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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#42

第五部 第2話 選ばれない側

昨日のライブの余韻が、
まだスタジオの空気に残っていた。
みんとは観客の歓声を思い出すように、
小さく笑みを浮かべ、
ステップを踏む。

しかし如月の胸には、
昨日の違和感がくっきりと残っていた。
光の一片に触れた者が、
その光の脆さも理解する。
如月は、
自分だけがまだその光に手を触れられないことを痛感していた。

「ねえ、聞いた?」
スタジオの隅で、
ゆめが低い声で話しかけてくる。
「え、何?」
「オーディション…偶像枠がひとつ、空くんだって」

その情報は如月の胸に鋭く突き刺さる。
新しい偶像を選ぶ枠──それは、
昨日の光の次の光を決めるチャンスでもあった。

みんとが光に触れた瞬間、
周囲は自然と視線を向ける。
比べられる立場に立つことは、
偶像としての運命だった。

その話題が漏れ聞こえた瞬間、
スタジオの空気がひんやりと変わった。
麗の名前が、
ファンや業界の間で再び囁かれている。
「うーらーらー!」
彼女の元気な声とは裏腹に、
引退疑惑がネット上で拡散されている。
「本当に引退するの?」
「いや、冗談だって言ってるけど…」
そんな噂が静かに、
しかし確実に、
昨日の光を揺るがせていた。

如月は心の中で分析する。
光とは、完璧さだけで生まれるものではない。
ファンの期待、
業界の動き、そして偶像自身の意思──すべてが交わった先に、
初めて光は立つ。

そして今、
如月は光に触れられず、
立つべき場所にすら立てない自分を、
はっきりと意識していた。

スタジオの片隅で、
みんとは小さくため息をつく。
「私、やっぱり二世扱いなのかな…」
昨日のライブで褒められた瞬間、
心の奥底で小さな疑問が芽生えた。
自分の光は、
あの伝説的な光と比べられて初めて価値を測られるものなのか。

そのとき、
麗が元気よく声を上げる。
「うららー!今日も絶好調〜!コールアンドレスポンス行くよ〜!!」
黄色の衣装がスタジオに映え、
ジャンプした瞬間に空気が震える。
しかし如月の視線は麗の笑顔より、
周囲の反応に向かう。
引退疑惑の噂が流れる中、
スタッフのざわめき、
みんとの小さな緊張、
ファンからの期待──すべてが複雑に絡み合っていた。

「どうして、ボクは…まだ選ばれないんだろう」
如月の胸に、
悔しさでも嫉妬でもない、
理知的な疑問が渦巻く。
選ばれない者として、
光を理解する側として、
彼女は自分の存在意義を問い直す瞬間だった。
「偶像になる者、守られる光、そして脇で支える者……
そのすべてを理解して初めて、私は光に近づけるのかもしれない」

その思考の最中、
麗はバク宙を軽やかに決め、
シャウトでスタジオの空気を揺らす。

「私の声に耳は耐えれるか〜!!いくぞー!Theory is a correct argument!!!」
観る者全員の視線が、
舞い上がる身体と圧倒的な存在感に釘付けになる。
如月は一歩引き、
冷静に分析する。

「光とは、こういう存在なのか…」
そして、
心の奥で、
初めて小さな決意が芽生えた。
「…ボクも、光を理解して、立つんだ」

スタジオの窓から落ちる夕日の光が、
麗の髪と衣装を黄金色に染める。
如月の目には、
昨日のライブの余韻と、
今日の引退疑惑、
そして選ばれなかった自分の立場が、
すべてひとつに重なって映った。

違和感は、
光を理解するための第一歩だった。
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作者メッセージ

はい、かのらぶです。

作者コメのネタ切れ、それに加え作者挨拶のネタ切れも来ましたね、はい。


えーっと…

本シリーズは53話完結予定です!(シンプルにきり悪い)

では!

2026/03/09 18:00

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歌い手研修生から参加型

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