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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#44

第五部 第四話 事件、そして―

会場はすでに熱気に包まれていた。
ステージライトが明滅し、
観客の歓声が胸を揺らす。
昨日の引退疑惑は嘘のように忘れられ、
みんとと終、そして麗、
三人の偶像が同じ舞台に立つ日を、
ファンは夢のように待っていた。

「今日も輝いてる〜!うらら様〜!!」
麗の声が、
会場全体に響く。
黄色の衣装が光を受けて眩く反射し、
スカートのフリルがステップに合わせて軽やかに揺れる。

バク宙、
キレのあるシャウト、
デスボ――どれも完璧で、
観客は息を呑む。
みんともまた別の光でステージを照らす。
透明感のある歌声と緻密なダンス、
笑顔で魅了する存在感。


だが、
その完璧さの裏で、
麗の体調は限界に近づいていた。
ステップの一瞬、
肩が小さく揺れ、
呼吸が浅くなる。

「…大丈夫、大丈夫…」

自分に言い聞かせるように笑うが、
次のバク宙を前に、
体が重くなるのを感じた。
スタッフが端で小声で確認する。

「麗ちゃん…ちょっと休ませたほうが…」

しかし麗は手を振り、
踊り続ける。

「大丈夫!私が止まったら、ファンのみんなが悲しむから!」

みんとは、
隣で気づく。

「麗ちゃん…無理してる?」

ステップを続けながらも、
みんとの目は麗を追う。
観客は気づかない。
ステージは光だけを映す鏡のようだった。


しかし、
次の瞬間。
麗の足がわずかに乱れ、
ステップが崩れかける。
息が荒くなり、
笑顔にわずかな焦りが浮かぶ。

観客はまだ気づかない。
スクリーンには三人の笑顔が映され続ける。

控室では如月が、モニター越しに舞台を見つめていた。

「…このままじゃ、麗さんが…」

冷静に、
しかし胸の奥で熱がこみ上げる。

如月はステージに出る決意を固める。
自分が、
誰かを支える光になる瞬間かもしれない。

「ボクが行く…」
息を整え、
如月は控室のドアを開ける。スタッフも驚きを隠せない。
「…え、今から?」
「…大丈夫、ボクが何とかします」

ステージ袖に立つ。
ライトが彼女を照らし、
舞台の空気が微かに揺れる。
観客はまだ気づかない。
如月は深呼吸し、
心の中で確認する。
「歌う。踊る。ボクが…支えるんだ」

その瞬間、
控室のモニター越しに、
麗は小さく肩を揺らす。

「…うららー、大丈夫?」

みんとは隣で手を差し伸べるようにしながらも、
ステージの危機に気を張っていた。

如月はステージ袖の暗闇から、
ライトに照らされる二人を見上げる。

歓声、
拍手、
コール…すべてを背負い、
今、
自分が立つべき瞬間を理解した。


観客にはまだ見えない、
しかしステージは変わろうとしていた。
一歩、
如月が前に出る。

緊張と覚悟が混ざり合った空気が、
袖から会場へと広がる。


次の瞬間、
ステージライトの一角が微かに明るくなった――
それが如月の初めての登場の兆しだった。

舞台袖の暗闇を抜け、
如月は一歩を踏み出した。
光が彼女を包む。
観客はまだ気づかない。
ステージの上では、
みんとと終と麗が精一杯踊り、
歌を紡いでいた。
麗の呼吸は乱れがちだが、
それでも笑顔を絶やさず、
観客を魅了していた。

その瞬間、
会場の空気が微かに変わる。
「…え?」
誰も予期していない声、
誰も見覚えのない影。
しかし、
ステージに立つ彼女の姿は、
自然で、そして堂々としていた。

如月は深呼吸ひとつで心を整え、
口を開く。

──その瞬間、
声が空間を切り裂いた。

冷たく澄んだ高音、
しかし芯には確かな温かさがある。
歌声は会場に届き、
観客は思わず息をのむ。
歓声が止まる。
光を纏った存在が、
まさかの単独で歌い始めたのだ。

麗もみんとも、
一瞬足を止める。
「…誰…?」
「……すごい…」

観客は混乱する。
コールアンドレスポンスは止まり、
ステージの上の光景だけが目に焼き付く。
如月は歌う。
踊る。
体全体でリズムを刻み、
ステップ一つ一つに力がある。

麗は立ち止まり、
息を整える。
「ま、まさか…うららでも、みんとでもない…?」
だがその声は、
歓声に飲まれて聞こえない。

みんとは瞬時に理解する。
「…この子、偶像として…もう、十分だ…!」

如月のパフォーマンスは、
ただの歌やダンスではない。
理知的で冷静、
かつ情熱を秘めた光。
観客は圧倒され、
スクリーン越しの笑顔に釘付けになる。
ステップを踏むたびに、
声が会場を支配する。
観客は歓声と驚きの声を交互に上げ、
会場は一瞬の静寂と熱狂の間で揺れる。


麗はその隣で、
初めて自分の体調不良を忘れ、
感情だけで笑う。
「…うわっ、すごい…!」
みんとも目を見開き、
唇を震わせる。
「……私たち、まだまだだ…」

如月は一切迷わず踊る。
複雑なターン、
キレのあるジャンプ、
そして最後のポーズ。
息を切らすことなく、
観客を魅了する存在感は、
まさに偶像そのものだった。

ライトが如月に集まり、
黄色いスポットが彼女を包む。
「…なんて光だ…!」
観客は歓声を上げ、
手を振り、
涙を流す者もいる。
ファンは叫ぶ。
名前を呼ぶ。

麗はステージの端で、
静かに拍手を送る。
「…この子が、偶像になるんだ…」
みんとも同じく理解する。
「違う光だけど、間違いなく、光だ…」

そして最後の一音、
如月は完璧なポーズで止まる。
息が整った瞬間、
観客の歓声が最高潮に達する。
「この子…誰…?」
誰もが口を揃えて呟く。
しかし答えはステージ上にある。
静かに微笑む如月は、
すでに観客の心に刻まれた存在だった。


ステージ袖に戻ると、
管理人が小さく微笑む。
「如月、君は光を理解した。偶像として立つ覚悟も十分だ」
如月は軽く頷く。
「…はい。私、やってみます」

麗もみんとも、
肩を並べてステージを見上げる。
「…ようこそ、新しい光」
その声は、
歓声に消されず、
三人の間に確かに届いた。

会場はまだ騒然としている。
だが、
新しい光は確かに生まれた。
如月──彼女は疑問を超え、
光の一つとして、
今ここに立っているのだった。
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作者メッセージ

第五部完結まで残り1話―

今日寝なければ深夜投稿で終了できます!

……寝なければ……。


では!

2026/03/10 18:00

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歌い手研修生から参加型

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