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250閲覧! 依頼人の参加待ってます!【大型(?)参加型】 学園内何でも屋〜悪魔ハ何者ナノカ、理由ハ魔導書二アル。〜

#11

絶対(?)爆笑回 先生ハ料理ヲ出来ナイ。 前編

二学期が始まって、
何でも屋は、
思っていたより静かに回り始めていた。

放課後。
図書室の奥。

誰かが来て、
話して、
少しだけ軽くなって帰っていく。

大きな事件は、
まだない。

…そのはずだった。



その日、
放課後のチャイムが鳴ってから少しして、
風白先生が図書室に来た。

「神谷さん」

相変わらず、
静かで、
穏やかな声。

「少し、いいですか」

その言い方は、
最初の日と同じだった。

「はい」

立ち上がると、
雷が私の隣に現れる。

「なに? 今度は何?」

小声。
でも、ちょっと警戒してる。

風白先生は、
雷の存在を完全に無視して、
本棚の間を歩く。

…やっぱり、
見えてないふりが、
完璧すぎる。

図書室を出て、
廊下に出る。

夕方の校舎は、
人の気配が少ない。

「実はですね」

歩きながら、
先生は言った。

「学校長から、少し変わった依頼がありまして」

胸が、
少しだけ跳ねた。

「依頼…ですか?」

「ええ」

先生は、
前を向いたまま話す。

「二学期最初の行事で、
全校生徒向けに夜食を出したいそうです」

「…夜食?」

「はい」

一瞬、
意味が分からなかった。

「それでですね」

先生は、
本当に申し訳なさそうに、
でも淡々と続ける。

「何でも屋に、
協力してほしいと」

…え?

「私が、
顧問ですので。
話を、持ってこられました」

頭の中が、
一気に騒がしくなる。

全校生徒。
夜食。
料理。

「えっと…」

言葉を探していると、
横で雷が吹き出した。

「は?
全校?
しかも夜?

無理でしょ、それ」

雷の声は、
私にしか聞こえない。

風白先生は、
雷のすぐ横を通り過ぎて、
足を止めた。

「もちろん」

先生は言う。

「無理なら、
断って構いません」

その言い方は、
本当に逃げ道を用意してくれている。

「強制ではありません―
なんにせ、
神谷さんの判断で」

……ずるい。

そんなふうに言われたら、
ちゃんと考えなきゃいけなくなる。

「人数も、
まだ確定ではありませんが…。

相当な量になるでしょう」

相当、って。

雷が、
私の顔を覗き込む。

「ねぇ、ゆめ。

これ、
どう考えてもヤバいやつだよ?

悪魔、目立てないし。

人前で能力使えないし」

正論。

でも。

「ただ」

風白先生は、
少しだけ言いにくそうに、
言葉を続けた。

「事情がありまして。
寮生の中に、
最近、食事をあまり取れていない生徒がいるそうです」

胸が、
きゅっとなる。

「夜になると、
余計に、しんどくなることもありますから」

…まただ。

この先生は、
いつも一歩だけ、
踏み込まない。

名前も、
理由も、
言わない。

でも、
ちゃんと見ている。

「何でも屋なら

そういう子の存在を、
否定しないだろう、と」

…校長先生、
なかなか無茶振りだ。

私は、
しばらく黙っていた。

雷も、
珍しく黙っている。

風白先生は、
急かさない。

ただ、
待つ。

「…作れるかどうかは、
分かりません」

やっと、
そう言った。

「それでいいです」

先生は、
すぐに答えた。

「完璧である必要はありません。
食べられるものなら」

…その言葉が、
少しだけ引っかかった。

「私も、
手伝いますから」

その瞬間。

雷が、
ぴしっと固まった。

「…え」

小さな声。

「今、
 何て?」

私は、
思わず聞き返した。

「先生も、
作るんですか?」

「ええ」

風白先生は、
何の迷いもなく頷く。

「顧問ですから」

…。

雷が、
私の耳元で囁く。

「ねぇ―
この人、
自分の料理スキル、
分かってないよね?」

私は、
なぜか少しだけ嫌な予感がした。

でも。

「…分かりました」

そう、
言ってしまった。

風白先生は、
ほっとしたように微笑む。

「ありがとうございます!
―では、
具体的な準備は、後日に。

今日は、
この話だけで」

廊下に、
夕方の風が通る。

先生が立ち去ったあと。

雷は、
腕を組んで言った。

「ねぇ、ゆめ。

これさ―

夜食より先に、
問題起きると思う」

「…なにが?」

雷は、
真剣な顔で言った。

「風白先生の料理」

…。

そのときは、
まだ分からなかった。

それが、
“食えないものを作っているとしか思えないレベル”の
惨状になるなんて。



放課後。
図書室の奥。

今日は、
夜食の準備日。
机の上には、
材料がずらりと並んでいた。

「まず、野菜を切ってもらえますか、神谷さん」

風白先生は、
白いシャツの袖をきちんと折り上げている。
真剣そのもの。
でも、
何かがおかしい。

「はい」

私は包丁を握り、
野菜を切り始める。

横で先生は、
フライパンを温めていた。

―と、
その瞬間。

「ええっと…砂糖は、塩と一緒に入れても大丈夫でしょうか」

「……え?」

先生は本気で聞いている。
厨房の空気が、
突然止まったように感じた。

そのとき。

「…あ」

入口の方から、控えめな声。

振り向くと、
氷室紗玖が、
エプロンを胸元で握りながら立っていた。

「…手伝い、来た」

その後ろには、
神田さんと茉冬さん、
少し遅れてファイヤー・ルビーもいる。

「人数多い方がいいでしょ」

神田さんは、
軽く笑いながら言った。

「大量調理だって聞いたからさ」

私は、
ほっと息を吐いた。

「ありがとう…!」

風白先生は、全員を見渡して、丁寧に頭を下げる。

「助かります。
では、それぞれ役割を―」

「先生」

紗玖が、
そっとフライパンを見て言った。

「…火、強すぎ」

「…そうでしょうか」

先生は首を傾げる。

その背後で、
誰にも見えない場所に、
雷が腕を組んで立っていた。

「…ね?」

「言ったでしょ」

私にだけ聞こえる声。



「砂糖は…別ですね」

「そうですか、分かりました」

先生は、
きちんとメモを取る。
手は震えていない。
だが、
動きがぎこちない。

油をひいたフライパンに、
何やら茶色い液体を注ぐ先生。

―あれ?

焦げ臭い。
しかも、すごい勢いで泡が立っている。

「…先生?」

「はい?」

「それ、火が強すぎる気がします」

「そうでしょうか…でも、焦げ目は美味しさの証です」

「それ、証明されてませんよ」

神田さんが、
さらっと言った。

ファイヤー・ルビーが、
フライパンを覗き込んで眉をひそめる。

「…これ、
科学的にアウトな匂いする」

真面目すぎる…。
私は、思わず肩をすくめた。



数分後。

「できました」

先生が皿を差し出す。

見ると…
それは、
どう見ても食べられそうにない茶色の塊だった。

「…えっと」

雷が、
横で顔をしかめる。

「これ…どうするの?」

「いや…味は…」

先生は真剣な目で私を見る。

「神谷さん、味見をお願いします」

「え、私!?」

「責任者ですから」

責任、
重すぎる。

ここで、
まさかだけど、
事件起こんないよね…?

心臓が跳ねる。
恐る恐る口に運ぶと、
最初の一噛みで舌が拒絶信号を送った。

「…っ…!」

「…どうですか」

「う、うーん…ちょっと…味が…」

「少し薄味でしょうか」

「薄味じゃないです」

茉冬さんが、
即答した。

「これは…味が喧嘩してる」

紗玖も、
小さく頷く。

「…冷たい水、欲しくなる」

雷が小さく舌打ちする。

「うわ…やっぱり、先生…」

先生は、
まったく落ち込まない。
手を組み、
背筋を伸ばして立っている。

「では、もう一度作りましょう」

…え。
もう一度…ですか。

「次は、塩と砂糖を別々にします」

「はい」

先生はうなずき、
まるで将棋の駒を慎重に動かすように材料を扱う。

無駄に真面目すぎて、
こちらが心配になる。

神田さんが、
私の方を見て小声で言った。

「…これ、
フォロー前提の現場だね」

私は、
黙って頷いた。



数十分後。
新しい料理が皿に乗る。

見た目は、前よりマシ…
…かもしれない。
でも、
香りはやはり怪しい。

「…先生」

「はい、神谷さん」

「食べられると思いますか…?」

先生は一瞬考え、
真剣な目で答えた。

「…少しは、食べられるかもしれません」

「『少し』かよ…!」

雷が私の肩を軽く叩く。

風白先生は微笑んでいる。
それが、
さらに救いにならない。

「大丈夫です。
皆さんが手伝ってくれれば、
全員に出せるように工夫します」

…いや、まず味をどうにかしてほしい。

でも、
包丁を握る部員たちの背中を見て、
私は思った。

―これはもう、
[太字][大文字][明朝体]一人じゃない。
[/明朝体][/大文字][/太字]
「…さて」

先生は、
次の鍋を出した。

「次は、スープですね」

誰かが、
静かに息をのむ。


フライパンの前で、
先生はじっと材料を見つめていた。
「さて、次はスープですね」

紗玖がそっと横に立つ。
「…先生、具材はこれで大丈夫ですか?」

「ええ、神谷さん、少し煮込むだけです」
先生はそう言って鍋に火をかける。
火加減も慎重すぎるほど。
でも、
なぜか不安になる。

しばらくして、鍋からぷつぷつと音がしてきた。
香り…?
いや、これは…焦げた匂い?

「…先生、ちょっと煙出てます」
茉冬さんが眉をひそめる。

「…大丈夫です。香ばしさは大切です」
真面目な顔で、
先生は鍋をかき混ぜる。
でもその勢いで、
スープは跳ね、
机の上に飛び散った。

「…あ」
私が慌てて布巾を取りに行く間に、
先生は平然としている。
「神谷さん、少し味見をお願いします」

恐る恐るスプーンで一口。

―舌が、拒否反応を出した。

「…っ」
「…どうですか?」
先生は、真剣そのもの。

「…これは…」
雷が私の肩を叩く。
「やっぱり、食えないってレベルじゃねえ」

スープは、
見るからに黒っぽく、
どろっとしている。
香りも…なんというか、
まるで薬品のようだ。

「少し薄味でしょうか?」
先生の声が、
どこか楽しそうに聞こえる。
いや、
楽しんでる場合じゃない。

紗玖が小さくため息をついた。
「…火加減、完全に間違ってますね」

「…でも、まだ工夫の余地はあります」
先生は落ち着いて言う。
何その前向きさ…。

「…もう少し水を足したほうが…」
私が言うと、
先生はうなずき、
慎重に水を注ぐ。

しかし、
その後すぐ、
塩と砂糖を一緒に入れ始めた。

「…先生!」
「はい?」
「それ…!
今度は甘すぎる!」

雷が顔をしかめる。
「やっぱり、自分の予想通りだ…」

部員たちは、顔を見合わせる。
誰も声に出せない。
でも…先生は、微笑んだまま。

「神谷さん、味見を」
「え、またですか…」

一口食べると、
舌がひっくり返るような衝撃が走る。
「…う、うわ…これは…」
紗玖も茉冬さんも、同じ顔でスプーンを置いた。

「…美味しい、とは言えませんね」
私が小さくつぶやくと、先生は真顔でうなずく。

「はい…少し塩味を足せば、食べられるかもしれません」

「『かもしれない』レベルじゃ全然足りません!」
雷が、
私の耳元で低くつぶやく。

でも、
先生は平然としている。
手を組み、
背筋を伸ばし、
まるで将棋の駒を慎重に動かすように、
次の鍋を準備している。

「…次は、デザートですね」
先生の声が静かに響く。

部員たちは顔を見合わせた。
「…もう、予想できない」
「…どうやって皆に出すんだろう」

それでも、
少しずつ材料を切る手が動き始める。
何かがおかしい。
でも、
誰も止められない。

―こうして、
夜食作りの戦いは、
さらに過酷な段階へと突入した。

風白先生は、
真面目に、
楽しそうに、
「食べられないもの」を生み出していく。

でも、
部員たちの手は止まらない。
誰も、
見捨てたりしないから。

そして私は、
心の奥でつぶやいた。

―やっぱり、
この顧問、
最強すぎる。
[明朝体][太字]Continue to next time[/太字][/明朝体]

作者メッセージ

投稿遅れてマジですみませんでした!

えー今回、
ちょっと事故ってますね、
物語…。

あ、風白先生は児童虐待をしたいわけではないですよ!

…してるって言っても誰も疑わないような気が…

ま、まぁ、後編をご期待ください!

2026/01/24 08:50

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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