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400閲覧!【参加〆切】時を食う怪盗の僕は、素人だらけの部活に潜り込み、誰にも気づかれずに日々を駆け抜ける

#12

第九話 疑念は、静かに積もる

部室。

ホワイトボードには大きく一枚の紙。

【怪盗クロノス 行動分析】

吹雪が前に立っている。

珍しく、資料が分厚い。

「本日は、クロノスの行動パターンを整理します」

西紀が笑う。

「また助けてもらう前提?」

「違います」

吹雪の声は静かだが、
硬い。

「次に遭遇した場合、対処するためです」

零は椅子に座り、
黙って聞く。

吹雪が続ける。

「共通点は三つ」

ホワイトボードに書く。

① 警察完全包囲下でのみ出現
② 我々が撤退不能な瞬間に介入
③ 我々の位置を正確に把握

空気が少し変わる。

宇宙が言う。

「内部観測者がいる可能性」

西紀が笑いを止める。

「え?」

皐月は腕を組む。

「続けて」

吹雪はうなずく。

「大学事件、倉庫事件、どちらも」

紙をめくる。

「クロノスの登場タイミングは、我々の“詰み”の瞬間」

琉雨が静かに言う。

「…偶然?」

「確率は低いです」

吹雪は次のページを出す。

「さらに」

映像のコマ送り写真。

倉庫事件の瞬間。

零の横顔。

「ここ」

吹雪が指す。

「警察突入8秒前」

拡大。

零は立ち止まっている。

「時巣さんだけ、動いていません」

部室が静まる。

西紀が言う。

「いや、でも状況整理してたとか」

「その可能性もあります」

吹雪は否定しない。

だが続ける。

「しかし」

別の映像。

大学事件。

クロノスが天井から降りる直前。

零の視線。

“上を見ている”。

誰より早く。

宇宙が低く言う。

「…事前感知?」

皐月の目が細くなる。

零は動かない。

吹雪は最後の紙を出す。

犯行時間の比較表。

「クロノスの平均制圧時間は3.2秒」

「そして」

零を見る。

「時巣さんの反応速度テスト結果」

紙を置く。

「平均、0.12秒」

沈黙。

西紀が小さく言う。

「…偶然、だよな?」

吹雪はゆっくり息を吸う。

「僕は、可能性の話をしています」

一拍。

「クロノスが、我々の中にいる可能性」

空気が凍る。

宇宙の視線が鋭くなる。

「誰だ」

琉雨は目を閉じている。

皐月は何も言わない。

零は静かに言う。

「証拠は?」

吹雪と目が合う。

「ありません」

即答。

「だからこそ、確かめたい」

西紀が立ち上がる。

「やめろよ!」

声が震える。

「仲間だろ!」

吹雪は優しい声で言う。

「だからこそ、です」

宇宙が零を見る。

「否定しないのか」

零は淡々と答える。

「疑うなら、疑えばいい」

挑発でも怒りでもない。

ただの事実。

吹雪の瞳が揺れる。

「時巣さん」

「何」

「次の作戦」

ゆっくり言う。

「あなたを前線から外します」

西紀が叫ぶ。

「はぁ!?」

「内部観測の可能性を排除するため」

合理的。

冷酷。

だが正しい。

皐月が口を開く。

「それでええ」

決定。

零は頷く。

「構わない」

だが。

その目は静かだ。

宇宙が低く言う。

「もしクロノスだった場合」

零と視線が交わる。

「敵だ」

空気が重い。

吹雪が最後に言う。

「これは、敵を探すためではありません」

「我々を守るためです」

会議終了。

部員が散る。

零は一人、
部室に残る。

窓の外は夜。

小さく呟く。

「やりすぎたか」

完璧だったはず。

だが。

0.8秒。

あの迷い。

そして、

視線。

気づかれ始めている。

完全ではない。

だが。

確実に。

零はマスクを見つめる。

次の夜。

前線には立てない。

ならば。

どうやって動く?

怪盗クロノスとして。

仲間を守りながら。

疑われながら。

時間は、
味方か。

それとも。

敵か。

―疑念は、
まだ始まったばかり。

作者メッセージ

お話がいいいのが思いつかない!

ということで次回もおっ楽しいに!(なぜそうなる!?)

2026/02/16 23:51

コメント

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参加型怪盗異能力(?)一部笑いあり

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