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350閲覧ありがとう! 参加〆切【大型(?)参加型】 学園内何でも屋〜悪魔ハ何者ナノカ、理由ハ魔導書二アル。〜

#21

零点ノ居場所

三学期直前。

答案が返されてから、
数日が経っていた。

廊下には、
いつもの笑い声が戻っている。

「思ったより悪くなかった」
「赤点回避~」
そんな声が、
あちこちから聞こえる。

―でも。

私は、
どうしても引っかかっていた。



「ねぇ、ゆめ」

図書室の奥。
雷が、
机に頬杖をつく。

「今回さ、
“ゼロ”いなかったよな」

「…うん」

誰も、
完全に折れていない。

誰も、
絶望していない。

それは良いことのはずなのに。

Affectusが、
天井近くでぼそりと呟く。

「均されすぎテイル」

均されている。

山も谷も、
削られているみたいに。



そのとき。

図書室の入口で、
足音が止まった。

「…」

見慣れない生徒。

答案を握りしめている。

しわだらけの紙。

私は立ち上がる。

「どうしましたか?」

その子は、
少し迷ってから、
答案を差し出した。

点数。

―38点。

赤点ではない。
追試もない。

でも。

「…本当は」

小さな声。

「本当は、
0点だったんです」

心臓が、
どくん、
と鳴った。



「全部、
分からなくて。
白紙で出しました」

でも返ってきたら、
途中点がついていた。

書いていない途中式に、
丸がついている。

「…これ、
私の字じゃないんです」

空気が、
静かに凍る。

雷が、
小さく呟く。

「…やったな」



その瞬間。

図書室の奥、
本棚の影が、
ほんの少しだけ揺れた。

labyrinthが、
不安そうに顔を出す。

「…これ、
わたしじゃないよ」

glitchも、
首を横に振る。

「俺でもねぇ」

つまり。

これは、
悪魔の仕業じゃない。



「先生に、
聞きましたか?」

私がそう尋ねると、
その子は首を振った。

「…怖くて」

怖い。

怒られるからじゃない。

優しくされるのが、
怖い。



そのとき。

「神谷さん」

穏やかな声。

振り向かなくても、
分かる。

風白先生。

いつの間にか、
そこに立っていた。

「少し、
よろしいですか」



図書室の隅。

その生徒と、
先生が向き合う。

私たちは、
少し離れた場所で見守る。

「白紙だったのですね」

責める声ではない。

確認。

「…はい」

「では、
この点数は困りますか?」

その問いに、
生徒は戸惑う。

「え…?」

「0点の方が、
納得できますか」

静かな、
でも核心を刺す質問。

生徒の目が、
揺れる。

「…分からないです」

「0点だったら、
ちゃんと落ち込めた」

その言葉に、
私は息を止めた。



風白先生は、
しばらく黙った。

それから。

「今回は、
“考え方の可能性”に点をつけました。

白紙でも、
途中で止まった思考はある。

それを、
評価しました」

嘘ではない。

でも。

書いていないものを、
どうやって評価したのか。

その問いは、
誰も口にしない。



「0点が欲しいなら、
つけ直します」

先生は、
さらりと言った。

生徒は、
目を見開く。

「え…」

「点数は、
あなたのものですから」

委ねる。

決めるのは、
本人。



長い沈黙。

やがて。

「…38点で、いいです」

小さな声。

でも、
自分で選んだ声。

風白先生は、
頷いた。

「分かりました」

それだけ。



生徒が帰ったあと。

図書室は、
しばらく静まり返った。

雷が、
低く言う。

「…やば。

ゼロにしないんじゃない。

“選ばせる”のか」



私は、
先生の背中を見た。

何もなかったように、
本を整理している。

「先生」

思わず、
声が出る。

「書いてない途中式、
どうやって評価したんですか」

一瞬。

ほんの一瞬だけ。

先生の手が、
止まった。

でも、
振り向かない。

「推測です」

穏やかな声。

「普段の答案を、
覚えていますから」

……それだけ?

本当に?



雷が、
小さく囁く。

「違うな」

「この人、
“白紙の先”見てる」

私は、
ぞくりとした。

見えないはずのものを、
見ないふりして。

でも、
確実に把握している。



その夜。

校舎は、
静かだった。

迷宮も動かない。

悪魔たちも、
妙に大人しい。

Affectusが、
ぼそりと言う。

「極端ガ、
減ッテイル」

ゼロも、
百も。

壊れるほどの絶望も、
暴走する歓喜も。

削られている。



三学期は、
もうすぐ。

何も起きていない。

でも。

私は、
やっと気づいた。

この学校で
一番強い力は―

壊す力でも、
迷わせる力でもない。

“ゼロを選ばせない力”だ。

風白先生は、
今日も穏やかに笑う。

何も、
していない顔で。

でもきっと。

誰かの答案の
“書かれていない途中式”を、

今も、
見ている。

作者メッセージ

久しぶりの執筆だぁぁぁぁ(ストックまたまた0w)

今回、間に合うかはわかりませんが、バレンタイン特別回を作っています!

まあ、間に合ったら夜に登校します!(学校行くのか?)
あ、誤字ってますね、投稿します!

では!

2026/02/14 18:00

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悪魔学園一部爆笑系

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