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400閲覧!【参加〆切】時を食う怪盗の僕は、素人だらけの部活に潜り込み、誰にも気づかれずに日々を駆け抜ける

#5

第四話 怪盗クロノス、夜を裂く

シャッターが完全に閉じる。

逃走経路、
消滅。

警備員の足音が迫る。

ライトが通路を白く切り裂いた。

「止まれ!!」

宇宙が前に出る。

「俺が―」

「ダメ」

皐月が低く止める。

「捕まったら終わりや」

西紀が笑う。

引きつっている。

「やっべぇなこれ。初任務で解散とか笑えないぞ?」

僕は静かに状況を数える。

警備、
七人。
出入口二箇所。
背後十五秒で接触。

このままでは、
確実に拘束。

“部員としての僕”では突破不能。

…なら。

警備員のライトが差し込んだ瞬間。

館内すべての照明が、
落ちた。

完全な闇。

「なっ―!?」

同時に、天井ガラスが砕ける音。

派手に。

盛大に。

月光が差し込む。

その中心に―

黒い影。

ロングコートが夜を裂く。

仮面。
銀の縁取り。

静寂を纏った存在。

ひとりの警備員が震える声で言った。

「…怪盗…」

影は、何も言わない。

ただ、
落ちる。

音もなく。

次の瞬間。

警備員の無線が一斉に床へ転がった。

誰も、
触れられた感覚がない。

でも、
落ちている。

速い。

いや―

速いと感じさせない。

気づいたら、
そうなっている。

時間が抜け落ちる。

西紀が呆然と呟く。

「…誰だよ」

宇宙が低く言う。

「敵か?」

影は、
展示ケースの前へ歩く。

迷いなく。

宝石を持ち上げる。

警備が飛びかかる。

その瞬間―

影が消えた。

否。


視界から外れただけ。

次の瞬間、
警備員たちは床に転がっている。

衝撃は派手。

だが動きは静か。

音と結果が噛み合わない。

皐月が、
初めて小さく笑う。

「…本物やな」

影がこちらを見る。

仮面越しに。

一瞬。

目が合う。

いや。

合ったような気がしただけ。

影は軽く礼をする。

挑発でもなく、
嘲笑でもない。

ただの余裕。

そして。

爆発音。

スモーク弾。

赤い警報灯が回る。

影は天井へ跳び、

割れたガラスから夜へ溶けた。

静寂。

残ったのは、
倒れた警備員と、

空になった展示ケース。

宝石は―

―ない。

西紀がぽつりと言う。

「…奪われた」

宇宙が歯を噛む。

「助けられたのか、俺たち」

琉雨の通信が復活する。

「…撤退。今」

皐月が即決する。

「借りができたな」

部員たちは別ルートで脱出する。

誰も捕まらない。

誰も目撃されない。

ただ一つ。

美術館の屋上で、

月光を背に立つ黒い影だけが、

複数の監視カメラに映っていた。

はっきりと。

翌朝。

ニュースは大騒ぎだった。

『市立美術館に怪盗現る!』

『警備網を突破、鮮やかな犯行!』

『新たな怪盗か!?』

そして。

誰かが言った。

「…怪盗クロノス、と名乗ったらしい」

現場に残されたカード。

黒地に銀の文字。

― Kronos

その名は、一夜で広まった。

部員の存在は出ない。

侵入者が複数いた事実も、
報道されない。

すべては、

“怪盗クロノス単独犯”として処理された。

昼。

教室。

「やばくね!?クロノスかっけぇ!!」

「時間止めたみたいだったって!」

僕は静かに窓の外を見る。

風が穏やかだ。

葵が机に突っ伏しながら言う。

「零さぁ、ああいうのどう思う?」

「別に」

「冷たっ」

内心。

少しだけ思う。

派手にやりすぎたかもしれない。

でも。

あれでいい。

部員は守られた。

宝石は、
僕の手にある。

“回収”は完了した。

そして―

怪盗クロノスの名は、
夜を越えた。

時間を感じさせない怪盗。

気づいたときには終わっている存在。

神話の名を持つ影。

僕は静かに目を閉じる。

退屈なはずの学校生活が、

ほんの少しだけ、
面白くなった。

幻影遊戯部。

怪盗クロノス。

二つの顔。

時間は、
まだ誰にも奪わせない。

作者メッセージ

お昼時に夜のお話はどうとか関係なくかっこいい!

ということで夜の投稿もぜひ楽しみにしていてください

2026/02/14 12:52

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参加型怪盗異能力(?)一部笑いあり

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