夜は、
音が少ない。
オフィスの窓に映る街灯の光が、
ゆらりと揺れる。
モニターの画面には、
炎上関連の記事の訂正と謝罪文。
世論は、
反転し始めていた。
「……遅いくらいだ」
管理人は椅子にもたれ、
静かに呟く。
みんとへの誹謗は減っている。
代わりに出回り始めた名前。
[斜体][太字][大文字]――ソノス。
[/大文字][/太字][/斜体]
数年ぶりに、
ネットの海へ浮上したその文字列。
画面をスクロールする。
[斜体][太字]《元初代偶像ソノス、沈黙を破る》
《引退の真相、後継を守るためだった?》
《炎上の裏に圧力か》
[/太字][/斜体]
小さく、
息を吐く。
「好き勝手に書く」
だが否定はしない。
それでいい。
みんとの名前が守られるなら。
机の引き出しを開ける。
中には、
古いイヤーモニター。
黒とピンクの衣装の切れ端。
そして、
小さなメモ。
[太字]“声を超えられた日”
[/太字]
指先が止まる。
あの日。
ステージ中央で歌っていたのは自分だった。
だが、
隣に立った新人の声が――
自分よりも澄み、
自分よりも伸びた。
歓声が、
揺れた。
その瞬間に悟った。
「私は、終わる側だ」
悔しさはなかった。
怖かったのは――
[明朝体][太字][大文字]“圧倒されること”
[/大文字][/太字][/明朝体]
声で、
存在を塗り替えられること。
だから辞めた。
守る側に回った。
管理人として。
総長として。
自分の声を、
閉じ込めた。
モニターに映るみんとのライブ映像を再生する。
まっすぐな声。
迷いのない瞳。
「あの子は……違う」
潰れてはいけない。
自分とは違う。
[太字][明朝体]“守られるべき光”。
[/明朝体][/太字]
スマホが震える。
メッセージ。
[太字][斜体]《炎上ほぼ沈静化》
《逆に同情と支持が増加中》[/斜体][/太字]
管理人は短く返信する。
[太字][斜体]《追加対応は不要。静観》
[/斜体][/太字]
送信。
そして、
静かに目を閉じる。
――私は、また前に出るべきか?
一瞬だけ、考える。
もし。
ソノスが完全復帰すれば。
世間は騒ぐ。
話題は持っていける。
だが。
それは、みんとの光を奪うことにならないか?
沈黙。
ゆっくりと立ち上がる。
窓の外を見る。
「私は裏でいい」
小さく、
しかしはっきりと。
「主役は、あの子たちだ」
だが。
もし。
もし、
彼女たちが本当に折れそうになったら――
そのときは。
「……歌うかもしれないな」
自嘲のような笑み。
封じたはずの声が、
胸の奥で震える。
ソノスは死んでいない。
ただ、
眠っているだけ。
夜の静寂の中。
管理人は、
静かに灯りを消した。
第四部は――
守る者の物語から始まる。
音が少ない。
オフィスの窓に映る街灯の光が、
ゆらりと揺れる。
モニターの画面には、
炎上関連の記事の訂正と謝罪文。
世論は、
反転し始めていた。
「……遅いくらいだ」
管理人は椅子にもたれ、
静かに呟く。
みんとへの誹謗は減っている。
代わりに出回り始めた名前。
[斜体][太字][大文字]――ソノス。
[/大文字][/太字][/斜体]
数年ぶりに、
ネットの海へ浮上したその文字列。
画面をスクロールする。
[斜体][太字]《元初代偶像ソノス、沈黙を破る》
《引退の真相、後継を守るためだった?》
《炎上の裏に圧力か》
[/太字][/斜体]
小さく、
息を吐く。
「好き勝手に書く」
だが否定はしない。
それでいい。
みんとの名前が守られるなら。
机の引き出しを開ける。
中には、
古いイヤーモニター。
黒とピンクの衣装の切れ端。
そして、
小さなメモ。
[太字]“声を超えられた日”
[/太字]
指先が止まる。
あの日。
ステージ中央で歌っていたのは自分だった。
だが、
隣に立った新人の声が――
自分よりも澄み、
自分よりも伸びた。
歓声が、
揺れた。
その瞬間に悟った。
「私は、終わる側だ」
悔しさはなかった。
怖かったのは――
[明朝体][太字][大文字]“圧倒されること”
[/大文字][/太字][/明朝体]
声で、
存在を塗り替えられること。
だから辞めた。
守る側に回った。
管理人として。
総長として。
自分の声を、
閉じ込めた。
モニターに映るみんとのライブ映像を再生する。
まっすぐな声。
迷いのない瞳。
「あの子は……違う」
潰れてはいけない。
自分とは違う。
[太字][明朝体]“守られるべき光”。
[/明朝体][/太字]
スマホが震える。
メッセージ。
[太字][斜体]《炎上ほぼ沈静化》
《逆に同情と支持が増加中》[/斜体][/太字]
管理人は短く返信する。
[太字][斜体]《追加対応は不要。静観》
[/斜体][/太字]
送信。
そして、
静かに目を閉じる。
――私は、また前に出るべきか?
一瞬だけ、考える。
もし。
ソノスが完全復帰すれば。
世間は騒ぐ。
話題は持っていける。
だが。
それは、みんとの光を奪うことにならないか?
沈黙。
ゆっくりと立ち上がる。
窓の外を見る。
「私は裏でいい」
小さく、
しかしはっきりと。
「主役は、あの子たちだ」
だが。
もし。
もし、
彼女たちが本当に折れそうになったら――
そのときは。
「……歌うかもしれないな」
自嘲のような笑み。
封じたはずの声が、
胸の奥で震える。
ソノスは死んでいない。
ただ、
眠っているだけ。
夜の静寂の中。
管理人は、
静かに灯りを消した。
第四部は――
守る者の物語から始まる。
- 1.第一部 第零話 スタートライン手前にて
- 2.第一部 第一話 スタートラインに立ったもの
- 3.第一部 第二話 開始のブザーが鳴り
- 4.第一部 第三話 前傾姿勢になって。
- 5.第一部 第四話 もう一度?
- 6.第一部 第五話 採点室にて
- 7.第一部 第六話 歌い手に。 そして本当のスタートを前に。
- 8.第一部 最終話 説明会前日
- 9.第二部 第零話 静かな会議室にて
- 10.第二部 第一話 お披露目会
- 11.第二部 第二話 お披露目会・終了後
- 12.第二部 第三話 初舞台
- 13.第二部 第四話 朱、降臨
- 14.第二部 第五話 黄、すべてを照らす
- 15.第二部 第六話 声を並べる者たち
- 16.第二部 第七話 声を剥ぐ
- 17.第二部 第七・五話 身体は嘘をつかない
- 18.第二部 最終話 管理人の記録
- 19.第三部 第零話 週刊誌
- 20.第三部 第一話 予定外の光
- 21.第三部 第二話 知らされる星
- 22.第三部 第三話 星降る夜、未来を夢見る
- 23.第三部 チーム編成
- 24.第三部 第四話 チーム分けと練習、そして思い出
- 25.第三部 第五話 グループで発表会
- 26.第三部 第六話 如月の成長
- 27.第三部 第七話 みんとは。
- 28.第三部 第八話 如月の本音
- 29.第三部 第九話 火が付く
- 30.第三部 第十話 炎上
- 31.第三部 第十一話 お願い
- 32.第三部 最終話 管理人は。
- 33.第四部 第零話 声を捨てたもの
- 34.第四部 第一話 揺れる光
- 35.第四部 第二話 疑問を持つ者
- 36.第四部 第三話 新たな火種
- 37.第四部 第四話 崩れる夜
- 38.第四部 第五話 管理人の決断
- 39.第四部 最終話 継ぐ光
- 40.第五部 第零話 余光を見つめて
- 41.第五部 第一話 違和感
- 42.第五部 第2話 選ばれない側
- 43.第五部 第三話 管理人の視線
- 44.第五部 第四話 事件、そして―
- 45.第五部 最終話 光の交代
- 46.第六部 第零話 今年の光
- 47.第六部 第一話 光の隣で
- 48.第六部 第二話 崩れた予定
- 49.第六部 第三話 本音
- 50.第六部 第四話 ソノスの役目
- 51.第六部 最終話 光は、隣で
- 52.最後に。