文字サイズ変更

400閲覧!【参加〆切】時を食う怪盗の僕は、素人だらけの部活に潜り込み、誰にも気づかれずに日々を駆け抜ける

#6

第五話 反省会―奪われた夜の解析

旧校舎三階。

カーテンは閉め切り。

空気は重い。

テーブル中央に置かれたのは、
現場写真。

割れた天窓。
倒れた警備。
空になった展示ケース。

「…完敗やな」

皐月が笑う。

でも目は真剣だ。

西紀が机を叩く。

「いやいやいや!!助けられたけどさ!?でも奪われたんだよ!?」

「結果だけ見ればそうやな」

宇宙は腕を組む。

「正体不明。実力は俺たち以上」

低い声。

悔しさが混じる。

琉雨はココアを飲みながらぼそり。

「…侵入速度、常識外。監視切断まで、約二・三秒」

「二・三秒!?」

西紀が叫ぶ。

「人間じゃなくね!?」

「…時間が、飛んだみたい」

その言葉に、

零の指がわずかに止まる。

コンコン。

ドアが開く。

「失礼します」

入ってきたのは、
淡い水色の髪の少年。

右目を前髪で隠し、
冷静な瞳。

「初めまして,僕は氷風吹雪といいます。」

丁寧すぎる礼。

「今回の件、分析に参加させていただきます」

皐月がにやり。

「うちのブレイン補佐や」

吹雪は写真を並べ替える。

視線が鋭い。

「まず前提として、相手は僕たちを“助けた”」

宇宙が睨む。

「敵だ」

「敵か味方かはまだ不明です」

淡々と続ける。

「ですが、行動原理は明確。宝のみを奪い、人的被害はゼロ」

「……」

「おそらく60〜70%くらいの確率で、この人物は“単独主義”」

西紀が顔を近づける。

「なんで?」

「連携の痕跡がない。すべて一人で完結している」

吹雪は続ける。

「そして最大の異常点」

写真を指差す。

「接触の記録が曖昧」

「曖昧?」

「警備員は“殴られた感覚がない”と言っています」

沈黙。

「つまり」

吹雪の声が静かに落ちる。

「知覚より先に結果が起きている」

皐月が楽しそうに笑う。

「ええやん」

西紀がぽつり。

「…時間止めたみたいだったってニュースで言ってたよな」

空気が、
わずかに揺れる。

零は視線を落とす。

吹雪が続ける。

「仮に“時間を感じさせない動き”が可能なら」

その目が、
ほんの一瞬、
零をかすめる。

偶然。

ただの偶然。

「次に遭遇した場合、正面衝突は避けるべきです」

宇宙が即答。

「先輩を守る」

皐月が肩をすくめる。

「守られるつもりないで」

西紀が笑う。

「でもさ!」

立ち上がる。

「俺、ああいうの好きなんだよな!!怪盗って感じでさ!!」

「そういうの俺好きじゃないって毎回言ってるよね?」

吹雪がやんわり返す。

「憧れは判断を鈍らせます」

西紀がしゅんとする。

琉雨が目を閉じたまま言う。

「…次は、勝つ」

その声には眠気がない。


[水平線]

部室の空気は、まだ重い。

怪盗クロノス。

その名だけが、
静かに浮いている。

コンコン。

「失礼します」

ドアが開く。

グレーに近い黒髪、
白いシャツ。

柔らかな笑顔。

「幻影遊戯部のみなさん、お疲れさまです」

全員が一瞬で姿勢を正す。

風白真。

顧問。

「皐月さん、少しお時間よろしいですか?」

「なんや先生、どうしましたん」

「いえいえ、皆さんで大丈夫ですよ」

先生は微笑んだまま、テーブルの写真に視線を落とす。

「……学園祭の“演出研究”でしょうか?」

敬語。

柔らかい。

だが、
視線は鋭い。

西紀が慌てて言う。

「そ、そうです!リアルさ追求っす!」

「なるほど」

先生はうなずく。

「とてもよくできていますね。窓の割れ方も自然です」

沈黙。

吹雪がわずかに目を細める。

先生は続ける。

「氷風さんは、こういう分析がお得意でしたよね?」

「はい。お役に立てるなら、喜んで」

「素晴らしいです」

にこり。

「一三さんは実行役でしょうか?」

「え!?あ、はい!たぶん!」

「元気があって良いですね」

「宇宙さんは安全管理でしょうか」

「…はい」

「頼もしいです」

「月空さんは、計画書の作成ですね?」

「…むにゃ…はい」

「眠そうですが、無理はなさらないでくださいね」

最後に。

先生の目が、
零へ向く。

「時巣さん」

一瞬だけ、
空気が静まる。

「あなたは、どの役割ですか?」

部室の視線が集まる。

零は静かに答える。

「雑用です」

先生は少しだけ笑う。

「そうですか」

間。

ほんのわずかに。

「時巣さんは、状況判断が早そうですね」

西紀が割って入る。

「それなんすよ先生!零めちゃくちゃ目いいんすよ!」

「そうなのですか?」

先生は穏やかにうなずく。

「それは素敵な才能ですね」

優しい。

ただ、
それだけの言葉。

でも。

なぜか、
見透かされている気がする。

先生は紙袋を差し出す。

「クッキーを焼いてきました。よろしければどうぞ」

宇宙が警戒する。

吹雪が小声で。

「…前回の再来の可能性、80%」

西紀が一枚食べる。

三秒後。

「…先生、これ数学の味がします」

「はい。黄金比を意識しました」

「食べ物に?」

「挑戦は大切です」

誰も二枚目に手を出さない。

先生は、
ふっと笑う。

そして、
少しだけ真面目な声で。

「みなさん」

敬語のまま。

「危ないことは、しないでくださいね」

誰も返事をしない。

先生は続ける。

「私は、生徒さんが傷つくのが一番嫌いです」

その言葉は、
冗談ではない。

空気が、
わずかに変わる。

「何か困ったことがあれば、いつでも相談してください」

にこり。

「私は顧問ですから」

先生は去っていく。

ドアが閉まる。

沈黙。

吹雪が静かに言う。

「…気づいている可能性、上方修正。80%」

宇宙が呟く。

「敵ではない」

皐月が笑う。

「最強の顧問やからな。
ほら、何でも屋とか言う部活とか、そっちのほうも顧問やってるらしいし」

零は窓の外を見る。

風が、
静かに吹いている。

先生は―

どこまで知っているのか。

そして。

もし全て知っているとしたら。

なぜ、
止めない?

時間はまだ、
味方だ。

けれど。

この学校には、

“ただの大人”はいないのかもしれない。

作者メッセージ

うぅん、コメントネタ切れ!

まあ面白く書けたからいっか!

今夜の投稿より、新しい枠を募集しようと思っています!

まあ、仮なのですが、よろしくお願いします!

2026/02/14 18:00

コメント

この小説につけられたタグ

参加型怪盗異能力(?)一部笑いあり

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はKanonLOVE しばらく活動休止中さんに帰属します

TOP