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350閲覧!?第二期始動! 募集内容は星の人にお店のメニュー!? 残り2人と4メニュー募集中!【参加型】星を紡ぐティータイム

#8

獅子座 微笑みの奥で、拳を握るひと

夜の静けさが、
一段、
深く沈んだころ。

裏道のランプは、
これまでよりも少しだけ、
強く灯っていた。

まるで、
来ると分かっている客を、
迎えるために。

足音がする。

迷いはない。
けれど急がない。
一歩一歩が、
地面を確かめるように、
確かだ。

カラン。

鈴の音は、
これまでで一番、
低く鳴った。

扉を開けたのは、
背の高い人物だった。
年齢も性別も、
輪郭の外に溶けている。

ただ一つ確かなのは、
そこに立つだけで、
空気が
[太字][大文字]「正される」
[/大文字][/太字]ということ。

「お初にお目にかかります」

深く、丁寧な一礼。

「獅子座、獅子ヶ堂琥珀と申します」

声は柔らかい。
微笑みも、
完璧だ。
長年、
礼儀とともに生きてきた人のそれ。

マスターは、
ほんのわずかに目を細める。

「いらっしゃいませ」

それ以上、
何も言わない。

琥珀は席に着く。
背筋は自然に伸び、
動きに一切の無駄がない。

差し出された紅茶を見て、
琥珀は一瞬、
目を伏せた。

「…いい匂いですね。
これは…アールグレイでしょうか?」

「ええ」

「そうですか」

カップを両手で包み、
ゆっくりと口に運ぶ。

一口。

「…ふふ」

微笑みが、
少しだけ深くなる。

「力強い。ですが、荒れてはいない」

そこで、止まる。

その先を、
言葉にしない。

マスターは、
琥珀の肩越しに、
星図の壁を見る。

これまでの線は、
どれも感情の重さを持っていた。

だが、
まだ空いている場所がある。

中心に近い、
最も目立つはずの位置。

「…わたくしは」

琥珀が、静かに口を開く。

「皆様を守る役目で生きてまいりました」

微笑みは崩れない。

「言葉で届かぬときは、体で。
理で納得されぬときは、結果で」

カップを置く音が、
少しだけ強い。

「…それが一番、早い」

空気が、
わずかに軋む。

「獅子座は、
中心に立つ星です」

マスターが言う。

「照らすために、
熱を持つ」

琥珀は、
ふっと息を吐く。

「ええ。ですから」

視線が下がる。

「皆様の痛みは、
わたくしの後ろに置いてきました」

その瞬間、
微笑みの奥で、
何かが鳴った。

拳が、
テーブルの下で、
きゅっと握られる。

「…さて」

顔を上げたとき、
笑顔は変わらない。
だが、
声の奥に、
わずかな低音が混じる。

「わたくしは、正しく立てておりますでしょうか」

マスターは、
すぐには答えない。

代わりに、
ポットを傾け、
少量だけ、
別の茶を足す。

香りが変わる。
アールグレイの奥に、
ほんのわずかな、
焦げた甘さ。

「獅子座は」

マスターは静かに言う。

[太字][大文字][水平線][明朝体][斜体]「立つことを、
疑う時間を持たなかった星です」[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字]

琥珀の指が、
一瞬だけ震える。

「…疑えば、崩れると思っておりました」

「崩れるのは、
形です」

マスターは続ける。

[明朝体][太字][大文字][斜体]「誇りは、
壊れません」
[/斜体][/大文字][/太字][/明朝体]
沈黙。

やがて、
琥珀は小さく笑った。

「立ってください、と」

誰に向けた言葉でもなく。

[太字][斜体][大文字][明朝体]「貴方の誇りが死んでいないのなら、
もう一度……と」[/明朝体][/大文字][/斜体][/太字]

その声は、
過去の自分自身に向けたものだった。

紅茶を飲み干す。

「…あら、もう終わりですか?」

自嘲気味に。

「準備運動にもなりゃしません…
…あ、失礼」

一拍置いて、
きちんと頭を下げる。

「…なりませんね」

マスターは、
初めて、
わずかに微笑んだ。

「また、来ても?」

琥珀の問いは、
とても静かだった。

「ええ」

「扉は、
あなたを覚えています」

カラン。

扉が閉まる。

星図の壁に、
太く、
堂々とした線が刻まれる。

それは、
中心へ向かう線。

だが、
他の線と違い、
少しだけ揺れている。

力を持つ者が、
初めて、
自分の重さを知った証。

マスターは、
その線を見つめる。

「守るために立つ人ほど、
座る場所を、
知らないものです」

ランプの光が、
一度だけ、
大きく揺れた。

夜は、まだ終わらない。

残る星は、
少なくなってきた。

そして、
すべてが結ばれる夜は、
確実に、
近づいている。

作者メッセージ

いつも見てくださってありがとうございます。
作者のkanonloveです!

本日は報告することが特にありません、では。

When You Wish Upon a Star,See you again!

2026/01/07 00:00

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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