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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#41

第五部 第一話 違和感

夕暮れの光が、
スタジオのガラスを通して床に長い影を落としていた。

オレンジと赤が混ざった光は、
まるでステージライトの残響のように、
床に揺れる。

息を整えながら、
みんとは軽やかにステップを踏む。
ジャンプし、
ターンし、
腕を伸ばすその動きのひとつひとつが、
昨日のライブ以上に洗練され、
輝きを帯びていた。

昨日のステージは、
SNSでも話題になった。

[斜体][太字]「みんと、昨日やばかった!」
[/太字][/斜体][太字][斜体]「偶像として完璧すぎる」[/斜体][/太字]

通知は増え続け、
炎上は収まり、
逆に応援と称賛が広がった。
その勢いのまま、
練習に臨むみんとには、
昨日の余韻と自信が乗っている。
笑顔には自然さが宿り、
動きは無理なく流れ、
観る者を引き込む。

しかし、
如月の視線はその光景に釘付けでありながら、
胸の奥に重い違和感を抱えていた。

腕を組み、
僅かに眉を寄せる。

「なんで…あの子はあんなに自然に輝けるんだ?」

口には出さない。
声にすれば、
その感覚は薄れるような気がした。

目の前のステージは、
ただの練習スペースではない。
昨日のライブの興奮の余韻が、
壁にも床にも染みついているようで、
観客の歓声が耳にまだ残っている。
みんとの一挙手一投足に、
空気が反応している。

拍手、
ざわめき、
歓声――想像上の観客たちの期待の視線が、
自然とみんとに向かう。

そして、
その中に立つ自分。

「ボクは…まだそこに入れないのか」

胸の奥に焦燥感が芽生え、
喉の奥が締めつけられるようだ。

みんとは息を整え、
微笑む。

「ふぅ…昨日より少し良くなったかな」

その声は柔らかく、
無邪気で、
だが確かな自信を含んでいる。
如月はその微笑みを観察し、
無意識に分析を始める。
技術だけではない、
存在感。

舞台に立ったときの自然な輝き――それは、
努力だけでは作れないものだ。

「偶像としての本質…?」

理屈だけでは答えが出せない問いが胸に浮かぶ。

ゆめがそっと隣に寄る。
「如月…昨日のライブ、すごかったね」
その声は明るく、
元気を帯びている。
しかし、
如月の耳には届かない。

彼の視線は、
舞台に立つみんとの残像と、
ステージの空気の中にまだ留まっていた。

「…うん、すごかった」

簡潔な返答。
その声は冷静だが、
心の奥では焦燥が渦巻いている。

窓の外、
街灯の光が揺れ、
夜の空気は静かに沈んでいる。
スタジオの端、
暗がりの中に管理人の影が揺れる。
昨日のライブで表舞台に一度出たソノスの余韻を確認するかのように、
二人を静かに見守る目。
如月はふと背筋に寒さを覚える。
ただの練習スタジオなのに、
偶像の光を守る者の気配を、
確かに感じたからだ。

違和感は嫉妬や羨望ではない。
焦燥でも、
悔しさでもない。
胸の奥にあるのは、
まだ自分が光に手を届かせられないという事実の確認。
理屈では割り切れない、
重く、
静かに広がる感覚。

「ボクは…何を持って、あの場所に立てるのだろう」

問いは、
心の奥で何度も繰り返される。

みんとが笑顔で手を振る。
「ねぇ、次のステップ、どうする?」
自然に、
無理なく、
観客も自分も巻き込むようなその雰囲気。

如月はその場で一歩引き、
冷静に観察する。

分析し、
考える――その違いが、
自分と光の距離を浮き彫りにする。


[水平線]
机の端で管理人が静かに動く。
昨日のライブを受けて、
ソノスとしての余韻を確認するように。
「まだ、守られる側の光を守るべきだ」
その静かな決意が、
如月の胸にも微かな波紋を広げる。
光は独りでは輝かない。
それを理解する者がいてこそ、
光は折れない。

夕陽はゆっくりと沈みかけ、
長い影が二人の足元に伸びる。
その光と影の交錯は、
偶像として光を理解する者、
そしてまだその光に追いつけない者の象徴のようだった。

如月の胸に、
静かに、
だが確かに決意が芽生える。

「…ボクも、いつか――」

夜の静寂とともに、
スタジオの空気は重く、
しかし次の一歩を促すように揺れる。
光と影が混ざるその空間で、
疑問を抱く者の心は、
少しずつ未来に向かって動き出していた。
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作者メッセージ

第五部第一話、
物語ネタはあるけど
作者コメネタ無しです!

えーっと、
最終章までの道のりも長かったですが(まだ最終章ではない)
この章が終わったら最終章だよ☆

2026/03/09 10:55

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歌い手研修生から参加型

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