉夏「壊さないなら、いる意味がある」
神楽はしばらく黙る。
そして、小さく笑う。
「……変な子たち」
でもその声は、少しだけ柔らかい。
---
遠く。
政府施設。
モニターに映る戦闘ログ。
「確認。可惜夜、依然として不安定」
「だが戦力としては有用」
「次段階へ移行する」
画面が切り替わる。
例の“少年”。
生きている。
無表情。
「テストは成功です」
別の声。
「では――回収を」
---
拠点の屋上。
月が雲に隠れる。
神楽が空を見る。
「……来るねぇ」
誰にともなく呟く。
琉夏「何が」
神楽は笑う。
いつもの、あの笑顔。
「めんどくさいやつ」
だがその瞳は、もう逃げていない。
震えは、まだある。
それでも。
引き金から、指は離れていなかった。
―――つづく
- 1.❦▫️Youngest Newcomer▫️❦
- 2.MISSION2
- 3.MISSION3
- 4.MISSION4
- 5.FINALMISSION(物語はまだ続くよ!!!)
- 6.Hidden MISSION (!?)
- 7.▫️❦ Angel ~ Fallen Angel ❦▫️
- 8.煙_ purple smoke 紫_
- 9.❦✯sweet panic✯❦
- 10._== villain==_
- 11.✰=Dream=✰
- 12.ー=anonymous=ー
- 13. Embrace the past.
- 14.new light...
- 15.stage 1>
- 16.stage-2
- 17.stage3
- 18.stage4
- 19.stage5
- 20.Stage6
- 21.stage7
- 22.__終幕__stage8___
- 23.__後日談__Afterstory___
- 24.=Those who didn't let go=
- 25.また、いつか。
- 26.絡み(蒼&湖緑)
- 27.絡み
- 28.絡み!!
- 29.✿A pinch of happiness ✿
- 30.==to==
- 31.New
- 32.Rabbit
- 33.久しく。
- 34.?�シ孕tudent;?
- 35.�シ嬉沺」�沐ケ�シ
- 36.�シ熟ight\_
- 37.ふらっと帰ってきました