旧校舎三階。
カーテンは閉じられ、
ホワイトボードには大きく一言。
【次、どうする?】
[大文字][大文字][太字]西紀が先に口を開いた。
[/太字][/大文字][/大文字]
「クロノスにリベンジでしょ!!」
拳を机に叩きつける。
「俺ら助けられたままとか、なんか気持ち悪い!」
宇宙が冷静に返す。
「実力差は明白」
「だから燃えるんじゃん!」
「感情で動くな」
火花。
皐月が手を叩く。
「はいはい、順番や」
視線が琉雨へ。
白銀の髪が机に流れている。
「…次の標的候補、三つ」
いつの間にか資料が並んでいる。
眠そうだが、声は明瞭。
「A:違法収集家の個人保管庫
B:闇オークションの中継倉庫
C:大学研究室の未公開資料」
吹雪が補足する。
「Aは警備中。成功率45%。
Bは警備が甘いがクロノスと遭遇する可能性60%。
Cは難易度低、成功率80%。」
西紀がすぐ言う。
「B!!」
宇宙が睨む。
「却下」
「は!?」
吹雪が静かに言う。
「クロノスと再接触は、現段階では非効率です」
西紀がふくれる。
「“効率”とか言うなよ~」
「効率は手段であって目的ではありません」
優しい声。
でも鋭い。
「僕たちの目的は“奪い返すこと”です」
皐月がうなずく。
「そうやな」
零は黙って資料を見る。
Bを選べば―
再びクロノスとして出る必要がある。
面倒だ。
琉雨が小さく言う。
「…Cは、表向き問題なし」
「どういう意味?」
西紀。
吹雪が説明する。
「大学研究室の資料は、闇取引前の段階。法的にはグレー」
宇宙が短く言う。
「安全」
西紀が椅子を回す。
「でも地味!!」
皐月が笑う。
「怪盗は派手である必要はない」
零は、
初めて口を開く。
「Cがいい」
全員が見る。
「理由は?」
吹雪。
「クロノスは派手に動く。僕たちは静かに動けば、比較対象になる」
空気が少し変わる。
琉雨が目を細める。
「…対比戦略」
吹雪がうなずく。
「成功率、上昇」
西紀が腕を組む。
「…なるほど」
不満はあるが、
納得はしている。
皐月がまとめる。
「ほなCやな」
ホワイトボードに丸がつく。
【作戦名:静月】
琉雨がゆっくり言う。
「侵入経路、三パターン」
吹雪がすぐ修正。
「正面は捨てましょう。右ルートに変更」
「そうだ!じゃあこうしましょう!」
吹雪の声が少し弾む。
「一三さんは屋上陽動。宇宙さんは監視遮断。
皐月さんは中央回収。時巣さんはバックアップ移動」
「俺また走る役!?」
「成功率が最も上がります」
西紀、
満足。
宇宙は即答。
「先輩の回収を最優先」
皐月が笑う。
「頼もしいなぁ」
零は静かに考える。
Cを成功させれば、
クロノスの出番はない。
だが―
もしクロノスが来たら?
自分が来ることになる。
吹雪がふと零を見る。
「時巣さん」
「何」
「あなたは、緊急時の判断を任せます」
「なぜ」
「あなたの観察速度は、通常より早い」
一瞬。
沈黙。
「期待しています」
丁寧な声。
純粋な信頼。
それは、
少しだけ重い。
皐月が立ち上がる。
「決まりやな」
全員を見る。
「次は、奪い返す側やない」
にやり。
「超える側や」
西紀が拳を上げる。
「よっしゃぁ!!」
宇宙が小さくうなずく。
琉雨はココアを飲む。
吹雪は資料をまとめる。
零は窓の外を見る。
夜が近い。
クロノスとして動くか。
部員として動くか。
選ぶのは、
いつも自分だ。
時間は、まだある。
次の夜まで。
カーテンは閉じられ、
ホワイトボードには大きく一言。
【次、どうする?】
[大文字][大文字][太字]西紀が先に口を開いた。
[/太字][/大文字][/大文字]
「クロノスにリベンジでしょ!!」
拳を机に叩きつける。
「俺ら助けられたままとか、なんか気持ち悪い!」
宇宙が冷静に返す。
「実力差は明白」
「だから燃えるんじゃん!」
「感情で動くな」
火花。
皐月が手を叩く。
「はいはい、順番や」
視線が琉雨へ。
白銀の髪が机に流れている。
「…次の標的候補、三つ」
いつの間にか資料が並んでいる。
眠そうだが、声は明瞭。
「A:違法収集家の個人保管庫
B:闇オークションの中継倉庫
C:大学研究室の未公開資料」
吹雪が補足する。
「Aは警備中。成功率45%。
Bは警備が甘いがクロノスと遭遇する可能性60%。
Cは難易度低、成功率80%。」
西紀がすぐ言う。
「B!!」
宇宙が睨む。
「却下」
「は!?」
吹雪が静かに言う。
「クロノスと再接触は、現段階では非効率です」
西紀がふくれる。
「“効率”とか言うなよ~」
「効率は手段であって目的ではありません」
優しい声。
でも鋭い。
「僕たちの目的は“奪い返すこと”です」
皐月がうなずく。
「そうやな」
零は黙って資料を見る。
Bを選べば―
再びクロノスとして出る必要がある。
面倒だ。
琉雨が小さく言う。
「…Cは、表向き問題なし」
「どういう意味?」
西紀。
吹雪が説明する。
「大学研究室の資料は、闇取引前の段階。法的にはグレー」
宇宙が短く言う。
「安全」
西紀が椅子を回す。
「でも地味!!」
皐月が笑う。
「怪盗は派手である必要はない」
零は、
初めて口を開く。
「Cがいい」
全員が見る。
「理由は?」
吹雪。
「クロノスは派手に動く。僕たちは静かに動けば、比較対象になる」
空気が少し変わる。
琉雨が目を細める。
「…対比戦略」
吹雪がうなずく。
「成功率、上昇」
西紀が腕を組む。
「…なるほど」
不満はあるが、
納得はしている。
皐月がまとめる。
「ほなCやな」
ホワイトボードに丸がつく。
【作戦名:静月】
琉雨がゆっくり言う。
「侵入経路、三パターン」
吹雪がすぐ修正。
「正面は捨てましょう。右ルートに変更」
「そうだ!じゃあこうしましょう!」
吹雪の声が少し弾む。
「一三さんは屋上陽動。宇宙さんは監視遮断。
皐月さんは中央回収。時巣さんはバックアップ移動」
「俺また走る役!?」
「成功率が最も上がります」
西紀、
満足。
宇宙は即答。
「先輩の回収を最優先」
皐月が笑う。
「頼もしいなぁ」
零は静かに考える。
Cを成功させれば、
クロノスの出番はない。
だが―
もしクロノスが来たら?
自分が来ることになる。
吹雪がふと零を見る。
「時巣さん」
「何」
「あなたは、緊急時の判断を任せます」
「なぜ」
「あなたの観察速度は、通常より早い」
一瞬。
沈黙。
「期待しています」
丁寧な声。
純粋な信頼。
それは、
少しだけ重い。
皐月が立ち上がる。
「決まりやな」
全員を見る。
「次は、奪い返す側やない」
にやり。
「超える側や」
西紀が拳を上げる。
「よっしゃぁ!!」
宇宙が小さくうなずく。
琉雨はココアを飲む。
吹雪は資料をまとめる。
零は窓の外を見る。
夜が近い。
クロノスとして動くか。
部員として動くか。
選ぶのは、
いつも自分だ。
時間は、まだある。
次の夜まで。
- 1.時を食う怪盗、夜を抜けて
- 2.第一話 幻影という名の部活
- 3.第二話 表と裏の境界線
- 4.第三話 任務開始 ― 幻影、侵入
- 5.第四話 怪盗クロノス、夜を裂く
- 6.第五話 反省会―奪われた夜の解析
- 7.第六話 再起動―幻影作戦会議
- 8.第七話 静月―そして夜は裂ける
- 9.第八話 出遅れた一秒
- 10.番外編 第一話 時巣零の過去 『時間を喰う子ども』
- 11.番外編 第二話 時巣零の過去 『怪盗が生まれた日』
- 12.第九話 疑念は、静かに積もる
- 13.第十話 月は出ない
- 14.第十一話 夏がほどける
- 15.第十二話 仮面と素顔の距離
- 16.第十三話 夏の終わり、次の幕開け
- 17.第十四話 名前のない男
- 18.第十五話 祝祭の設計図
- 19.第十六話 時間の歯車
- 20.第十七話 学園祭前夜
- 21.第十八話 学園祭本番と盗賊団の影
- 22.第十九話 怪盗クロノスの覚醒