君 に 飼 わ れ る 夜
放課後 、 橙に 空き教室に 呼び出されていた 俺は 向かった 。
桃
「 なに ぃ ー ? 」
橙と 二人きりと言う 興奮を 抑えつつ 言うと 、 橙が 近づいてきて 無言で 俺を 机に 押し倒した 。
橙の 手が 俺の 頬に 触れる 。
手の 暖かさが 伝わってきて 、 自然と 俺の 頬は 赤くなる 。
橙
「 なぁ 桃ちゃん 、 今日 他の人 見てたよな ? 」
教室での 明るさが 消え失せたように 、 暗い目で 言う 。
桃
「 ッ ⁈ 」
桃
「 見てない 、 橙以外 、 見るわけ ないだろ っ ? 」
俺が 好きなのは 、 橙 だけなのに 。
橙
「 悪い 子 には 、 お仕置き が 必要 やんな ぁ ? 」
まるで 言い訳など 聞かないと いうふうに 、 橙は 笑いながら 、 俺の ネクタイを 掴んで 、 俺を 動けないように する 。
そんなこと しなくても 、 俺 、 逃げないのに 。
桃
「 ッ う゛ 」
すぐさま 、 俺の 脛に 鈍い 痛みが はしる 。
橙
「 桃ちゃんが 俺以外 見れへん ように なるまで 、 身体に 教えたげるわ ❤︎ 」
桃
「 うぁ゛ッ 」
続けざまに 、 色々な ところに 橙の 手が 当たる 。
橙
「 痛くないやんな ぁ ? 」
痛くない 。
橙の 手のひらは 、 何も 痛くなかった 。
だって 、 コレ は 、 橙の 愛情表現 だもん ___ 。
桃
「 いたく 、 ない 」
橙
「 え ー 、 おもんないな ぁ 」
そっか 。
じゃあ なんていえば いいんだろう ?
桃
「 ん っと 、、 痛い 、 けど 嫌じゃない 」
橙
「 ふふ 、 やっぱ 桃ちゃんは ええ子 やわ 」
桃
「 へへ っ 、 」
橙に 褒められて 、 俺は また 橙以外 見れないほど 堕ちていく 。
橙の 手なら どんなに 痛めつけられても 嫌じゃないし 、 橙の 言葉なら どんな 暴言でも 嬉しい 。
橙
「 明日の 夜 、 空いとる ? 」
桃
「 空いてる 空いてる ! 」
橙の 言葉は いつだって 、 俺の 心を 甘く 溶かして行った 。
一生 、 橙の 言う通りで いいや って 。
そう 思えるほど 、 いつだって 俺の 眼中には 橙しか なかった 。
橙
「 じゃーな 、 桃ちゃん 」
桃
「 ん 、 ばいばい 」
先ほど 殴られた 痛みも 忘れて 、 俺は 名残惜しそうに 手を ふる 。
あーあ 、 一生 一緒に いれたら いいのに 。
そう 思いながら 空き教室で 、 橙の 残した 気配を 感じていると 、 幼馴染の 蒼が 入ってきた 。
蒼
「 桃くん じゃん ! 一緒に 帰ろ 〜 」
桃
「 んぇ ー 。。 」
今日 、 他の 奴 見ないでって 言われた ばっかなんだけど 。
蒼
「 え ー 。 また あの 橙 って 人に なんか 言われたの ー ? 」
桃
「 うっさいな ぁ … 。 いいだろ 、 俺は 橙が 好きなんだから 」
蒼
「 ダメ だって ! めっちゃ 不公平じゃん 」
蒼
「 何で 桃くん 、 それで 嫌じゃないの ? 」
なんか 、 蒼 、 最近 しつこい 。
面倒くさくなって 、 俺は 突き放すように 言った 。
桃
「 何で とか 、 聞いてない 」
そう 。
そんな こと 言ってる暇 、 俺には ないんだ 。
橙 を 、 アイツ に 取られる前に 、
早く 、 早く もっと 可愛く ならないと ッ 。
数週間前 、 橙が 空き教室に 、 俺以外の “ 誰か ” を 連れて 入っていた 。
橙は 、 ソイツに 抱きついて 、 頭を 撫でられて 喜んでいた 。
俺には 、 そんな 顔 見せてくれないのに 。
橙
「 紫くん かわええ な 〜 」
紫
「 も 〜 、 甘えん坊 だな ぁ 」
二人は 、 まるで 、 付き合ってるかの ように 振る舞って 。
紫 、 とか いうやつも 余裕そうに 笑って 。
何で 。
おかしいだろ 。
俺 、 ちゃんと 言うこと 聞いてたじゃん 。
大人しく お座り してたじゃん 。
なのに 、 そんな 奴が いいの ?
でも 、 きっと もっと いい子に してたら 、 橙も 俺を 見てくれる はず …… 。
愛情は 、 きっと 俺に 注がれる はずだから 。
傷跡の 数は いつのまにか 数えられなくなって 、
身体が 痛いのも 分かんなくなった 。
俺 、 週に 二回の “ ご褒美 ” で 、 また 明日も いい子に できるから 。
橙
「 もう 桃ちゃん 、 要らんわ 」
とか 、 絶対 言わせたくないから 、
今日だって 、 ちゃんと 、 可愛く いい子に なれてた でしょう ?
蒼
「 桃くん 、 ! 」
蒼
「 桃くん しっかりして ! 」
いつのまにか 、 橙のことしか 頭になくて 、 蒼が いることを 忘れていた 。
桃
「 ん 、 あ 、 わり …… 」
蒼
「 んも ……… 。 絶対 やめといた方が 言いって …… 」
蒼
「 最近 、 桃くん おかしいもん 」
桃
「 好きな 人に 会いたい って 言って 何が 悪いんだよ 」
蒼
「 だーかーら ! 桃くんも 橙くんも 執着心が 異常なの ! 」
蒼
「 それ 、 もう 愛じゃなくて 依存 ! 」
意味 分かんね 。
じゃ 、 橙が 取られるかも しれないって 思った時の 苦しさは 、 何だって いうんだよ 。
橙が 選ぶ 優しい 言葉も 、
戸惑う 手のひらも 、
端正な 横顔も 、
全部 、 俺だけの もの だもん 。
今日は 、 優しく 撫でてくれるかな って 、
それだけが 楽しみで 俺は 生きてるんだよ 。
そう 思っていると 、 隣から 鈍い 音が 聞こえて 、 俺は 慌てて 隣の 教室へ 走る 。
だれ ?
俺の 考えごとの 邪魔するのは 。
桃
「 蒼 、 ごめん 、 ちょっと トイレ 」
そう 誤魔化して 、 隣の 教室を 覗き込むと 、 例の 彼奴 、 紫が 橙を 突き飛ばしていた 。
紫
「 痛いよ 橙くん っ 、 ! 何で そんなこと するの ⁈ 」
なに言ってんの 。
愛されてるって こと じゃん 。
まあ 、 紫くんには 到底 、 橙くんの “ アレ ” が 耐えられる わけない って 思ってたけど 。
やっぱり 、 橙には 俺しか いないし 、 俺にも 橙しか いないんだよ 。
「 もう嫌だ 」 とか 言って 離れられない くらい 、
ピッタリ 合わさってるから 。
俺は 、 教室で 立ち止まっている 橙を 抱きしめる 。
桃
「 橙 ……… 、、 どうしたの 」
橙
「 …… 何でも ないで 。 やっぱ 桃ちゃんが ええわ 」
知ってる 。
もう 俺のこと なんて 、 どうにでも すれば いいよ 。
橙の シャツの 、 洗剤 液の 柑橘の 匂いが 、 鼻につく 。
でも もう これだって 辛くない 。
橙
「 桃ちゃん 、 」
橙が 俺の 唇を 塞ぐ 。
酸素が 無くなって 苦しい 。
けど 、 今更 噛んだって 怒られる だけだから 。
今日だって 、 橙の 前で いい子に して るから 。
俺の こと ちゃんと 見て 、
俺を 一生 、 完全に 離れられないくらい 淘汰 してみてよ ___ ?
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