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閲覧数100ッ!? 参加〆切1月31日です! 【参加型】あなたは何の宝石ですか?話を聞かせてください。

#4

ウォーター・オパール 揺れる光は、嘘をつかない

ユリ・アーシアは、
背筋をまっすぐに伸ばして歩いていた。

赤いふりふりの服は、
どこから見ても非の打ち所がない。
汚れひとつなく、
皺ひとつなく、
歩き方まで“正しい”。

「わたくしの得意なことですか?…ピアノとかでしょうか?」

そう言うとき、
声はいつも柔らかい。
少し高くて、
少し曖昧で、
誰にも引っかからない音。

―優等生は、角があってはいけない。

それを、
ユリは身体で覚えていた。

胸元に揺れるウォーター・オパールは、
透明に近い乳白色。
光の角度で、
青にも、
緑にも、
淡い虹にも見える。

とても綺麗で、
そして、
どこにも定まらない色。

砂利道の先に、
ひとりの魔女が立っていた。
淡い水色と紫のあいだを揺れる衣。
風に逆らわず、
ただそこにいる人。

「こんにちは、ユリ・アーシア」

名前を呼ばれ、
ユリは小さく驚く。

「…わたくしをご存じなのですか?」

「ええ。音がとても綺麗だったから」

「音…?」

「歩く音。呼吸の音。全部、我慢している音」

ユリは、
反射的に微笑んだ。

「まあ…そのようなことは…。
皆さんすごいですね。わたくしなんて、まだまだですわ」

いつもの言葉。
いつもの安全な返答。

けれど、
ウォーター・オパールが、かすかに曇った。

魔女は何も言わず、
ただ隣を歩く。

しばらくして、
丘の上に古いピアノがあった。
風雨にさらされ、
音は狂っているはずなのに。

「弾いてみる?」

「……よろしいのですか?」

「ええ。間違えても」

ユリの指は、
少し震えていた。
それでも鍵盤に触れる。

音が、
零れた。

綺麗な旋律。
でも途中で、
音が濁る。
指が止まり、
息が詰まる。

―間違えたら、価値がない。

その記憶が、
胸を締めつけた。

突然、
視界が滲んだ。

ぽた、
と鍵盤に水滴が落ちる。

「…あ」

涙だった。

「わ、わたくし…失礼を…」

謝ろうとするユリを、魔女は止めない。
慰めない。
ただ、
言う。

「ウォーター・オパールはね、感情を隠さない宝石なの」

ユリは、
涙を拭えなかった。

「優等生でいないと…
わたくし、殴られて…
褒められると、少しだけ、生きていい気がして…」

声が崩れる。

「だから、頑張らないと…
遅れたら…価値がなくなるから…」

ウォーター・オパールが、強く光った。
揺れながら、
濁りながら、
それでも美しく。

魔女は静かに言う。

「揺れていいのよ、ユリ」

「…え?」

「水は、形を決めない。
だからこそ、どんな器にもなれる」

ユリは、
初めて顔を上げた。

「優等生じゃないあなたも、
泣いて止まるあなたも、
どちらも、あなたの本当の光」

沈黙の中、
風が吹く。

ユリの宝石は、
涙の色を含んだまま、
淡く輝いていた。

「…わたくし」

小さく、
でもはっきり言う。

「間違えても…よろしいのでしょうか」

魔女は微笑む。

「ええ。
むしろ、嘘をつくよりずっと」

ユリは、
もう一度鍵盤に触れた。

音は完璧じゃない。
でも、
逃げなかった。

ウォーター・オパールは、
水面のように揺れながら、
確かに光る。

―評価されなくても、
―役に立たなくても、
―ここにいていい。

その夜、
ユリは初めて、
「優等生」ではない自分の呼吸を、
愛おしいと思った。

物語は続く。

揺れる光は、
嘘をつかないまま、
そこにあった。

作者メッセージ

ウォーター・オパールは、
見る角度や光によって表情を変える宝石である。
透明な乳白色の中に、
青や緑、淡い虹色を宿し、
その輝きは決してひとつに定まらない。

その性質から、
この宝石には「揺れる感情」や「ありのままの心」という意味が与えられてきた。
感情が変わること、迷うこと、涙を流すこと—
—それらすべてが偽りではなく、
真実の一部なのだと、この石は語る。

ウォーター・オパールは、
無理に形を保とうとしない。
抑え込まれていた想いが表に現れたとき、
そこに初めて本当の輝きが生まれるとされている。
だからこの宝石は、
「解放」や「癒し」、そして「自分を許すこと」の象徴でもある。

揺れていい。
濁ってもいい。
そのままで光ることを、ウォーター・オパールは肯定する。

貴方にも、ウォーター・オパールのやさしい揺らぎと、正直な心のご加護が訪れますように。

2026/01/25 00:00

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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