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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#48

第六部 第二話 崩れた予定

大型ライブは、最高潮の盛り上がりの最中だった。
ステージに立つみんと、如月、そして終。
三人の偶像が放つ光は、観客席を埋め尽くすペンライトの海に映え、会場全体を染めていた。

しかし、突然、音源が途切れた。
重低音が止まり、華やかな演出の照明が一瞬静止する。
ステージの上の空気が凍る。

「……え?」
みんとの声が、わずかに裏返る。
普段なら笑顔で飛び跳ねる彼女が、ほんの一瞬、焦りの色を見せた。
「ちょっと待って、音が……!」

如月は冷静だった。手をわずかに広げ、動きを止めて空間を支配する。
「大丈夫……落ち着いて。観客を見て」
彼女の声は低く、しかし明確に、舞台上の空気を微かに落ち着かせる。

だが、曲は成立しない。
歌のリズムもダンスのステップも、音楽がなければ空回りするだけだ。
観客席からざわめきが広がる。
「え……どうしたの?」
「このままじゃ歌えないの?」

舞台袖でゆめは、身体が硬直するのを感じた。
「……逃げちゃダメ」
心の奥で小さな声が叫ぶ。
何度も何度も舞台で「応援する側」として、後ろに立ってきた自分。
でも今、この瞬間――誰かが必要としている。

無意識に、ゆめは一歩前に出た。
「……私が……」
震える手でマイクを握り、まだ小さな声で歌い始める。

最初は不安定で、声が揺れる。
けれど観客はざわつきながらも、その声に耳を傾けた。
ペンライトが止まり、ざわめきは次第に静まる。
“聴いている――”
会場全体が、ゆめに集中していた。

最初の数秒は、心臓が喉に浮かぶような感覚だった。
しかし、徐々に、呼吸が整い、声に力が戻る。
みんとは横で、驚きと感動の入り混じった表情で、ゆめを見つめる。
「……すごい……」
如月も冷静な顔のまま、微かに微笑む。
「その声……ちゃんと届いてる」

終は、背後で静かに立ったまま、舞台全体の空気を感じ取り、ゆめの声を包み込むように視線を送る。
その沈黙の力が、さらに観客を引きつけた。

ゆめの声は少しずつ安定し、アカペラでの旋律が会場に響き渡る。
震えていた声は、やがてまっすぐ伸び、会場を満たす光と重なるようだった。
「私……逃げなくていい」
心の奥で、確信のようなものが芽生える。
手の震えも徐々に収まり、マイクを握る手に力が戻る。

ペンライトの海が揺れ、観客の視線が全て舞台中央のゆめに集中する。
彼女は初めて、自分が偶像として、舞台の真ん中に立っている実感を抱いた。
声の一つ一つに、確かに光が宿っている。

その瞬間、みんとが手を伸ばし、ゆめの肩にそっと触れる。
如月は反対側に立ち、静かに目を合わせる。
「大丈夫、行ける」
舞台上の三人の視線が、まるで交差する光のように、ゆめを包む。

初めてのアカペラ――
でも、ゆめは逃げなかった。
歌いながら感じた。
この舞台、この瞬間、この光――
それが、彼女自身のものになったことを。
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作者メッセージ

はい、えっと調整とか無しなんですけど、
先生の目を盗んで投稿させていただきました。

一応続きあるんですけど……

投稿がいつになるかはわかりません。

では。

2026/03/12 09:16

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