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#146

詩 餃子

夕暮れになると、
台所には小さな月がいくつも生まれる。
白い皮のまんなかに、
ひき肉と白菜と、
誰かの手の記憶を包んで、
ひとつ、またひとつ。

餃子は、
不思議な食べものだ。

包まれているあいだは、
何も語らない。
けれど鍋のなかで焼ける音を立てると、
たちまち家の空気が
「おかえり」と言う。

焦げ目のついた背中に
箸を入れれば、
ほのかな湯気が立ちのぼる。

その向こうに、
昔の食卓が見える。

冬の日、
帰りの遅かった父。
湯気の向こうで笑う母。
まだ眠くないふりをして、
最後の一個を残していた夜。

餃子には、
そういう名前のないものが
いつのまにか詰まっている。

だから人は、
一個を口に運んで、
「おいしい」と言う。

ほんとうはきっと、
「ここにいていい」と
言っているのだ。

焼けた皮の香ばしさ。
生姜の淡い辛み。
熱い肉汁に少し驚いて、
それでも笑ってしまう。

夜は静かに深くなる。

食卓の上には、
空になった皿と、
まだ少しだけ残った湯気。

そして餃子は、
今日という一日を
小さく折りたたんで、
明日のために
そっと包んでくれる。
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作者メッセージ

眠い。
疲れた。
ゴロゴロしたい。

では!

2026/08/15 21:22

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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