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350閲覧!?第二期始動! 募集内容は星の人にお店のメニュー!? 残り2人と4メニュー募集中!【参加型】星を紡ぐティータイム

#10

水瓶座 笑っているあいだは、自由でいられた

夜の街は、静かだった。

静かすぎて、
頭の中の声が、
やけに大きく聞こえる。

「…まいったなぁ」

私は空を見上げて、
ひとりごちる。
星はあんまり見えない。
ビルの光に負けて、
輪郭がぼやけてる。

気分屋で、自由人。
それが私、水野 藍。

「気が向いたらね〜」
「大丈夫だよ〜」
「問題なーし!」

そう言ってれば、
だいたいのことは流れていく。

…はずだった。

手首の銀色のブレスレットを、
親指でなぞる。

冷たい。
でも、離せない。

「…君がいたらさ」

言葉にして、
すぐやめる。

考えると、
息が詰まるから。

だから私は歩く。
意味もなく、気分のままに。
裏道だって、気にしない。

そのとき。

淡い光が、
視界の端に引っかかった。

「…ん?」

星みたいなランプ。
こんな場所に、こんな光。

「なにここ。にゃっはは〜ん、怪しすぎでしょ」

笑ってみせる。
笑うのは、得意だ。

―取り繕うのだけは、ね。

カラン。

鈴の音が鳴った瞬間、
胸の奥で、
何かがふっと緩んだ。

「あ」

声が漏れる。

店の中は、
外の夜より、
ずっと静かで、
ずっとやさしい。

壁には星の絵。
時間を忘れた時計。

カウンターの向こうの人が、
こちらを見る。

「こんにちは。いらっしゃいませ」

穏やかな声。
押しつけがましくない。

私は、肩をすくめる。

「私の名前は、水野 藍!よろしくね!」

元気よく。
いつもの調子。

「水瓶座だよ〜」

マスターは、ただ頷く。

差し出された紅茶は、
少し変わった色をしていた。
透明と、深い青のあいだ。

香りは、
涼しくて。
でも、どこか痛い。

一口、飲む。

「…あ」

思わず、目を細める。

「冷たいと思ったら、
あったかい」

不思議。
喉を通るとき、
胸の奥に、じん、と残る。

「変なの〜」

笑う。
猫みたいに口角を上げて。

「私さ、気分屋なんだよね」
軽く、軽く。

「自由人って言われるし、
一人でも平気そうって」

カップを持つ指に、
少し力が入る。

「…実際、平気だし?」

マスターは、何も言わない。
急かさない。

だから、
言葉が続いてしまう。

「大丈夫って言うの、クセなんだ」
にゃっはは〜ん、と
笑い声を足す。

「全然大丈夫じゃなくてもさ」

ブレスレットが、
かすかに鳴る。

「昔ね」
声が、少しだけ低くなる。

[太字][大文字][明朝体]「唯一、友達って呼べる子がいたの」
[/明朝体][/大文字][/太字]
楽しかった。
ちゃんと笑ってた。
気分屋でも、受け止めてくれた。

「…事故でさ」

それ以上は、
言わなくていい気がした。

「今も、生きてるんだ」
植物状態で。
眠ったままで。

カップの中の紅茶が、
小さく揺れる。

「だからさ」
私は笑う。

「悲しむの、やめたの」
自由でいなきゃ。
縛られたら、
壊れちゃうから。

「大丈夫って言ってれば、
皆、安心するでしょ?」

マスターは、
静かに言った。

[太字][大文字][斜体][明朝体]「水瓶座は、
感情を切り離すことで、
自由を保つ星です」[/明朝体][/斜体][/大文字][/太字]

「…それ、褒めてる?」

「事実です」

一拍。

「でも」

続けて。

[太字][明朝体][大文字][斜体]「切り離した感情は、
消えたわけではありません」[/斜体][/大文字][/明朝体][/太字]

胸の奥が、
きゅっと縮む。

「手首のそれは」
マスターの視線が、
ブレスレットに向く。

「あなたを、
過去につなぎとめるものですね」

私は、
反射的に笑った。

「気にしないで〜!
大切なものなだけだし!」

取り繕う。
いつものやつ。

でも、
次の言葉は、
思ってもみなかった。

「…忘れたらさ」

ぽつり。

「裏切りみたいじゃん」

声が、
震えた。

しまった。

私は慌てて、
笑顔を作る。

「にゃっはは〜ん!重い話しちゃった!」

マスターは、
それでも否定しなかった。

[明朝体][斜体][太字][大文字]「忘れないことと、
縛られることは、
同じではありません」[/大文字][/太字][/斜体][/明朝体]

紅茶の湯気が、
ゆっくり立ちのぼる。

「あなたは、
自由でいようとしているのではなく」

一拍。

「自由でいなければ、
立っていられなかっただけです」

その言葉は、
責めるでも、
慰めるでもなかった。

ただ、
見抜いただけ。

私は、
カップを両手で包む。

「あー…」
小さく笑う。

「バレたか」

しばらく、沈黙。

それから私は、
紅茶を飲み干した。

「…また来ていい?」

少しだけ、
素直な声。

「ええ」

マスターは頷く。

「扉は、
あなたを覚えています」

カラン。

扉が閉まる。

星図の壁に、
少し離れた場所で、
鋭く、自由な線が一本、引かれた。

他の線と、
まだ完全には結ばれない。
けれど、
確かに、そこにある軌道。

マスターは、それを見つめる。

「自由とは、
[明朝体][太字][大文字][斜体]孤独の言い換えではありません」
[/斜体][/大文字][/太字][/明朝体]
ランプの光が、
やさしく揺れた。

夜は、まだ深い。

次の星は、
感情を切り離したまま、
それでも、
誰かの名を手放せずにいる。

作者メッセージ

遅れてしまってすみません💦

1時間以内にもう一つ作品を出します💦

2026/01/08 22:39

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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十二星座感情カフェ参加型

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