「はい、じゃあ明日は頑張ろうね」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
響木先生の声の後、二十人の声が重なりリハーサルは終わった。
私はヴァイオリンを片付けながらうっすらと笑った。
「ねえねえ、今日このあと、新しくできたタピオカ屋さんいかない?」
「いよいよ明日かぁ。頑張んないとね」
椅子をしまう音。
荷物を動かすときの音。
部室にいるみんなの沢山の色を持つ〝音〟。
それに喜んでいる人なんて少し珍しいだろう。
そんなことを思っているとハーフアップヘアの可愛い女の子―友達の有紗がやってきた。
「ねえ、カノン。このあと美雪の家で『明日は頑張ろう会』があるらしいんだけど、いく?」
「ああ。…。私はちょっともう少し練習したいから…。ごめん、パス」
「わかったよ。…。どーせ悠成君でしょ」
有紗がからかってくる。でも、図星だから何も言い返すことができない。
「いいよいいよ。行っていきな。恋愛の進歩のほうが女子会よりも重要だし♥」
「ご、ごめん…。でも、そんな皮肉げに言わなくても…」
有紗は恋愛話好きで有名。でも、あんま首突っ込まないで!悠生くんとはそんな仲じゃないからさっ!
でも、優しく接してくれるだけでありがたい。
「じゃあね」
部室を振り返ってそう声をかけてから帰る。
「ただいま」
引っ越してきた(?)家には最低限の荷物とヴァイオリン、アップライトピアノしかおいていないという、他の人から見たら『こんなとこに住めんのかっ!?』と突っ込みたくなるようなぐらいだろう。でも、私にはこれが十分だ。
そっと床に荷物を置き、ダイニングにある椅子に座る。妖精だった頃にはない、なんだかホッとする感覚だった。
その時だった。急に明るい色―赤と黄色の小さな花びらが入ってきた。それも大量に。
普通の人間だったらびっくりするどころではないだろう。
でも、私は人間ではない。魔法界に長年いた体だ。
花びらは人の形を作っていき、私よりも身長がほんの少し小さいぐらいの女子の形を作った。形はやがて本当に女の子になった。
お人形みたいなきれいな女の子だ。少し日焼けした健康そうな肌、黄色い目と赤い髪の毛。
私はその女の子を見たことがあった。
「椿菜ひよりさん―ですよね…。」
「なーんだ。わかったのか。」
眼の前にいる女子―ひよりさんは少しつまらなそうに頬を膨らました。
「えっと…。ひよりさんはなんで私の家に…」
「あ、ひーちゃんでいいよ。えっとね、朔夜がね、『二ヶ月ほど経ったけど音城さん、大丈夫かどうか心配だからひよりちょっと行ってこい』って。」
『』の中は少し低い声で言うひよりさん―いや、ひーちゃん。
でも、もう二ヶ月経ったんだ。あの日から
◇
「ここは…?」
気づけば周りが一面真っ白だった。
何があったのかを思い出す。
思い出そうとすると頭が痛む。
そうだ…。あれは確か―
頭にはあの日の光景が浮かぶ。
「これがあれば…。」
赤と茶色の絵の具を合わせたような、目がおかしくなりそうな液体を手に持ち、何かを呟いた男子―同じクラスの神城朔夜さんは紅い月の見える満月―皆既月食の夜、教室にいた。
それと神城さんがその後、私に気づき、何かを呟いたのしか覚えていない。
気づいたら、ここにいた。
ふと思う。
―〝契約の玉〟がなくなっている―
契約の玉、別名︰妖精石。私達のような妖精たちが生まれるとできる、ビー玉のような石。その玉がなくなってしまうと、存在しなくなってしまう、妖精にとっては大事にしないといけないものだった。
ここにいる理由がわかる―この世に存在しないものになってしまったのだ。
カノン・ヴィーエル、ここで人生終了しました。
…。意識が消えないのだけが気になる。
大体、体感時間で二時間というところだろう。寝てた時間を合わせて、五時間程だろう。
合計七時間ってとこ。
妖精石が消えたのに、なぜ消えないのだろう。
流行りの五億年ボタンとかかな?そんな事あるわけ無いか。
「あ、起きましたか?」
へ?何?えっ?幽霊?
突然聞こえた声にビビる。
実は自分、結構ビビり。
「あー。幽霊じゃないんで落ち着いてください。えーっと…。
『神』です。」
「…。Are you god?」
「Yes.I am god.」
…。はあ?てか、心の声、読めるのっ?
いや、でも、神ってっ!?!?
「えー。はなさ…。いや、偽名なのんないほうがいっか。えーっと…霞ノ宮 琴音です。うーんと、万花の女神って聞いたことありませんか?」
「…。あります。」
万花の女神―霞ノ宮琴音。
私のような並のレベルの妖精でも知っているような、花の女神様。
「あー。何話せばいいんだろう。えーっと?
…。まず、うちの朔夜が失礼しました。
えっとね…。」
この後霞ノ宮琴音様が話してくださった話は長ったらしかったから箇条書きにしました。
1.クラスの咲夜さんは魔法使いで琴音様が生み出した。
2.咲夜さんは皆既月食の夜に手に入れられる強大な魔術を手に入れようとしていた。
3.儀式中、私を儀式を止めに来た人だと勘違い。
4.ガラス玉を魔術で割ってしまう。
5.琴音様が力を私に分けてくれたおかげで今も私は平気。
「でも、カノンちゃん、音の精霊だから、存在―〝音〟がないから、そのうち消えてしまうんじゃないかな?」
「よくご存知で…。そうなんですけど、大丈夫でしょうか。」
「…。私から言えるのは、まず、ここにいるあなたが感じている一時間は元の空間での四週間なの。あなたがここの空間にいた時間は、だいたい八時間。」
「消えるまで、結構時間がないんですね。」
「そこで、こっちの人外チーム―といっても、カノンちゃんも人外だけどね、人外チームが手をうったんだ」
ここからの霞ノ宮琴音様のお話は少し長かったからまとめると―
1.咲夜さんを転校させた(パートナーさんも一緒)
2.私はそこに転校したことにして、学校生活を送る。
3.その学校で音を残す。
「転校、姿を見せる、消えるまでの期間の延長―それは私と朔夜がどうにかする。だから、あんま気にしないでいいよ。」
そう言ってくれた
◇
「あのときは本当に朔夜が迷惑かけてごめんね」
「いいいよいいよ。大した事ないし。でも、ああして悠成君とも出会えた。それで、今の私がいる。全然迷惑じゃないよ。」
「えー。そう?朔夜、結構迷惑なんだけどなぁ」
…。ここに朔夜くんがいたら、多分、ひーちゃん、殺されてるよ。
「じゃあ、そろそろ自分、変えるわ。」
「えっ?もう帰っちゃうの?」
「見たいテレビ、あるし。」
ひーちゃん、魔法っぽくないよ。
「あ、そうだ。これ、渡しとくね。」
そう言ってひーちゃんが渡してくれたのは、シンプルで可愛げのない、封筒。
「じゃあね!」
いうと同時にひーちゃんの体がふわっと浮いて消えていった
椿の花が舞っている。
「手紙ってなんだろう。」
さっきもらった手紙を開く。
ひーちゃんじゃないよね、書いたの。
◇
「いってきます。」
「もう行っちゃうの?」
「ゆうちゃんもしばらく気をつけてね。」
「カノン、どこに行くの?」
「…。天界」
「…。はぁ?」
―完―
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
響木先生の声の後、二十人の声が重なりリハーサルは終わった。
私はヴァイオリンを片付けながらうっすらと笑った。
「ねえねえ、今日このあと、新しくできたタピオカ屋さんいかない?」
「いよいよ明日かぁ。頑張んないとね」
椅子をしまう音。
荷物を動かすときの音。
部室にいるみんなの沢山の色を持つ〝音〟。
それに喜んでいる人なんて少し珍しいだろう。
そんなことを思っているとハーフアップヘアの可愛い女の子―友達の有紗がやってきた。
「ねえ、カノン。このあと美雪の家で『明日は頑張ろう会』があるらしいんだけど、いく?」
「ああ。…。私はちょっともう少し練習したいから…。ごめん、パス」
「わかったよ。…。どーせ悠成君でしょ」
有紗がからかってくる。でも、図星だから何も言い返すことができない。
「いいよいいよ。行っていきな。恋愛の進歩のほうが女子会よりも重要だし♥」
「ご、ごめん…。でも、そんな皮肉げに言わなくても…」
有紗は恋愛話好きで有名。でも、あんま首突っ込まないで!悠生くんとはそんな仲じゃないからさっ!
でも、優しく接してくれるだけでありがたい。
「じゃあね」
部室を振り返ってそう声をかけてから帰る。
「ただいま」
引っ越してきた(?)家には最低限の荷物とヴァイオリン、アップライトピアノしかおいていないという、他の人から見たら『こんなとこに住めんのかっ!?』と突っ込みたくなるようなぐらいだろう。でも、私にはこれが十分だ。
そっと床に荷物を置き、ダイニングにある椅子に座る。妖精だった頃にはない、なんだかホッとする感覚だった。
その時だった。急に明るい色―赤と黄色の小さな花びらが入ってきた。それも大量に。
普通の人間だったらびっくりするどころではないだろう。
でも、私は人間ではない。魔法界に長年いた体だ。
花びらは人の形を作っていき、私よりも身長がほんの少し小さいぐらいの女子の形を作った。形はやがて本当に女の子になった。
お人形みたいなきれいな女の子だ。少し日焼けした健康そうな肌、黄色い目と赤い髪の毛。
私はその女の子を見たことがあった。
「椿菜ひよりさん―ですよね…。」
「なーんだ。わかったのか。」
眼の前にいる女子―ひよりさんは少しつまらなそうに頬を膨らました。
「えっと…。ひよりさんはなんで私の家に…」
「あ、ひーちゃんでいいよ。えっとね、朔夜がね、『二ヶ月ほど経ったけど音城さん、大丈夫かどうか心配だからひよりちょっと行ってこい』って。」
『』の中は少し低い声で言うひよりさん―いや、ひーちゃん。
でも、もう二ヶ月経ったんだ。あの日から
◇
「ここは…?」
気づけば周りが一面真っ白だった。
何があったのかを思い出す。
思い出そうとすると頭が痛む。
そうだ…。あれは確か―
頭にはあの日の光景が浮かぶ。
「これがあれば…。」
赤と茶色の絵の具を合わせたような、目がおかしくなりそうな液体を手に持ち、何かを呟いた男子―同じクラスの神城朔夜さんは紅い月の見える満月―皆既月食の夜、教室にいた。
それと神城さんがその後、私に気づき、何かを呟いたのしか覚えていない。
気づいたら、ここにいた。
ふと思う。
―〝契約の玉〟がなくなっている―
契約の玉、別名︰妖精石。私達のような妖精たちが生まれるとできる、ビー玉のような石。その玉がなくなってしまうと、存在しなくなってしまう、妖精にとっては大事にしないといけないものだった。
ここにいる理由がわかる―この世に存在しないものになってしまったのだ。
カノン・ヴィーエル、ここで人生終了しました。
…。意識が消えないのだけが気になる。
大体、体感時間で二時間というところだろう。寝てた時間を合わせて、五時間程だろう。
合計七時間ってとこ。
妖精石が消えたのに、なぜ消えないのだろう。
流行りの五億年ボタンとかかな?そんな事あるわけ無いか。
「あ、起きましたか?」
へ?何?えっ?幽霊?
突然聞こえた声にビビる。
実は自分、結構ビビり。
「あー。幽霊じゃないんで落ち着いてください。えーっと…。
『神』です。」
「…。Are you god?」
「Yes.I am god.」
…。はあ?てか、心の声、読めるのっ?
いや、でも、神ってっ!?!?
「えー。はなさ…。いや、偽名なのんないほうがいっか。えーっと…霞ノ宮 琴音です。うーんと、万花の女神って聞いたことありませんか?」
「…。あります。」
万花の女神―霞ノ宮琴音。
私のような並のレベルの妖精でも知っているような、花の女神様。
「あー。何話せばいいんだろう。えーっと?
…。まず、うちの朔夜が失礼しました。
えっとね…。」
この後霞ノ宮琴音様が話してくださった話は長ったらしかったから箇条書きにしました。
1.クラスの咲夜さんは魔法使いで琴音様が生み出した。
2.咲夜さんは皆既月食の夜に手に入れられる強大な魔術を手に入れようとしていた。
3.儀式中、私を儀式を止めに来た人だと勘違い。
4.ガラス玉を魔術で割ってしまう。
5.琴音様が力を私に分けてくれたおかげで今も私は平気。
「でも、カノンちゃん、音の精霊だから、存在―〝音〟がないから、そのうち消えてしまうんじゃないかな?」
「よくご存知で…。そうなんですけど、大丈夫でしょうか。」
「…。私から言えるのは、まず、ここにいるあなたが感じている一時間は元の空間での四週間なの。あなたがここの空間にいた時間は、だいたい八時間。」
「消えるまで、結構時間がないんですね。」
「そこで、こっちの人外チーム―といっても、カノンちゃんも人外だけどね、人外チームが手をうったんだ」
ここからの霞ノ宮琴音様のお話は少し長かったからまとめると―
1.咲夜さんを転校させた(パートナーさんも一緒)
2.私はそこに転校したことにして、学校生活を送る。
3.その学校で音を残す。
「転校、姿を見せる、消えるまでの期間の延長―それは私と朔夜がどうにかする。だから、あんま気にしないでいいよ。」
そう言ってくれた
◇
「あのときは本当に朔夜が迷惑かけてごめんね」
「いいいよいいよ。大した事ないし。でも、ああして悠成君とも出会えた。それで、今の私がいる。全然迷惑じゃないよ。」
「えー。そう?朔夜、結構迷惑なんだけどなぁ」
…。ここに朔夜くんがいたら、多分、ひーちゃん、殺されてるよ。
「じゃあ、そろそろ自分、変えるわ。」
「えっ?もう帰っちゃうの?」
「見たいテレビ、あるし。」
ひーちゃん、魔法っぽくないよ。
「あ、そうだ。これ、渡しとくね。」
そう言ってひーちゃんが渡してくれたのは、シンプルで可愛げのない、封筒。
「じゃあね!」
いうと同時にひーちゃんの体がふわっと浮いて消えていった
椿の花が舞っている。
「手紙ってなんだろう。」
さっきもらった手紙を開く。
ひーちゃんじゃないよね、書いたの。
◇
「いってきます。」
「もう行っちゃうの?」
「ゆうちゃんもしばらく気をつけてね。」
「カノン、どこに行くの?」
「…。天界」
「…。はぁ?」
―完―