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500閲覧ありがとう! 参加〆切【参加型】 学園内何でも屋〜悪魔ハ何者ナノカ、理由ハ魔導書二アル。〜

#22

消エタ生徒

十二月。

空気が、少しだけ乾いていた。

放課後の廊下を歩く音も、
夏より遠く聞こえる。

図書室の奥―
何でも屋の部室は、

今日も静かだった。

「……暇だねぇ」
雷が、

机に突っ伏したまま言う。

「平和ってことだよ」
私がノートを閉じると、

雷はむくっと顔を上げた。

「それ、
この学校だと逆に怖い」
否定できない。

「それはそうと、今年はいくつプレゼントもらえるかなー?」
……琉々矢先輩……。

いつの間にか増えていた部員その一…って雷がいってたっけ…。

琉々矢先輩――
琉々矢水連先輩はクリスマスが誕生日だから、
クリスマスプレゼントと誕生日プレゼント、
2つ合わせて一つしかもらえないらしい。


「今日は……悪魔の数、少ない……?」
そう言いながら周りを見渡しているのは、
れもんちゃん。

いつの間にか増えていた部員その二……。

なんでも自分の名前がないらしく、
「私…の名前?わかんない…ん~…れもん、れもんにする」
といっていた。

雷も珍しく驚いていた。

「やっほー、れもん」
横からやってきたのは、
いつの間にか増え……この呼び方やめよう。

「えっと……病葉棺…ちゃん……」

病葉棺ちゃんは悪魔なんだけど、
れもんちゃんと契約している。

それで何だけど――棺が契約した人って「不老」になれるらしい。

ホントかどうかはわからないけど。



そのとき。
コンコンコン。
丁寧なノック。

「ど、どうぞ…?」
語尾に疑問符がなぜか付いた。

扉が開く。

入ってきたのはー

目が不安そうな女子生徒。

何かを探しているみたいに、

部屋を見回している。
「……あの」
小さな声。
「ここ、
何でも屋で合ってますか」
「はい」
私が答えると、
彼女は少しだけ安心した顔をした。
でも、
次の瞬間には、
また不安そうに俯く。
「依頼……
したくて」



机を挟んで座る。
雷は、
私の隣で頬杖をついていた。
「それで、
どうしました?」
彼女は、
少し迷ってから口を開く。
「友達が……
いなくなったんです」
空気が、
静かに止まった。

「警察には?」
「まだ……」
「家出とか、
そういう感じでもなくて」
彼女は、
鞄をぎゅっと抱きしめる。
「昨日の放課後まで、
普通だったんです」
「一緒に帰る約束してて」

でも。

「途中で、
いなくなった」



「途中って?」
雷が、
珍しく真面目な声を出す。
「途中っていつですか?」
雷の代わりに聞く。

彼女は、
小さく答えた。
「北校舎の、
三階です」
その瞬間。
雷の目が、
細くなる。



北校舎三階。
そこは、
今はほとんど使われていない。
昔の特別教室が並んでいて、
放課後になると人通りも減る。

「そこで、
はぐれたんですか?」
「はい」
「先に曲がったはずなのに、
いなくて」
スマホにも、
連絡はつかない。
先生たちも、
今朝から探しているらしい。

でも。
「なんか……
変なんです」
彼女は、
震える声で言った。

「みんな、
ちゃんと探してるのに」
「だんだん、
“そんな子いたっけ”
みたいになってて……」

ぞくり、
とした。



雷が、
小さく舌打ちする。
「……嫌な感じ」
「悪魔?」
私が聞くと、
雷はすぐには答えなかった。
代わりに。
「名前」
「え?」
「消えた子の名前」
⋯⋯。
真剣そうな問いに、慌てて聞く。
「消えた子の名前って、なんですか?」

彼女は、
すぐに答えようとして。

――止まった。

「あれ……」
顔が青くなる。
「え……
ちょっと待って」
口は動いている。
でも、
音にならない。
思い出せない。

さっきまで、
話していたはずなのに。



「……やば」
雷が、
低く呟く。
その声は、
冗談じゃなかった。


そのとき。
「失礼します」
穏やかな声。
振り向くと、
風白先生が立っていた。

いつもの静かな目。

「神谷さん、
部活の書類を――」
そこで、
言葉が止まる。
先生の視線が、
依頼人へ向いた。

「……どうかしましたか」
女子生徒は、
泣きそうな顔で言った。
「友達が……
いなくなったんです」

先生は、
静かに聞いている。
否定しない。
驚かない。

ただ、
続きを待つ。



「名前が……
思い出せなくて……」
その瞬間。
ほんの一瞬だけ。
風白先生の表情から、
感情が抜けた。

空白。

本当に、
一瞬だけ。
でも、
私は見てしまった。



「……そうですか」

先生は、
静かに言った。

「最後に見た場所は?」
「北校舎の……
三階です」

その答えに、
先生は目を伏せた。
まるで、
何かを確認するみたいに。



「神谷さん」
穏やかな声。

でも、
少しだけ低い。

「今日は、
あまり遅くならないように」
「……え?」
「北校舎は、
現在ほとんど使用されていません」
「暗くなると、
迷いやすいので」

普通の言葉。
普通の、
注意。
でも。

雷が、
ぴくりとも動かない。



依頼人が帰ったあと。
部屋は、
しばらく静かだった。
やがて。
「……先生」
私が口を開く。

「……何か、
知ってますよね」

風白先生は、
否定しなかった。
ただ。

「神谷さん」
静かな声。

「“見つからないもの”には、
近づきすぎない方がいいです」

それだけ言った。



先生が去ったあと。
雷が、
ゆっくり息を吐く。
「……最悪」
「そんなに?」
「うん」
雷は、
珍しく笑っていなかった。
「“消える”系だ」



窓の外。
夕暮れが、
校舎を暗く染めていく。

北校舎。

三階。

使われていない廊下。

そして、
思い出せない名前。

私は、
依頼書の空欄を見つめた。

依頼対象:
『行方不明の生徒を探してほしい』
その下。
行方不明の名前を書く欄だけが、
どうしても埋められなかった。



その夜。
誰もいない北校舎。
古い廊下を、
風が抜ける。

――ことり。
どこかで、
足音がした。
「……あれ?」
小さな声。

制服姿の少女が、
廊下の奥に立っている。
「わたし……
何してたんだっけ」

首を傾げる。

それから、
ゆっくり振り向いた。

廊下の先。

“まだ続いているはずのない校舎”が、
暗闇の中へ伸びていた。

少女は、
ためらいもなく、
その奥へ歩いていく。

まるで。

帰る場所を、
思い出したみたいに。

作者メッセージ

ひ さ し ぶ り す ぎ て 草

多分次出す参加型は星を紡ぐティータイムだと思います
待っててください!
明日校外学習のものでした!

2026/06/25 21:49

KanonLOVE
ID:≫ n00YEDEqgv6kY
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悪魔学園一部爆笑系

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