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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#36

第四部 第三話 新たな火種

昼下がりのスタジオ。
窓から差し込む光が、
床に長く伸びる。

鏡の前で立つみんとの影は、
自分の影と、
周囲の光の中で揺れている。

「……大丈夫、私……」

自分にそう言い聞かせる。
炎上は収まった。

支持も戻った。
ファンも戻った。

でも――胸の奥には、
まだ小さなざわめきが残っていた。

鏡に映る自分の姿。
笑顔は作れる。
歌声も安定している。

だが、
目の端でSNSの通知音が光るたびに、
胸が跳ねる。

わずかに声が震え、
手が滑ることもある。

「……私、釣り合ってるのかな……?」

言葉にしてみる。
でも、
答えはすぐには返ってこない。
その問いの背後に、
世間の声がうっすら聞こえるような気がした。

スマホを手に取る。
画面には、
SNSで急に広まり始めた新しい話題。

[太字][斜体]《伝説の初代偶像ソノス、復帰説浮上!》
《現役偶像との比較、二世扱いか?》
《あの緑髪の子、あくまで“後継”……?》
[/斜体][/太字]
コメント欄には賛否両論。
応援する声もあるが、
揶揄や疑問も混ざる。
「また、比べられてる……」

みんとの胸が締め付けられる。
画面を指で滑らせるたびに、
光の波が小さく跳ねる。
その光は、
まるで自分を揺さぶる波のように感じられた。

「私は、誰かの代わり……?」

小さく呟く声が、
スタジオの空気に溶ける。
言葉にして初めて、
心の中の恐怖がはっきり見えてきた。

[大文字][明朝体]“私は、二世偶像なのか――本当に、自分の光で立てているのか?”
[/明朝体][/大文字]
その時、
スタジオのドアが静かに開き、
ゆめが入ってくる。

「みんと……」

目が合う。
ゆめは笑顔を見せるが、
その瞳はいつもより真剣で、
心配に満ちている。

「……どうしたの?元気ないみたい」

みんとは俯いたまま、
スマホの画面を指で押さえる。

「ううん……ただ、ちょっと考えちゃっただけ……」

でも、
声の端に震えが混じっている。
ゆめはすぐに気づいた。

[斜体][太字]“いつも通りじゃない”
[/太字][/斜体]
「……SNS見たでしょ」
ゆめの言葉は優しいが、
核心をつく。
みんとは小さく頷く。

「みんと、あなたの歌も笑顔も、誰かの代わりじゃない。あなた自身の光だよ」
ゆめの言葉は届く。
でも、
その光を信じることが、
今の彼女には難しい。

スタジオの鏡に映る自分。
笑顔はある。
声も響く。
しかし心の奥は、
まだ揺れていた。

[斜体][太字]“私は守られてばかりだよね――”
[/太字][/斜体]
小さく吐いたその言葉に、
ゆめは胸を押さえる。

「……泣きそうになる」

声にならない声が、
静かにスタジオに落ちる。

そのとき、
端で如月が腕を組み、
じっと二人を見つめていた。
眉間に皺を寄せ、
口元を引き締める。

「……なんだ、この違和感……」

嫉妬ではない。
理解できない、
しかし無視できない感覚。
彼女もまた、
光の裏にある影を感じていた。

鏡に向かって手を伸ばすみんと。
息が少し荒くなる。
「……私、釣り合ってないのかな……」
思わず言葉にしてしまう。
その声は、
スタジオに静かに響き、
誰も答えない。
でも、
それが現実を認める第一歩だった。

ゆめはそっと隣に寄り、
手を握る。
「大丈夫、みんと……一人じゃない」

みんとは目を閉じる。
胸の奥にあった小さな恐怖が、
少しだけ柔らいだ。
けれど、
心の奥にはまだ、
嵐の種が眠っている。

その夜、みんとは一人、
部屋でスマホを開く。
通知は増え続け、
ソノス復帰説が盛んに語られていた。

「……私は、誰かの代わり……?」

問いは消えず、
胸に小さく残る。

しかし、
どこかで覚悟が芽生えつつあった。
守られるだけじゃない、
守られる光の意味を――
そして、
いつかその光を継ぐ存在になるかもしれないという予感を。

光は揺れ、
火種は静かにくすぶる。
守られる偶像は、
まだ揺れながらも自分の声を探す。
そして、
その火種は、
必ず次の嵐を呼ぶ――。
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作者メッセージ

はい、事情が入って6時も0時も投稿できませんでした。

最近マジですみません。

次回もお楽しみに!

2026/03/06 08:00

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歌い手研修生から参加型

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