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#1
【検証】影って触れるの!?シェードで試したらやばいことになった!
配信開始。
[水平線]
「あ、ついたね。
メリウルだよぉ。メリって呼んで〜」
軽やかな声とともに、
いつもの灰色のケープが揺れる。
「今日はねぇ、“影”の検証やっていきまーす!」
コメント欄が少しざわつく。
[斜体][太字]「例の猫?」
「来る?」
「危ないやつでは?」[/太字][/斜体]
「んふふ、びっくりした?だいせいこーう!……になる予定だから安心して?」
くすっと笑って、
指をひとつ立てる。
「今回のテーマはこれ!」
画面にテロップ。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体][下線]『影は“物体”なのか?』[/下線][/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
「普通は触れないよね〜?でもさぁ」
少し声のトーンが落ちる。
「この子なら、どうかなって」
画面が少し暗くなる。
足元の影が、
じわりと揺れた。
「シェードお。んふふ」
その呼びかけに応じるように、
影が盛り上がる。
黒い猫の輪郭が浮かび上がった。
――目だけが、はっきりしている。
「お呼びですか、メリウル」
コメント欄が一気に加速する。
「喋った」
「え?」
「これ演出?」
メリウルは気にしない。
「ねぇシェード。影って触れるの?」
「条件次第です」
即答だった。
「光があれば、影は濃くなる。濃ければ、近づける」
「近づけるって?」
「触れます」
[水平線]
「じゃあやってみよっか〜!」
メリウルは手元のライトを取り出す。
強い光を床に当てる。
影が、くっきりと伸びる。
「はいこれ、メリの影ね〜」
手をひらひらさせる。
そして――
「シェード、お願い」
「ええ」
影の猫が、
ゆっくりと“潜る”。
メリウルの影の中へ。
その瞬間。
影が、わずかに“膨らんだ”。
[中央寄せ][斜体][太字]「え?」
「今の何」
「影動いた?」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
「じゃあ……触るよ?」
メリウルが、
自分の影に手を伸ばす。
普通なら、
何も感じないはず。
だが――
「……あ」
一瞬、言葉が止まる。
「ちょっと冷たいかも」
指先が、
影の表面で止まっていた。
沈み込まない。
確かに、“触れている”。
「ね、見てこれ」
指でなぞる。
影が、
水面みたいに揺れる。
「触れるじゃーん!」
楽しそうに笑う。
だがそのとき。
シェードが、ぽつりと言った。
「メリウル」
「んー?」
「後ろ」
カメラが、
ほんのわずかにノイズを挟む。
一瞬だけ。
メリウルの背後の影が、
“増えていた”。
本来ひとつのはずの影。
それが、
二つある。
[太字][斜体][中央寄せ]「今の何?」
「影2つない?」
「録画してる?」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
メリウルは気づいていない。
「次の検証いこっか〜!」
「“影は移動できるのか?”!」
「シェード、乗り移りってできるんでしょ?」
「ええ。可能です」
「じゃあさぁ――」
カメラにぐっと近づく。
黒い瞳が、
まっすぐ視聴者を向く。
「“画面越し”でも、いける?」
一瞬の沈黙。
シェードが答える。
「……光があれば」
その瞬間。
画面の明るさが、
わずかに落ちた。
視聴者の環境のはずなのに。
[中央寄せ][斜体][太字]「え、暗くなった?」
「自分の部屋もなんだけど」
「これやばくない?」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
メリウルはくすっと笑う。
「貴方の心を今宵も影色に染め上げてあげよ〜!」
[水平線]
配信は、
そこで唐突に終了する。
アーカイブを見返した視聴者は、
気づくことになる。
最後の数秒。
画面の端。
視聴者側の“影”に向かって、
黒い猫が、
確かにこちらを見ていたことに。
[水平線]
配信終了後。
アーカイブには、
すぐにいくつものコメントがつき始めた。
[中央寄せ][太字][斜体]「普通に神回だった」
「メリかわいすぎるだろ」
「シェード好きだわ」
「検証おもしろいもっとやって」
「影触れるの普通にすごくね?」
「冷たいって何それこわ」
「演出だよね…?」
「最後暗くなったの自分だけ?」
「いや自分も」
「部屋の電気はそのままだったんだけど」
「“画面越し”ってとこ、冗談だよな?」
「さすがにそこはネタでしょ」
[/斜体][/太字][/中央寄せ]
少しずつ、
空気が変わり始める。
[中央寄せ][太字][斜体]「待って」
「今見返してるんだけど」
「最後のフレームさ」
「なんかいる」
[/斜体][/太字][/中央寄せ]
返信が一気に増える。
[太字][斜体][中央寄せ]「どこ?」
「何分何秒?」
「やめろよ怖い」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
[太字][斜体][中央寄せ]「1:12:47あたり」
「右下」
「……見えた」
「猫?」
「いや違う」
「目だけ光ってない?」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
さらに別のコメント。
「ていうかさ」
「画面の中じゃなくない?」[/中央寄せ][/斜体][/太字][/太字]
一瞬、
流れが止まる。
[太字][斜体][中央寄せ]
「どういうこと?」
「意味わからん」
「自分の部屋の床見て」
[/中央寄せ][/斜体][/太字]
数秒後。
[中央寄せ][斜体][太字]「は?」
「え?」
「今、動いたんだけど」
「影が」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
最後に投稿されたコメントは、
それだった。
[斜体][太字][中央寄せ]「ねえ
これ、まだ配信続いてない?」
[/中央寄せ][/太字][/斜体]
そのコメントには、
返信が一つもつかなかった。
[水平線]
「あ、ついたね。
メリウルだよぉ。メリって呼んで〜」
軽やかな声とともに、
いつもの灰色のケープが揺れる。
「今日はねぇ、“影”の検証やっていきまーす!」
コメント欄が少しざわつく。
[斜体][太字]「例の猫?」
「来る?」
「危ないやつでは?」[/太字][/斜体]
「んふふ、びっくりした?だいせいこーう!……になる予定だから安心して?」
くすっと笑って、
指をひとつ立てる。
「今回のテーマはこれ!」
画面にテロップ。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体][下線]『影は“物体”なのか?』[/下線][/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
「普通は触れないよね〜?でもさぁ」
少し声のトーンが落ちる。
「この子なら、どうかなって」
画面が少し暗くなる。
足元の影が、
じわりと揺れた。
「シェードお。んふふ」
その呼びかけに応じるように、
影が盛り上がる。
黒い猫の輪郭が浮かび上がった。
――目だけが、はっきりしている。
「お呼びですか、メリウル」
コメント欄が一気に加速する。
「喋った」
「え?」
「これ演出?」
メリウルは気にしない。
「ねぇシェード。影って触れるの?」
「条件次第です」
即答だった。
「光があれば、影は濃くなる。濃ければ、近づける」
「近づけるって?」
「触れます」
[水平線]
「じゃあやってみよっか〜!」
メリウルは手元のライトを取り出す。
強い光を床に当てる。
影が、くっきりと伸びる。
「はいこれ、メリの影ね〜」
手をひらひらさせる。
そして――
「シェード、お願い」
「ええ」
影の猫が、
ゆっくりと“潜る”。
メリウルの影の中へ。
その瞬間。
影が、わずかに“膨らんだ”。
[中央寄せ][斜体][太字]「え?」
「今の何」
「影動いた?」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
「じゃあ……触るよ?」
メリウルが、
自分の影に手を伸ばす。
普通なら、
何も感じないはず。
だが――
「……あ」
一瞬、言葉が止まる。
「ちょっと冷たいかも」
指先が、
影の表面で止まっていた。
沈み込まない。
確かに、“触れている”。
「ね、見てこれ」
指でなぞる。
影が、
水面みたいに揺れる。
「触れるじゃーん!」
楽しそうに笑う。
だがそのとき。
シェードが、ぽつりと言った。
「メリウル」
「んー?」
「後ろ」
カメラが、
ほんのわずかにノイズを挟む。
一瞬だけ。
メリウルの背後の影が、
“増えていた”。
本来ひとつのはずの影。
それが、
二つある。
[太字][斜体][中央寄せ]「今の何?」
「影2つない?」
「録画してる?」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
メリウルは気づいていない。
「次の検証いこっか〜!」
「“影は移動できるのか?”!」
「シェード、乗り移りってできるんでしょ?」
「ええ。可能です」
「じゃあさぁ――」
カメラにぐっと近づく。
黒い瞳が、
まっすぐ視聴者を向く。
「“画面越し”でも、いける?」
一瞬の沈黙。
シェードが答える。
「……光があれば」
その瞬間。
画面の明るさが、
わずかに落ちた。
視聴者の環境のはずなのに。
[中央寄せ][斜体][太字]「え、暗くなった?」
「自分の部屋もなんだけど」
「これやばくない?」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
メリウルはくすっと笑う。
「貴方の心を今宵も影色に染め上げてあげよ〜!」
[水平線]
配信は、
そこで唐突に終了する。
アーカイブを見返した視聴者は、
気づくことになる。
最後の数秒。
画面の端。
視聴者側の“影”に向かって、
黒い猫が、
確かにこちらを見ていたことに。
[水平線]
配信終了後。
アーカイブには、
すぐにいくつものコメントがつき始めた。
[中央寄せ][太字][斜体]「普通に神回だった」
「メリかわいすぎるだろ」
「シェード好きだわ」
「検証おもしろいもっとやって」
「影触れるの普通にすごくね?」
「冷たいって何それこわ」
「演出だよね…?」
「最後暗くなったの自分だけ?」
「いや自分も」
「部屋の電気はそのままだったんだけど」
「“画面越し”ってとこ、冗談だよな?」
「さすがにそこはネタでしょ」
[/斜体][/太字][/中央寄せ]
少しずつ、
空気が変わり始める。
[中央寄せ][太字][斜体]「待って」
「今見返してるんだけど」
「最後のフレームさ」
「なんかいる」
[/斜体][/太字][/中央寄せ]
返信が一気に増える。
[太字][斜体][中央寄せ]「どこ?」
「何分何秒?」
「やめろよ怖い」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
[太字][斜体][中央寄せ]「1:12:47あたり」
「右下」
「……見えた」
「猫?」
「いや違う」
「目だけ光ってない?」[/中央寄せ][/斜体][/太字]
さらに別のコメント。
「ていうかさ」
「画面の中じゃなくない?」[/中央寄せ][/斜体][/太字][/太字]
一瞬、
流れが止まる。
[太字][斜体][中央寄せ]
「どういうこと?」
「意味わからん」
「自分の部屋の床見て」
[/中央寄せ][/斜体][/太字]
数秒後。
[中央寄せ][斜体][太字]「は?」
「え?」
「今、動いたんだけど」
「影が」[/太字][/斜体][/中央寄せ]
最後に投稿されたコメントは、
それだった。
[斜体][太字][中央寄せ]「ねえ
これ、まだ配信続いてない?」
[/中央寄せ][/太字][/斜体]
そのコメントには、
返信が一つもつかなかった。