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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#47

第六部 第一話 光の隣で

ゆめは、
控室の隅で小さく息をついた。
今日の大型ライブ。
会場はすでに熱を帯び、
ステージ上ではみんとがリハーサルを繰り返している。

如月は落ち着いたまま、
淡々と準備を進める。

終――天ノ川 終は、
ゆめの視界の端で静かに存在感を放っている。
まるで舞台全体を一瞬で掌握しているかのようだ。

ゆめは自分の手を見下ろす。
小さな手。
震える指先。
心臓の鼓動が耳に届きそうなくらい大きい。
「私は……本当に大丈夫なのかな」
何度も自問する。
隣に立つ先輩たちの光が、
まぶしすぎて、
背中の大きさに圧倒される。

マネージャーの指示で、
ゆめはペンライトや衣装をチェックし、
マイクを受け取る。
いつもなら舞台の中央で歌う立場ではない。
後ろから支える役。
手を差し伸べる役。声援を送る役。
「私の役目は応援すること」と、
胸の奥で何度も言い聞かせる。

けれど今日のライブは違った。
大型会場、
観客は数千人。
光の海が広がるその中で、
ゆめはついに自分の声を前に出すことを求められる場面がある。
心臓の奥で、
冷たい緊張が膨れ上がる。
声が出るのか、
体が動くのか、わからない。

ゆめは小さく、
深呼吸する。
目を閉じ、
今日までの練習の日々、
みんとや如月と過ごした時間を思い返す。
「みんな、いつも光で、私は……」
胸が詰まる。
自分の立ち位置がまだ遠いことを痛感する。

「でも……逃げない」
ゆめは目を開け、
背筋を伸ばす。
ステージを支えるだけじゃない。
少しでも、
自分の声で、
この光の海に届く存在になりたい。

控室の鏡に映る自分を見つめ、
ゆめは小さく笑った。
「怖いけど……今日だけは、逃げない」

スタッフが合図を送る。
舞台袖の光が差し込み、
観客の歓声が耳に届く。
みんとが笑顔で手を振る。
如月はゆめに小さく頷く。
終は視線だけで、
静かに「行け」と告げる。

ゆめはマイクを握りしめ、
一歩前に出る。
心臓が破れそうに高鳴る。
だが、
目の前にはもう光がある。
「私も……この光に、触れる番なんだ」

幕が開き、
歓声が会場を揺らす。
ゆめの震える声が、
最初は小さく、
しかし確かに届く。
観客のペンライトが揺れ、
ざわめきが止む瞬間。
光を受け取り、
ゆめは立っていた。
一歩後ろではない、
光の隣で――

心の奥底で、
管理人の言葉を思い出す。
「偶像は才能じゃない。覚悟だ」

ゆめは小さく息を吸う。
震える声を、恐れを、そのままステージに解き放す。
「――私は、逃げない」

観客の視線、
光の海、
仲間たちの背中。
ゆめは自分の声を信じ、
今、
初めて自分の偶像としての一歩を踏み出した。

幕が完全に開き、
会場を覆う歓声が体の芯まで響く。
みんとが先陣を切る。
黄色い光に包まれ、
笑顔で観客の手を握るように振りながら、
歌とダンスを完璧にこなしていく。

ゆめは舞台袖で、
その姿を見つめる。
光の海に包まれたみんとの背中はまぶしく、
心臓が震える。
「こんなにまぶしいのに……私は、あの隣に立っても大丈夫なのかな」

しかし、
如月の静かな視線が、
ゆめの肩を押す。
「自分を信じろ」と言わなくても、
全てを伝える目だ。
終は、
ゆめの少し後ろで、
余裕を保ちながらも舞台全体を見渡す。
まるで、
ステージそのものを守るかのように、
微動だにせず立っていた。

ゆめは深呼吸を一つ、
そしてステップを踏む。
観客の歓声に飲まれそうになるが、
手のひらに伝わるマイクの冷たさが、
彼女を現実に引き戻す。
「大丈夫。私は、逃げない」
震える声を押し殺し、
舞台の中央に一歩足を踏み入れる。

最初の歌詞はかすかに小さい。
だが、
その声に、
観客のペンライトが揺れを合わせる。
ざわめきが止まり、
空気が変わる瞬間。
「聴いている……」
ゆめは、
その手応えを確かめる。
胸の奥の緊張が少しずつ溶けていく。

みんとが横で歌う。
黄色い光と笑顔。
如月が反対側で静かに、
だが正確に声を重ねる。
そして後ろで、
終が空間を支配するように微動だにせず立つ。
三人の偶像がそれぞれの光を放つ中、
ゆめの声も混ざっていく。

「――私は、逃げない」
ゆめは再び自分に言い聞かせ、
呼吸を整え、
リズムに合わせてステップを踏む。
小さな手がマイクをしっかり握る。
観客の歓声が徐々に彼女に向かう。
「聴いてくれてる……」
胸の奥が熱くなる。
涙が一瞬だけ頬を伝った。

幕間で短く、
ステージ袖に戻ったゆめ。
みんとが笑顔で手を握る。
「ゆめ、センター似合ってた」
如月は少し微笑みながら、
静かに頷く。
「やっと、自分の声を出せたね」

ゆめは小さくうなずく。
「……まだ怖い。でも、逃げない」

心の中で、管理人の声が響く。
「偶像は覚悟だ。光は隣で育つ」

ゆめは深く息をつき、
再び舞台に向かう準備を整える。
しかし、
楽屋のモニターに映る次の演出を見て、
ゆめの胸が高鳴る。
大型ライブのクライマックスに向けて、
何かが起きようとしていた。
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作者メッセージ

書き方雑になってきてすみません。

2026/03/12 00:03

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歌い手研修生から参加型

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