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350閲覧!?第二期始動! 募集内容は星の人にお店のメニュー!? 残り2人と4メニュー募集中!【参加型】星を紡ぐティータイム

#9

射手座 遠くを願い、声を置いてきた

夜の街は、
静かすぎて怖かった。

遠くを見る力がある人間ほど、
近くの痛みに縛られることがある。

墨江 涼は、
ローブの襟を指でつまみながら歩いていた。
紺色の布に走る金の装飾が、
街灯の光を鈍く弾く。
顔の半分は影に沈み、
息は浅い。

―帰らなきゃ。

妹は、きっと眠っている。
薬の時間も、
体温も、
ちゃんと確認しなければならない。

それなのに。

足が、止まった。

裏道の先。
星の欠片みたいな、
小さなランプ。

「…」

理由はなかった。
ただ、その光が―
遠くを見なくていい場所に見えた。

カラン。

鈴の音は、
胸の奥に溜まっていた息を、
静かに外へ出した。

店内はあたたかく、
星図の描かれた壁が、
夜をやさしく押し返している。

カウンターの向こうで、
マスターが湯を沸かしていた。

「こんにちは。いらっしゃいませ」

声は、
境界線のようだった。
入っていい、
とも、
入らなくていい、
とも言わない。

涼は、
ローブの影から顔を少しだけ出す。

「…僕は、墨江 涼って言います」

声が、思ったより細い。

「射手座です」

マスターは頷き、
何も聞かない。
その沈黙に、
涼は少し救われた。

差し出された紅茶は、
透明な琥珀色だった。

香りは、どこか―
息を深く吸いたくなる匂い。

一口飲んで、涼は瞬きをする。

「…」

甘くない。
苦くもない。

ただ、
喉を通るとき、
胸が少しだけ広がった。

「…妹が、病気で」

言うつもりはなかった。
けれど、言葉は落ちてしまった。

「助けたいんです。だから、医学を…」

カップを持つ指が、わずかに震える。

「歌が、好きでした」

ぽつり。

「…本当は」

それ以上、声が続かなかった。

歌えば、息が楽になる。
声を出せば、世界が少しだけ遠くなる。

でも、
その時間は―
―妹の隣にいられない時間だった。

「射手座は」

マスターが、静かに言う。

[太字][明朝体][大文字]「本来、とても遠くを見る星です」
[/大文字][/明朝体][/太字]
涼は顔を伏せる。

「でも今夜のあなたは、
一番近くの命から、
目を離していない」

それは、
責める言葉ではなかった。

「…それって」

涼は、
かすれた声で聞く。

「臆病、
ですよね」

マスターは、首を横に振る。

[太字][明朝体][大文字]「選択です」
[/大文字][/明朝体][/太字]
短く、はっきりと。

「あなたは、
声よりも、
手を選んだ」

カップの中で、
紅茶が小さく揺れた。

「歌は、
失われていません」

涼は、
ゆっくり顔を上げる。

「…え?」

「あなたの声は、
今は使われていないだけです」

沈黙。

それは、
希望ではなく、
保留された未来の言い方だった。

涼は、
紅茶を飲み干す。

「…また、来てもいいですか」

「ええ」

マスターは頷く。

「扉は、
あなたを覚えています」

カラン。

扉が閉まる。

星図の壁に、
細く、
遠くへ伸びる線が一本、
刻まれた。

だがその線は、
途中で、
確かに立ち止まっている。

―まだ、
飛ばない選択。

マスターはそれを見つめ、
静かに呟く。

「射手座は、
飛ぶ前に、守ることを知る星でもあります」

ランプの光が、
やさしく揺れた。

夜は、
まだ深い。
そして星図には、
歌を待つ余白が、
確かに残っていた。

作者メッセージ

いかがですか?

予約していた方々は急ですが、1月の11日までにお願いします。
それ以降になると募集を再開します。

ちなみにみなさんは何座なのでしょう―

では。
When You Wish Upon a Star,See you again!

2026/01/08 00:00

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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