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350閲覧ありがとう! 参加〆切【大型(?)参加型】 学園内何でも屋〜悪魔ハ何者ナノカ、理由ハ魔導書二アル。〜

#15

迷子ガ増エル日

学園祭まで、
あと一週間。

校内の空気は、
完全に「準備モード」だった。

段ボールの山。
ペンキの匂い。
普段は使われない教室の扉が、
次々と開いていく。

―はず、だった。



「…あれ?」

図書室の前で、
見知らぬ生徒が立ち止まっていた。

白衣姿。
腰のベルトには、
ビーカーがいくつも下がっている。

完全に、
理科室の人。

オゾンさんだ。

「ここ、
理科準備室じゃないよね?」

首を傾げながら、
こちらを見る。

「えっと…図書室です」

私が答えると、
彼はぱちりと目を瞬かせた。

「そっか。
じゃあ迷ったな」

さらっと言った。

…名乗った?

雷が、
私の後ろで小さく言う。

「この人、
“見えてる”側だね」



風白先生は、
そのやり取りを、
少し離れた場所で見ていた。

見ている。
でも、
“見えている”ものには触れない。

「神谷さん」

穏やかな声。

「その方も、
相談でしょうか」

オゾンさんは、
一瞬だけ、
先生をじっと見た。

―ほんの一瞬。

「…うん」

それから、
少しだけ笑う。

「相談、かな」



その日の放課後。

「迷子が多いですね」

風白先生は、
何でも屋の机に
簡単なメモを広げた。

「同じ場所を、
何度も通ったという報告」

「階段が、
増えたように感じたという証言」

全部、
“気のせい”で処理できる程度。

でも、
数が多すぎる。

雷が、
机の上で足をぶらぶらさせながら言う。

「ねー、
これさ。

夜に、
学校が動いてない?」

…動いてる。

私も、
うすうす感じていた。



その夜。

校舎の奥。
使われていない棟。

半透明の少女が、
ぽつりと呟く。

「ちょっとやりすぎた?」

labyrinth。

「まあいいや」

その隣で、
少年が腕を組む。

「やりすぎだな」

glitch。

二人は、
校舎を“遊び場”みたいに見ていた。

迷路。
抜け道。
ショートカット。

夜の学校は、
少しずつ、
組み替えられていく。



翌日。

風白先生は、
いつもより少しだけ
早く学校に来ていた。

誰もいない廊下。

「…」

一歩。
二歩。

歩幅を測るように、
床を踏む。

昨日と、
同じ距離。

―でも。

「…なるほど」

それだけ言って、
何も記さない。

止めない。
壊さない。

ただ、
“起きている”ことを
把握する。

それが、
この人のやり方。



放課後。

「先生」

私が声をかけると、
風白先生は振り向いた。

「何か、
おかしいですよね」

直球だった。

先生は、
少しだけ困ったように笑う。

「学園祭前は、
だいたいこんなものです」

嘘。
でも、
優しい嘘。

「不安になりますか?」

「…少し」

正直に答える。

風白先生は、
小さく頷いた。

「それでいいです。

不安になる、
ということは、
ちゃんと、
周りを見ている証拠ですから」

雷が、
小さく呟く。

「…ほんと、
ズルい大人」



その日の終わり。

オゾンさんが、
図書室の入口で言った。

「君たち、
面白い場所にいるね」

「ここ」

「迷路の“外側”だ」

私は、
その意味をまだ理解できなかった。

でも。

風白先生だけは、
一瞬だけ、
目を伏せた。

知っている。
全部。

それでも、
何も言わない。

学園祭は、
もうすぐ。

迷路は、
完成に近づいている。

そして―

何でも屋は、
その中心に、
立ってしまった。

作者メッセージ

学園祭ってどんな感じなのでしょうか…。

コメントネタ切れすみません、では…!

2026/01/28 00:00

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悪魔学園一部爆笑系

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