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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#37

第四部 第四話 崩れる夜

夕暮れのスタジオ。
オレンジ色の光が窓を染め、
床に細長く伸びる。
みんとは鏡の前に立ち、
深呼吸を繰り返していた。
心臓が高鳴る―


―でも、
声も、
笑顔も、
安定させなければならない。

「……大丈夫、私……」

でも、
その言葉は空回りしていた。
声が微かに震える。
足元のステップも、
いつもよりぎこちない。
胸に小さな圧迫感。
息が浅くなる。

「……ちょっと、休もうか」

ゆめの声に振り返る。
その目は、
いつもの明るさの中に、
強い心配が滲む。
「うん……」

みんとは少し微笑もうとしたが、
笑顔は途切れ途切れになった。

息を整えようと、
肩で大きく呼吸する。

だが、
心の中で囁く小さな声が消えない。

スタジオの端にいる如月は、
腕を組み、
眉を寄せてみんとを見つめる。
「……やっぱり、何か違う」

嫉妬ではない。
理解できない感覚。
でも、
放っておけない違和感。
如月は思った。

“偶像って、こんなに人を揺さぶるものだったのか……?”

みんとは鏡の中の自分に向かって言葉を零す。

「……私、守られてばかりだよね……」

その一言に、
ゆめは胸を押さえる。
「……泣きそう……」

声にはならない声が、
スタジオに落ちる。
みんとの瞳は揺れ、
心の奥の小さな恐怖が一気に広がる。

「私……釣り合ってない……私、本当に、偶像として……」

呼吸が浅くなる。
胸が締め付けられ、
体が震え始める。
手が震え、
ステップも止まる。

みんとはその場に膝をつき、
肩を震わせた。

「……息が、苦しい……」

ゆめは駆け寄る。
「みんと!大丈夫!?落ち着いて!」

手を握り、
背中をさすりながら、
ゆめは必死で呼びかける。

「怖くないよ、私がいる……絶対に一人じゃない……!」

如月も近づき、
普段見せない強い眼差しで言う。

「……もう、無理して笑わなくていい。
ボクたちがいる。ちゃんと支えるから」

みんとは目に涙を浮かべ、
肩で息をする。
小さく、
でも確かに声が漏れる。

「……ごめん、私……弱くて……」

ゆめはさらに手を握り、
静かに囁く。
「弱くたっていいの……大丈夫。私たちがここにいる……!」

しばらくして、
みんとはゆっくり呼吸を整え、
顔を上げる。

涙と汗で濡れた頬に、
微かな笑みが戻る。
でも心の奥には、
まだ不安が残っていた。

“私は本当に、釣り合っているのか……?”

ゆめはその目を見つめ、
力を込める。

「みんと……どんなに揺れても、光は消えないよ。
みんとはみんとの光で、立っている」

如月も、
眉をひそめながらも、
少しだけ口角を上げる。

「……その光を守るのも、私たちの役目だ」

みんとは肩の力を抜き、
深呼吸をする。

震えながらも、
決意が少しだけ顔を覗かせる。

[斜体][明朝体]“まだ、終わらない……私は、守られるだけじゃない……守られる光を信じる……”
[/明朝体][/斜体]

夜。
帰宅したみんとは一人、
ベッドに座り、
スマホを開く。

通知は静かになっていたが、
画面にはまだ“ソノス復帰説”やコメントが残っている。

「……比べられてる……私、二世扱い……」

小さく呟く。
しかし、
どこかで覚悟が芽生えていた。

守られる光を、
守るべき光を、
信じる力。

スタジオの火種はまだくすぶっている。
だが、
みんとは揺れながらも、
自分の立ち位置を少しずつ噛み締め始めていた。

守られる偶像から、
いつか守る存在になるための、
第一歩――。
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作者メッセージ

終わらせ方微妙ですみません。

もうちょいで第四部も完結です。


第四部ラスト一話であの人が歌う予定です!

では!

2026/03/09 10:53

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