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仮面と鏡

#1

第一話 割れた鏡の向こうは。

私は仮面が好きだった。

自分を隠せて、
自分ではない誰かになれて。

それは逃げるための道具であり、
同時に、
私を救ってくれるものだった。

仮面を被れば、
笑うべきときに笑えるし、
怒るべきときに怒れる。

中身がどうであれ、
外側だけは、
ちゃんと[太字]人間[/太字]でいられた。

まるで自分から離れられるようで。

私は、
仮面が好きだった。


私は鏡が大嫌いだった。

そこに映る私は、
仮面を被らない。

隠しもしないし、
嘘もつかない。

どんなに目を逸らしても、
鏡の中の私は、
私より先に、
私を見つけてしまう。

一番の理由は、
[太字]いつでも正直でしかいてくれない
[/太字]からだった。

どんなに傷つこうと、
どんなに壊れかけていようと、

鏡は、
誠実でしかいてくれない。

それが、
どうしようもなく嫌だった。


仮面と鏡は、
どちらも、
誰にでもなれる。

でも―

仮面は、
嘘つきでいてくれるのに、
鏡は、
誠実さを貫く。

似ているようで、
二つはまったく違う場所に立っていた。

私はその違いから、
ずっと目を逸らしていた。


ある日、鏡を割った。

衝動だったのか、
必然だったのか、
今となっては分からない。

床に散らばった破片の中に、
無数の私が映っていた。

笑っているのに、
笑っていない私。

怒っているのに、
怒っていない私。

泣いているのに、
涙のない私。

どれも、
私だった。

だからこそ、
それを見るのが、
耐えられなかった。


破片の一つが、
かすかに、光った気がした。

私はそのとき、まだ知らなかった。

鏡は、
割れて終わるものではないことを。

仮面が、
呼び声を持つことを。

そして―
割れた鏡の向こう側で、
誰かが、
私を待っていたことを。

床に散らばった鏡の破片は、
思っていたよりも静かだった。
何かが起こると思っていた。
悲鳴のような音や、
世界が歪む感覚や、
取り返しのつかない後悔が。

けれど、
部屋は何も変わらない。

ただ、
割れた鏡だけが、
私の足元で、
私を見上げていた。

破片を一つ拾い上げる。
指先に冷たい感触が伝わり、
遅れて、
痛みが来た。

血が、
鏡の縁をなぞるように流れる。

その赤が映った瞬間、
破片の中の景色が、
わずかに揺れた。

―違う。

そこに映っていたのは、
血に濡れた私の顔ではなかった。

白い面。
細くつり上がった目。
口元だけが、意味ありげに微笑んでいる。


[太字][明朝体][大文字]狐の、

お面だった。[/大文字][/明朝体][/太字]

息が詰まる。
思わず破片を落としそうになり、
慌てて握り直す。
もう一度、
確かめるように覗き込む。

狐の面は、
まだそこにあった。

そして次の瞬間、
破片の向こう側で、
その狐が―

―瞬きをした。

「…やっと、見てくれた…」

声がした。

耳元ではない。
頭の中でもない。

鏡の向こう側からだった。

「大丈夫。取って食べたりはしないよ」

どこか幼い声。
けれど妙に落ち着いていて、
作られたみたいに、
整っている。

「君が鏡を割ってくれなかったら、
僕は、ずっとここにいなきゃいけなかった」

破片の中で、
狐のお面が少し傾く。

「ねえ。
君も、顔を隠したいんでしょう?」

心臓が、
大きく跳ねた。

どうして、
それを。

「嘘がつける場所があるんだ
仮面を被れば、ちゃんと[太字]なりたい自分[/太字]でいられる」

狐の面の奥は、
暗くて、
何も見えない。
空っぽなのに、
そこには確かに[太字]誰か[/太字]がいた。

「…あなたは、誰?」

私の声は、
思ったより震えていなかった。

「僕?」
狐の少年は、
少し考える仕草をした。

「名前は、まだないんだ

でも―」

一歩、こちらへ近づく。
正確には、
鏡の向こうから、
こちらへ。

「君が望むなら、案内くらいはできる」

狐のお面が、
微笑む。

微笑んでいるように、
見えただけなのかもしれない。

「仮面の世界へ」

その瞬間、
床に散らばっていた鏡の破片すべてが、
同時に、
淡く光り始めた。

作者メッセージ

和風ファンタジーィィィィィ

ファンタジーずきの血が騒ぐぅぅぅぅぅぅ(ただいま色々落ち着いて壊れてる)

では、よろしくお願いします!
という自分は置いといて。

こんばんは!
kanonloveです!

いやぁ、初!和風ファンタジー作品ができました!
やっぱり小学生ということで変な所があるかもですが、
よろしくお願いします!
では!

Which is better, a mask or a mirror?

2026/01/16 00:00

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
コメント

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仮面和風ファンタジー

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