ステージの照明が落ち、
ざわめきが消える。
ゆめは席に座り、
胸が高鳴るのを感じながら視線をステージに向けた。
朱色の衣装を纏った十朱みやさんと、
緑と黒の衣装の仰凪みんと―
―二人がセンターに立っている。
「…わ、二人とも、こんなに完璧に……」
ゆめの息は自然と止まった。
照明が交互に当たり、
二人のシルエットが浮かぶ。
みんとの声が静かに、
でも芯の通った強さで会場を満たす。
♪――
「光が揺れるこの場所で 迷わず歩くの
夢に描いた景色へ 羽ばたいて行く」
みんとの歌声は、
みやさんの柔らかく伸びやかな声にぴったり寄り添い、
決して邪魔にならず、
むしろ互いの存在を際立たせる。
ダンスも完璧で、
アクロバットを交えながら偶像の動きを引き立て、
全体のシルエットが美しい調和を描く。
ゆめは思わず目を見開く。
「みんと…偶像と一緒にいても、違和感が全然ない…」
その驚きと尊敬が胸に広がる。
如月は、
ステージ上の二人をじっと見つめ、
眉を少し寄せる。
「…どうして、あの子は、あんなに自然に…」
嫉妬ではなく、
理解しきれない感覚。
釈然としない、
でも否定できない感覚が胸にあった。
曲のサビに入る。
観客席は一瞬静まり返る。
二人の声が重なり、
空気が震える。
♪――
「止まらない鼓動を 今、届けるの
この瞬間を重ねて 光と影を抱きしめて」
みんとは次々にバク転やスピンを繰り出す。
そのたびにみやさんの和風のの舞も光り、
二人の動きが一つの光景として観客の目に映る。
完璧なハーモニーとリズムの中で、
みんとが偶像に釣り合う[太字]“存在感のバランス”[/太字]を自然に示していた。
ゆめの視線は、
ステージ全体を包むその光景に釘付けになる。
「偶像と並んで…でも、あの子の存在が邪魔じゃない。むしろ、偶像がより際立ってる…」
胸に込み上げる感動と尊敬。
息を飲むほどの美しさだった。
如月は、
眉を寄せたまま、
言葉にならない疑問を胸に抱く。
「…どうして、あの子はあんなに…釣り合って、自然に……」
誰もが圧倒されるステージを、
みんとは全力で駆け抜けていた。
最後のポーズで二人が息を合わせ、
観客席に拍手が轟く。
ゆめは思わず呆然としながらも、
あの緑の髪の子が仰凪みんとであることをはっきり認識していた。
会場の明かりがわずかに落ち、
ステージのライトがちらちらと揺れる。
その瞬間、
観客席のざわめきがピタリと止まった。
ゆめの手が自然と握りこぶしになる。
心臓が跳ねる。
「…え、何が始まるの…?」
ステージ端に置かれたスマホが光を帯び、
突如配信が始まる。
画面の向こうに、先程まで踊っていた、
偶像・十朱みやの顔が浮かび上がる。
「皆さん…少しだけ、耳を貸してください」
声は静かだが、
その一言に、
会場全体の空気が張り詰める。
「僕は…今日、この場で――
[大文字]引退します[/大文字]」
その告知は、
まるで爆弾が投げ込まれたかのように観客席を揺るがせた。
ざわめき、
息をのむ音、
スマホの通知音。
ゆめの胸が強く締め付けられる。
「でも…ただの引退じゃありません」
みやさんの瞳が画面越しに鋭く光る。
「僕が次に託すのは…
[太字]仰凪みんと[/太字]です」
緑髪の少女―
―みんと―
―は、
偶像の横で軽く頭を下げる。
しかし、
ゆめにははっきり見えた。
その立ち姿、
視線、
全てが偶像に釣り合い、
むしろ光を奪うほどの存在感。
彼女は、
ステージの光を完全に背負っていた。
「…みんと…?」
ゆめの言葉は、
観客席の興奮の波にかき消されるようだった。
如月は少し距離を置き、
眉を寄せる。
口元に浮かぶのは、
嫉妬ではない、
理解を超えた疑問。
「どうして…あの子が、こんな…」
答えは見えない。
納得も拒否もできない。
目の前の現実が、
理屈を超えて突きつけられていた。
会場の空気は凍りつき、
やがて大きなざわめきと拍手が入り混じる。
画面越しのみやさんは静かに微笑み、
ゆっくりと手を振る。
「みんと…頼むよ。皆も、応援してあげてください」
ゆめは息を飲み、
みんとを見つめた。
「…偶像として、完璧に釣り合ってる…」
その言葉が心の奥で震えた。
一瞬、
会場全体が静止したかのような、
歴史の瞬間に立ち会った感覚。
ゆめの目に映るみんとは、
ただの同期ではない。
新しい光そのものだった。
ざわめきが消える。
ゆめは席に座り、
胸が高鳴るのを感じながら視線をステージに向けた。
朱色の衣装を纏った十朱みやさんと、
緑と黒の衣装の仰凪みんと―
―二人がセンターに立っている。
「…わ、二人とも、こんなに完璧に……」
ゆめの息は自然と止まった。
照明が交互に当たり、
二人のシルエットが浮かぶ。
みんとの声が静かに、
でも芯の通った強さで会場を満たす。
♪――
「光が揺れるこの場所で 迷わず歩くの
夢に描いた景色へ 羽ばたいて行く」
みんとの歌声は、
みやさんの柔らかく伸びやかな声にぴったり寄り添い、
決して邪魔にならず、
むしろ互いの存在を際立たせる。
ダンスも完璧で、
アクロバットを交えながら偶像の動きを引き立て、
全体のシルエットが美しい調和を描く。
ゆめは思わず目を見開く。
「みんと…偶像と一緒にいても、違和感が全然ない…」
その驚きと尊敬が胸に広がる。
如月は、
ステージ上の二人をじっと見つめ、
眉を少し寄せる。
「…どうして、あの子は、あんなに自然に…」
嫉妬ではなく、
理解しきれない感覚。
釈然としない、
でも否定できない感覚が胸にあった。
曲のサビに入る。
観客席は一瞬静まり返る。
二人の声が重なり、
空気が震える。
♪――
「止まらない鼓動を 今、届けるの
この瞬間を重ねて 光と影を抱きしめて」
みんとは次々にバク転やスピンを繰り出す。
そのたびにみやさんの和風のの舞も光り、
二人の動きが一つの光景として観客の目に映る。
完璧なハーモニーとリズムの中で、
みんとが偶像に釣り合う[太字]“存在感のバランス”[/太字]を自然に示していた。
ゆめの視線は、
ステージ全体を包むその光景に釘付けになる。
「偶像と並んで…でも、あの子の存在が邪魔じゃない。むしろ、偶像がより際立ってる…」
胸に込み上げる感動と尊敬。
息を飲むほどの美しさだった。
如月は、
眉を寄せたまま、
言葉にならない疑問を胸に抱く。
「…どうして、あの子はあんなに…釣り合って、自然に……」
誰もが圧倒されるステージを、
みんとは全力で駆け抜けていた。
最後のポーズで二人が息を合わせ、
観客席に拍手が轟く。
ゆめは思わず呆然としながらも、
あの緑の髪の子が仰凪みんとであることをはっきり認識していた。
会場の明かりがわずかに落ち、
ステージのライトがちらちらと揺れる。
その瞬間、
観客席のざわめきがピタリと止まった。
ゆめの手が自然と握りこぶしになる。
心臓が跳ねる。
「…え、何が始まるの…?」
ステージ端に置かれたスマホが光を帯び、
突如配信が始まる。
画面の向こうに、先程まで踊っていた、
偶像・十朱みやの顔が浮かび上がる。
「皆さん…少しだけ、耳を貸してください」
声は静かだが、
その一言に、
会場全体の空気が張り詰める。
「僕は…今日、この場で――
[大文字]引退します[/大文字]」
その告知は、
まるで爆弾が投げ込まれたかのように観客席を揺るがせた。
ざわめき、
息をのむ音、
スマホの通知音。
ゆめの胸が強く締め付けられる。
「でも…ただの引退じゃありません」
みやさんの瞳が画面越しに鋭く光る。
「僕が次に託すのは…
[太字]仰凪みんと[/太字]です」
緑髪の少女―
―みんと―
―は、
偶像の横で軽く頭を下げる。
しかし、
ゆめにははっきり見えた。
その立ち姿、
視線、
全てが偶像に釣り合い、
むしろ光を奪うほどの存在感。
彼女は、
ステージの光を完全に背負っていた。
「…みんと…?」
ゆめの言葉は、
観客席の興奮の波にかき消されるようだった。
如月は少し距離を置き、
眉を寄せる。
口元に浮かぶのは、
嫉妬ではない、
理解を超えた疑問。
「どうして…あの子が、こんな…」
答えは見えない。
納得も拒否もできない。
目の前の現実が、
理屈を超えて突きつけられていた。
会場の空気は凍りつき、
やがて大きなざわめきと拍手が入り混じる。
画面越しのみやさんは静かに微笑み、
ゆっくりと手を振る。
「みんと…頼むよ。皆も、応援してあげてください」
ゆめは息を飲み、
みんとを見つめた。
「…偶像として、完璧に釣り合ってる…」
その言葉が心の奥で震えた。
一瞬、
会場全体が静止したかのような、
歴史の瞬間に立ち会った感覚。
ゆめの目に映るみんとは、
ただの同期ではない。
新しい光そのものだった。
- 1.第一部 第零話 スタートライン手前にて
- 2.第一部 第一話 スタートラインに立ったもの
- 3.第一部 第二話 開始のブザーが鳴り
- 4.第一部 第三話 前傾姿勢になって。
- 5.第一部 第四話 もう一度?
- 6.第一部 第五話 採点室にて
- 7.第一部 第六話 歌い手に。 そして本当のスタートを前に。
- 8.第一部 最終話 説明会前日
- 9.第二部 第零話 静かな会議室にて
- 10.第二部 第一話 お披露目会
- 11.第二部 第二話 お披露目会・終了後
- 12.第二部 第三話 初舞台
- 13.第二部 第四話 朱、降臨
- 14.第二部 第五話 黄、すべてを照らす
- 15.第二部 第六話 声を並べる者たち
- 16.第二部 第七話 声を剥ぐ
- 17.第二部 第七・五話 身体は嘘をつかない
- 18.第二部 最終話 管理人の記録
- 19.第三部 第零話 週刊誌
- 20.第三部 第一話 予定外の光
- 21.第三部 第二話 知らされる星
- 22.第三部 第三話 星降る夜、未来を夢見る
- 23.第三部 チーム編成
- 24.第三部 第四話 チーム分けと練習、そして思い出
- 25.第三部 第五話 グループで発表会
- 26.第三部 第六話 如月の成長
- 27.第三部 第七話 みんとは。
- 28.第三部 第八話 如月の本音
- 29.第三部 第九話 火が付く
- 30.第三部 第十話 炎上
- 31.第三部 第十一話 お願い
- 32.第三部 最終話 管理人は。
- 33.第四部 第零話 声を捨てたもの
- 34.第四部 第一話 揺れる光
- 35.第四部 第二話 疑問を持つ者
- 36.第四部 第三話 新たな火種
- 37.第四部 第四話 崩れる夜
- 38.第四部 第五話 管理人の決断
- 39.第四部 最終話 継ぐ光
- 40.第五部 第零話 余光を見つめて
- 41.第五部 第一話 違和感
- 42.第五部 第2話 選ばれない側
- 43.第五部 第三話 管理人の視線
- 44.第五部 第四話 事件、そして―
- 45.第五部 最終話 光の交代
- 46.第六部 第零話 今年の光
- 47.第六部 第一話 光の隣で
- 48.第六部 第二話 崩れた予定
- 49.第六部 第三話 本音
- 50.第六部 第四話 ソノスの役目
- 51.第六部 最終話 光は、隣で
- 52.最後に。