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400閲覧!【参加〆切】時を食う怪盗の僕は、素人だらけの部活に潜り込み、誰にも気づかれずに日々を駆け抜ける

#15

第十二話 仮面と素顔の距離

夏の夜は、
やけに蒸し暑い。

港湾地区の旧倉庫。

今夜、
そこに違法収集品が一時保管される。

零は黒いマスクをつける。

クロノスとして動くのは、
夏休みに入って初めてだった。

「…短時間で終わらせる」

仲間には知らせていない。

疑念は消えたばかりだ。

今動くのは危険。

だが―


―模倣犯の件。


あれが本物なら、
放置はできない。

零は闇に溶けた。

侵入
警備は甘い。

だが妙だ。

人の気配が多い。

屋根上に着地した瞬間。

聞き慣れた声がした。

「ねぇ葵、ほんとに来ると思う?」

零の呼吸が止まる。

西紀。

そして。

「えー?知らんけどぉ。来たらラッキーじゃん?研究材料ゲットぉ」

葵。

零の視界が静止する。

どうしてここに?

倉庫の裏手。

吹雪、
琉雨、
葵、
西紀。

“クロノス研究会”と化した少人数班。

吹雪が淡々と言う。

「模倣犯が出た以上、本物が動く可能性は高い」

葵が双眼鏡を覗き込む。

「本物クロノスってさ、加速じゃなくて“認知ズレ”説ない?」

零の心臓が跳ねる。

鋭い。

葵はマイペースだが、
直感が妙に当たる。

吹雪が続ける。

「彼は常に“最小干渉”で動く。必要以上に時間を歪めない」

零の喉が乾く。

当たりすぎている。

このまま動けば―

研究対象そのもの。

だが、
引けば模倣犯を逃す。

選択の時間は短い。

零は飛び降りた。

出現
「…こんばんは」

倉庫内に低い声が響く。

四人が振り向く。

葵の目が輝く。

「出たぁ!!本物ぉ!?」

西紀が一歩前に出る。

「やっぱ来るよな!」

吹雪は観察の目。

琉雨は半分眠そうに言う。

「…時間、揺れてない」

零は最短距離で目標物を回収する。

今回は見せる必要はない。

最小速度。

だが。

その瞬間。

倉庫のシャッターが落ちる。

金属音。

全出口封鎖。

照明が赤に変わる。

スピーカーから声。

「やっと捕まえたぞ、クロノス」

零の瞳が細まる。

罠。

しかも―

研究班ごと巻き込まれた。

葵が固まる。

「え、これヤバくね?」

西紀が周囲を見る。

「外出れねぇ」

吹雪は即座に分析。

「目的はクロノス確保。私たちは人質」

最悪だ。

零が超加速すれば脱出は可能。

だが。

この距離で使えば。

彼らは“観測”する。

特に吹雪と葵。

零は仮面の奥で息を整える。

時間が、
わずかに伸びる。

0.8秒。

使うか?

否。

まだ。

葵がぽつりと呟く。

「なぁクロノス」

零を見る。

「俺さ、ずっと思ってたんだけど」

一歩近づく。

「お前、なんか人間くさくね?」

心臓が、
強く打つ。

「完全無機質じゃないっていうかさ。なんつーの、迷う感じ?」

吹雪が葵を制止する。

「不用意な接近は危険です」

だが葵は止まらない。

「だってさぁ、ほんとに冷酷なら俺ら巻き込まないだろ?」

その言葉が、
刺さる。

零は一瞬だけ視線を逸らす。

その瞬間。

天井のワイヤーが落下。

反射。

思考より速く身体が動く。

世界が、
伸びる。

赤い警告灯がゆっくり瞬く。

葵の驚いた顔がスローモーションになる。

零は加速した。

だが。

極限まで抑える。

最小の歪み。

ワイヤーを切断。

四人を押し出す。

時間が戻る。

轟音。

葵が目を見開く。

「…今の」

吹雪の視線が鋭い。

琉雨がぽつり。

「…やっぱり、揺れた」

沈黙。

零は低く言う。

「出口は東側。三秒後、隙ができる」

「なんで分かる!?」

西紀。

零は答えない。

シャッターの隙間が一瞬開く。

「今だ」

全員が駆ける。

外へ転がり出る。

背後で爆発音。

倉庫は封鎖された。

静寂。

夜風。

葵が、
クロノスを見る。

「…ありがと」

素直な声。

疑いではない。

ただの礼。

吹雪は静かに言う。

「あなたは、私たちを見捨てなかった」

零は背を向ける。

「時間は奪うものじゃない」

振り返らない。

「守るために使うこともある」

そのまま闇へ消える。

葵がぽつり。

「なぁ」

吹雪を見る。

「やっぱあいつ、人間だよな」

吹雪は答えない。

だが。

完全否定は、
できなかった。

屋上
マスクを外す。

零の額には汗。

ギリギリだった。

能力は使った。

だが観測されたのは断片。

確証には足りない。

それでも。

距離は、
縮まった。

危険な距離。

零は夜空を見上げる。

「…夏は静かじゃないな」

遠くで、
誰かがこちらを見ている気配。

罠を仕掛けた“誰か”。

本当の敵は、
まだ姿を見せていない。

作者メッセージ

夏が羨ましい!

自分は暑いのならかなり耐えられるけど、
寒いのはマジで無理な方だからマジで無理な方だから⋯

では!

2026/02/18 18:00

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参加型怪盗異能力(?)一部笑いあり

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